IaaSとは?PaaS/SaaSとの違いやキャリアへの生かし方を徹底解説

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公開日:2026/01/27 / 最終更新日: 2026/01/27

IaaS(「イアース」「アイアース」)とは何か、PaaS・SaaSとの違いをIT担当者やPM向けにわかりやすく解説。

AWSやAzure、GCPを扱う専門家は、事業会社の社内DX、SIerの大規模移行プロジェクト、コンサルティングファームのクラウド戦略立案など、多様なキャリア機会が広がっています。

本記事では、AWSなどの具体例からビジネス上のメリット、注意点までを網羅し、DX推進や高年収キャリアに必須のIaaS知識について、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく説明します。

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IaaSとは? クラウドサービスの基本や重視される理由

IaaS(Infrastructure as a Service)は、ITインフラを自社で保有せず、必要な時に利用できる形へと転換させる仕組みとして、企業のデジタル戦略に直結する存在です。企業が求める柔軟性やスピードを下支えし、DX推進の基盤として幅広い業界で採用が進んでいます。ここではIaaSの基本と、ビジネスにおいて重視される背景を整理します。

  • ●IaaS(Infrastructure as a Service)とは「インフラを貸し出す」サービス 
  • ●なぜ今IaaSがビジネスで重視されるのか 

IaaS(Infrastructure as a Service)とは「インフラを貸し出す」サービス

IaaSとは、企業のIT基盤に必要なサーバー・ストレージ・ネットワーク環境をクラウド上で提供するサービスです。従来のように自社でハードウェアを調達・構築する必要がなく、必要な時に必要な分だけリソースを利用できます。

これにより、初期投資の最適化や運用負荷の軽減を実現できるほか、システム増強や新規サービスの立ち上げを迅速に行えるため、DX推進や事業スピード向上に直結する点が多くの企業に評価されています。

なぜ今IaaSがビジネスで重視されるのか

IaaSが注目を集める背景には、従来型のオンプレミス環境では対応しきれない課題が、多く存在していることがあります。オンプレミスは自社でサーバーを保有する形態のため、導入に時間がかかり、負荷変動にも柔軟に対応しにくい傾向があります。これに対しIaaSは、短期間で環境を構築でき、需要に応じてリソースを調整できる柔軟性をもつ点が大きな違いです。

まずDX推進の観点では、データを中心に業務を再設計する動きが広がる中、クラウド基盤の重要性が増しています。製造業ではリアルタイムの稼働監視、小売業では需給予測や在庫最適化、金融業ではフィンテックを支える高速処理など、各業界でデータ活用が前提となっており、IaaSがその基盤として扱われています。

次にビジネススピードの観点です。市場環境が変化する中で、新サービスの立ち上げには時間短縮が欠かせません。IaaSであれば環境の即時構築が可能で、仮説検証を高速で回せます。さらにアジャイル開発やCI/CDの導入とも相性がよく、継続的な改善を前提とした開発体制が整えやすくなります。

コスト最適化の面でもメリットがあります。初期投資を抑えられるだけでなく、需要に応じたスケール調整により、無駄なインフラ維持費が発生しません。さらに、運用人件費やハードウェア更新にかかる負担も軽減され、総所有コストの予測がしやすくなります。

このように、IaaSはDX推進、高いビジネススピード、コスト最適化を同時に実現する手段として、企業の経営判断に大きく影響する存在となっています。

IaaS・PaaS・SaaSそれぞれのクラウドサービスの違い

クラウドサービスは、IaaS・PaaS・SaaSという3つの形態に整理して考えると、全体像が理解しやすくなります。大きな違いは「どこまでをクラウド事業者が提供し、どこからを自社で管理するか」という責任範囲です。責任範囲が広いほど自由度は高くなりますが、その分だけ管理負荷や必要な専門知識も増えます。ここでは、責任分担のイメージと、3形態それぞれのメリット・デメリットを整理します。

  • ●最大の違いは「責任範囲(どこまで自社で管理するか)」 
  • ●IaaS・PaaS・SaaSのメリット・デメリット比較

最大の違いは「責任範囲(どこまで自社で管理するか)」

IaaS・PaaS・SaaSの違いを理解するうえで、最も重要な観点は責任範囲です。どこまでをクラウド事業者が担い、どこからを自社が担うのかという線引きが異なります。この線引きによって、システム構成の自由度や管理負荷、必要な専門知識のレベルが変わります。

IaaSは、3つの中で最も広い管理範囲をもつ形態です。クラウド事業者は物理サーバーやネットワーク、仮想化基盤までを提供し、利用企業側はOS、ミドルウェア、アプリケーション、データ、セキュリティ設定を管理します。インフラの細かな構成を自社の要件に合わせて設計できる一方で、インフラエンジニアリングの知識や運用体制が求められます。

PaaSは、中間的な位置付けです。クラウド事業者がOSやミドルウェア、ランタイム環境までを提供し、利用企業側はアプリケーションとデータに集中します。インフラ構築やパッチ適用などに手をかけずに開発を進められるため、開発生産性を高めたいケースと相性が良い形態です。

SaaSは、最も手軽な形態です。インフラからアプリケーションまでをクラウド事業者が提供し、利用企業側はユーザー設定や権限管理、データの入力や活用にフォーカスできます。業務に合ったサービスを選び、契約後すぐに利用を開始できる点が特徴です。

責任範囲の違いは、ピザの例えで表すと簡単に整理できます。
IaaS=キッチンを借りて自分で調理する、PaaS=半調理品を仕上げる、SaaS=完成品を購入して使うイメージです。

IaaS・PaaS・SaaSのメリット・デメリット比較

IaaS・PaaS・SaaSは、それぞれ一長一短があります。自由度・コスト・必要な専門知識・導入スピードといった観点で特徴が分かれるため、自社の目的に合ったレイヤーを選ぶことが欠かせません。ここでは、メリットとデメリットを整理したうえで、比較のポイントを明確にします。

まず全体感として、IaaSは「自由度が高い代わりに手間もかかる」選択肢です。レガシーシステムの移行や、OSレベルから構成を設計したいケースに適しています。一方で、インフラ設計や運用を担える体制が前提となります。PaaSは「開発のしやすさ」を軸にした選択肢で、アプリケーション開発に集中したい場合に向いています。SaaSは「最短で業務を変えたい」場面に適しており、標準化されたベストプラクティスを取り込みやすい形態です。

以下は、メリット・デメリットを整理した表です。

メリットデメリット
IaaS・OSやミドルウェアを含めて自由度が高い
・レガシーシステムや個社要件に合わせた構成が可能
・スケールアウトや冗長化を柔軟に設計できる
・インフラ構築や運用の専門知識が必要
・セキュリティ設定や監視などの運用負荷が高い
・設計次第ではコストが肥大化しやすい
PaaS・開発環境が整備されておりアプリ開発に集中できる
・自動スケーリングなどにより運用負荷を軽減できる
・新規サービスの立ち上げスピードを高めやすい
・提供されるプラットフォームの仕様に依存しやすい
・細かなインフラ制御がしにくい
・サービス変更時の乗り換えコストが発生しやすい
SaaS・アカウント発行後すぐに利用でき導入が早い
・インフラやアプリの運用を事業者に任せられる
・月額課金で予算計画を立てやすい
・カスタマイズの自由度が限定的
・業務プロセスをサービス側に合わせる必要があるケースが多い
・ユーザー数の増加にともないランニングコストが膨らむ可能性がある

どの形態が最適かは、システムの重要度やカスタマイズ要件、社内にどの程度のエンジニアリングリソースがあるかによって変わります。IaaS・PaaS・SaaSを単独で捉えるのではなく、システムごとに適切なレイヤーを組み合わせる発想が、クラウド活用で成果を高めるうえで有効です。

IaaSの主要サービスと特徴

IaaSの中でも、Amazon Web Services(AWS)・Microsoft Azure・Google Cloud(GCP)は「3大クラウド」として広く利用されています。それぞれ同じIaaSでありながら、市場ポジションや得意領域、強みとするサービスは異なります。ここでは3社の特徴を整理しながら、どのようなビジネスやシステム要件に適しているのかを解説します。

  • ●Amazon Web Services(AWS) 
  • ●Microsoft Azure 
  • ●Google Cloud(GCP) 

Amazon Web Services(AWS)

AWSはクラウドインフラ市場で最大級のシェアを誇り、幅広い企業に採用されています。 2006年からサービス提供を開始しており、クラウド黎明期から成長してきた分だけ、サービス群が充実している点が特徴です。

提供するサービスは200を超え、仮想サーバーを提供するAmazon EC2、オブジェクトストレージのAmazon S3を中心に、データベース、分析、AI/機械学習、サーバーレス、IoTなど多岐にわたります。単にサービス数が多いだけではなく、各サービスが長年の運用を通じて成熟していることから、可用性やスケーラビリティを重視するシステムでも採用しやすい基盤です。

またAWSは、パートナー企業や技術者コミュニティの層が厚いことも特徴です。導入・構築・運用を支援するパートナー網が世界的に整備されており、学習コンテンツやオンラインコミュニティも豊富です。これにより、導入企業側は外部リソースを組み合わせながらクラウド活用を進めやすくなります。

転職市場という観点では、AWS認定資格やAWS環境での設計・運用経験をもつ方は評価されやすい傾向があります。クラウド基盤の事実上の標準選択肢として扱われる場面が多く、AWSの理解はインフラエンジニアに限らず、アプリケーションエンジニアやプロダクトマネージャーにとっても強みになりやすいスキルセットです。

Microsoft Azure

Microsoft Azureは、Microsoft製品との親和性を強みとするクラウドサービスです。Windows ServerやActive DirectoryなどオンプレミスのMicrosoft環境と連携しやすく、すでに社内システムの多くをMicrosoft製品で構成している企業にとって、移行しやすい選択肢になっています。

特にハイブリッドクラウドの分野で存在感があります。Azureは、オンプレミスとクラウドを組み合わせるハイブリッド構成を前提としたサービスやリファレンスが充実しています。さらに、Azure ArcやAzure Stackといった製品群を活用することで、データセンターやエッジ環境を含めたシステム全体を統合的に管理しやすい点が特徴です。完全移行ではなく段階的なクラウド活用を進めたい企業にとって、現実的な選択肢になりやすい基盤といえます。

また、Microsoft 365やDynamics 365などのSaaS群との統合もAzureの強みです。ID管理にはAzure AD(現Entra ID)が用いられ、シングルサインオンやゼロトラストセキュリティの実現に貢献します。さらに、Power Platformによるローコード開発など、業務部門が主体となるデジタル化を支援するサービスも揃っており、「IT部門だけでなくビジネス部門も含めた全社的なクラウド活用」を進めたい企業との相性が良い構成です。

エンタープライズ領域では、既存のMicrosoft資産を前提に全社基盤を再設計するプロジェクトが増えつつあり、Azureに精通したエンジニアやアーキテクトを求める動きも強まっています。特に、大企業向けのシステムインテグレータやコンサルティングファームでは、AzureとMicrosoft 365を組み合わせた変革プロジェクトに携わる機会が増えており、キャリアの選択肢も広がりやすいクラウド基盤です。

Google Cloud(GCP)

Google Cloud(GCP)は、データ分析とAI領域に強みをもつクラウドサービスです。Googleが自社サービス(検索やYouTubeなど)で培ってきたインフラと技術を基盤としており、大規模データ処理や分析ワークロードを得意とします。

代表的なサービスとして、ペタバイト級のデータを高速に分析できるBigQueryが挙げられます。BigQueryは、スケールアウトを意識せずにSQLベースで分析を行えるため、データ分析基盤の構築をシンプルに進めやすい点が特徴です。Vertex AIは、学習データの準備からモデル構築、デプロイまでを一貫して支援する、マネージド型の機械学習プラットフォームです。生成AIを含む高度なAI活用を前提とする企業から、特に注目を集めています。

インフラ面では、Google Kubernetes Engine(GKE)をはじめとしたコンテナ関連サービスが強みです。Kubernetes発祥の企業であることから、コンテナオーケストレーションの機能や使い勝手に定評があり、マイクロサービスアーキテクチャを前提としたシステム構築を進めたい企業に選ばれやすい傾向があります。

市場ポジションとしては、クラウドインフラ全体で見ると3番手ですが、成長率は高く、特にスタートアップやWebサービス企業、データドリブン経営を重視する企業での採用が増えています。データ分析や機械学習を事業の中核に据える企業においては、GCPを前提としたシステム構成を選択するケースも多く、BigQueryやVertex AIの経験者は、プロダクトの企画・開発・データ基盤構築など、幅広いポジションで活躍の場を広げやすいクラウドといえます。

IaaS導入のメリットと注意点

IaaSはインフラの所有から利用への転換を促し、財務構造や事業スピードに直接影響します。一方で、従量課金や責任共有モデルへの理解が不十分なまま導入すると、コストやセキュリティの面で想定外のリスクを抱えかねません。ここでは、管理職やPMの方が検討すべきメリットと、導入後も含めて押さえておきたい注意点を整理します。

  • ●メリット1:初期投資(CAPEX)の削減とコストの最適化(OPEX) 
  • ●メリット2:ビジネスの要求に応えるスケーラビリティ(伸縮性)
  • ●メリット3:インフラ構築のスピード向上とリソースの即時調達 
  • ●注意点1:オンプレミスより高額になる「クラウド破産」のリスク 
  • ●注意点2:「責任共有モデル」の理解不足によるセキュリティ事故 

メリット1:初期投資(CAPEX)の削減とコストの最適化(OPEX)

IIaaSではハードウェア購入が不要になり、CAPEXをOPEXへ転換できます。これによりキャッシュフローの柔軟性が高まり、成長投資へ資金を回しやすくなります。

また、運用費の中身も変わります。ハードウェアの保守や更新、電力や空調などのコストは、クラウド事業者側に集約されます。自社では設計と運用管理に集中できるため、限られた要員をより付加価値の高い業務に再配置しやすくなります。24時間の有人監視や物理セキュリティの確保に多くの予算を割いていた企業ほど、この効果は大きくなります。

経営視点で重要なのは、キャッシュフローとリスクのコントロールです。大型の設備投資をともなわないため、ほかの成長投資に資金を振り向けやすくなります。事業の成否に応じてインフラ費用を増減できるため、事業ポートフォリオの入れ替えにも柔軟に対応できます。管理職やプロジェクトマネージャーは、IaaSを単なるITコスト削減策ではなく、新規事業やデジタル投資の資金を生み出す戦略的施策として捉えることが重要です。この視点を示すことで、社内の合意形成が容易になります。

メリット2:ビジネスの要求に応えるスケーラビリティ(伸縮性)

IaaSは、負荷の変動に応じてリソースを伸縮させられるため、ビジネス側の要請に直結する価値をもたらします。ECサイトのセールや新サービスのローンチなど、一時的にアクセスが急増する場面でも、事前にサーバーを大量に用意しておく必要はありません。ピークに合わせて一時的に拡張し、落ち着いたタイミングでリソースを戻す運用が可能です。機会損失を防ぎつつ、過剰投資を避けられます。

新規事業や新機能の検証においても、スケールのしやすさは意思決定に影響します。まずは小さな構成で試験導入し、利用状況やビジネスインパクトを見ながら、段階的に規模を拡大できます。事業が期待どおりに伸びなかった場合でも、インフラだけが固定費として残るリスクを抑えられます。管理職やPMにとっては、チャレンジしやすい環境を整える意味をもちます。

さらに、Auto Scalingなどの仕組みを活用すれば、一定のルールに基づきシステム側で自動的にリソースを増減できます。これにより利用者の増加にも耐えられるパフォーマンスを維持しつつ、閑散期はコストを抑える運用が実現しやすくなります。結果として、顧客体験を損なわずに売り上げ機会を取り込む力が高まり、競合との比較においても優位性を築きやすくなります。ビジネスの成長シナリオに応じて、システムを伸縮させる前提で設計できることが、IaaSのスケーラビリティの本質的な価値です。

メリット3:インフラ構築のスピード向上とリソースの即時調達

IaaS導入は、インフラ準備にかかる時間を大幅に短縮します。オンプレミス環境では、サーバーの選定から発注、設置、ネットワーク配線、ラック搭載、動作検証といったプロセスを経る必要がありました。その結果、環境が整うまでに数カ月単位のリードタイムが発生します。IaaSであれば、数分から数日で環境を立ち上げることができ、事業側の要求に対するリードタイムを大きく縮められます。

開発プロジェクトの観点では、このスピードの差がそのまま生産性の差につながります。開発チームは必要な時にすぐ検証環境やテスト環境を用意できるため、インフラ待ちの時間が発生しません。CI/CDの仕組みと組み合わせれば、コードの変更を継続的にデプロイしながら改善を積み重ねることができます。PMとしては、計画したスケジュールに対し、インフラ側の都合で遅延するリスクを下げることが可能です。

さらに、PoCや実証実験にも適しています。まず小さな構成で仮説検証を行い、想定した効果が得られなければ、リソースを停止するだけで済みます。高価な設備が残ることはなく、サンクコストを抑えながら試行錯誤することが可能です。失敗を恐れず挑戦できる環境を整えることで、組織の学習速度を高められるため、管理職にとって、さらなるメリットとなります。IaaSは、インフラ提供に加え、意思決定を加速する基盤でもあります。

注意点1:オンプレミスより高額になる「クラウド破産」のリスク

一方で、IaaSは使い方を誤るとオンプレミス以上のコストを生む可能性があります。よく指摘される「クラウド破産」は、料金体系や運用ルールの整備不足が原因となるケースが多く見られます。例えば、開発環境や検証環境を24時間稼働させたままにしたり、使われていないインスタンスやストレージを放置したりすると、徐々にコストが積み上がります。従量課金のため、一つひとつは小さな金額でも全体では大きな負担になりかねません。

データ転送料にも注意が必要です。システム間連携やリージョン間通信、外部への大量データ配信などを想定せずに設計すると、後から転送料が予算を圧迫することがあります。それを防ぐためには、料金表だけでなく、実際のトラフィックパターンを踏まえた設計が欠かせません。さらに、長期利用を前提とした割引メニューを活用していない場合、同じ利用量でも支払額に差が出ます。

管理職やPMの立場では、クラウド導入をIT部門任せにせず、コストガバナンスの仕組みを、設計段階から組み込むことが重要です。具体的には、コスト可視化ツールでプロジェクト別や環境別の費用を把握し、異常な増加があればアラートで検知できる状態を整えます。併せて、夜間や休日に自動停止するルールや一定金額以上のリソース追加には承認を求めるフローなど、これらを整備することで無駄な支出を防ぎやすくなります。

注意点2:「責任共有モデル」の理解不足によるセキュリティ事故

IaaS導入で見落とされがちなリスクが、責任共有モデルへの理解不足です。クラウド事業者は、データセンターの設備や物理セキュリティ、ハードウェア、仮想化基盤といった「クラウドそのものの安全性」を担います。一方で、OSやミドルウェアの設定、アプリケーションの脆弱性対策、IDとアクセス権限の管理などは、利用企業側の責任領域です。この線引きを誤解すると、「クラウドだから安全なはず」という認識のまま運用してしまい、設定ミスやパッチ未適用が原因の事故を招きます。

典型例としては、ストレージのアクセス制御を誤ってインターネット公開にしてしまうケースや、多要素認証を設定しないまま特権アカウントを運用するケースがあります。また、OSやミドルウェアの脆弱性に対するパッチ適用を後回しにすると、攻撃者に狙われるリスクが高まります。クラウド事業者は基盤の安全性を担保しますが、そのうえでどのような構成にするか、どのような運用ルールを設けるかは、利用企業側が決める必要があります。

管理職やPMは、この責任分界を前提にプロジェクト体制を設計する必要があります。具体的には、セキュリティ方針を定めたうえで、インフラ構成や権限設計にセキュリティ担当者が関与するプロセスを組み込みます。最小権限の原則や多層防御を前提に設計し、定期的な脆弱性診断やログ監視を実施できる体制を整えることが欠かせません。IaaSは高い柔軟性をもつ一方で、設定の自由度も高いため、ルールとレビューの仕組みをもたない導入は危険です。

IaaSスキルが拓く高年収キャリアと転職市場の価値

IaaSをはじめとするクラウドスキルは、インフラ分野の専門性を「高年収が見込めるキャリア」へ変えていく鍵になっています。ここでは、クラウド専門家が不足している背景と、IaaSスキルが生かせる職種、年収相場の目安を整理します。

  • ●なぜ今「クラウド専門家(IaaSスキル)」が不足しているのか 
  • ●IaaSスキルが生きる高年収職種
  • ●IaaSスキルをもつ専門家の年収相場

なぜ今「クラウド専門家(IaaSスキル)」が不足しているのか

クラウド専門家が不足している理由は、需要の急拡大に対して供給の増加が追いついていないことにあります。DX推進が全業界の経営課題となり、レガシーシステムの刷新が急がれています。オンプレミス前提で構築されたシステムを見直し、クラウドを標準とするアーキテクチャへの切り替えが、製造業や金融業、流通業を含めた幅広い業界で同時多発的に進んでいます。

政府や自治体においても、クラウドファーストの方針が浸透し、基幹系を含むシステムのクラウド移行を前提とした調達が増えています。民間企業でも、新規開発はクラウド前提とするケースが一般的になり、インフラをクラウドでどう設計するかを起点に議論が進むようになりました。さらに、リモートワーク基盤の整備やオンラインサービス拡充の流れが重なり、短期間でのクラウド対応が求められたことも需要を押し上げました。

一方で供給側は、オンプレミス経験が豊富なインフラエンジニアのスキル転換が十分に進んでいない状況があります。クラウドは、概念だけでなく料金モデルや責任分界も含めて学び直しが必要であり、実務レベルの経験を積んだ方は、まだ限られています。教育機関のカリキュラム更新も追いついておらず、即戦力としてIaaSの設計や移行を任せられる方は少数です。加えて、クラウドサービスは進化のスピードが速く、学習を継続している専門家とそうでない方の差が開きやすい領域です。この需給ギャップがクラウド専門家の市場価値を押し上げています。

IaaSスキルが生きる高年収職種

IaaSスキルは、単なるインフラ構築スキルにとどまらず、経営と技術を結びつける役割で生かされます。代表的な職種として、クラウドアーキテクト、クラウドエンジニア、SREエンジニアが挙げられます。

クラウドアーキテクトは、企業のクラウド戦略を設計し、IaaSをどのように利用するかを、全体最適の観点で決めていく役割です。IaaSのサービス構成を理解したうえで、経営の優先順位や予算制約を踏まえたアーキテクチャを描ける方は、大規模企業のDXプロジェクトやコンサルティングファームで、高く評価されやすいポジションです。

クラウドエンジニアは、クラウド環境の構築や運用を担い、IaaS上での実装を具体的に進める役割です。仮想サーバーやネットワーク、ストレージの設計に加えて、TerraformなどのIaCツールを用いた自動化、CI/CDパイプラインの構築などが求められます。IaaSの特性を理解し、安定稼働とコストのバランスをとりながら運用できる方は、事業会社・SIerの双方で中核メンバーとして評価されやすい存在です。

SREエンジニアは、サービスの信頼性と運用効率を高める専門家です。IaaSのリソースを適切に活用しながら、可用性や性能の指標を定義し、障害時の対応プロセスを整えます。DevOpsやSREの考え方を実践できる方は、成長企業やオンラインサービスを展開する企業で、高年収帯のポジションを狙いやすい傾向があります。

IaaSスキルをもつ専門家の年収相場

IaaSスキルをもつ専門家の年収は、役割と経験値によって大きく変わりますが、おおよそ500万円から1,500万円までの幅で形成されています。全体感としては、750万円前後を一つの基準としながら、スキルセットと責任範囲に応じて、レンジが上下するイメージです。

IaaS専門家の年収は概ね 500〜1,500万円
クラウドアーキテクトやSREなど、上流・戦略寄りの役割ほど高年収帯に入る傾向があります。

IaaS導入・活用を進めるためのステップ

IaaSの導入を成功させるためには、いきなり全社一斉移行を行うのではなく、リスクを抑えつつ学びを積み重ねることが肝要です。ここでは、導入・活用を進めるステップを整理します。

  • ●まずは「スモールスタート」で小さく試す 
  • ●導入目的(コスト削減か、アジリティ向上か)を明確にする 
  • ●専門知識をもつパートナー(SIerなど)に相談する 

まずは「スモールスタート」で小さく試す

IaaS導入は、最初から大規模な全社移行を狙うよりも、小さく試して知見を蓄積する進め方が現実的です。スモールスタートであれば、想定外のコスト増や運用負荷の偏りが発生したとしても、影響範囲を限定しながら原因を分析できます。管理職やPMとしては、「リスクを抑えつつクラウドの良し悪しを見極めるフェーズ」と位置付けるとよいでしょう。

具体的には、まずは基幹系ではない領域から着手します。開発・テスト環境のクラウド化や、社内ポータルなどの情報共有基盤、新規の小規模Webサービスなどは、停止リスクを取りやすく、クラウドの特性を確認しやすい領域です。この段階では、コスト・性能・運用面でのメリットと課題を整理し、自社にとってのクラウド活用の現実感を掴むことを重視します。

次のステップとして、一部の業務システムでの本番利用に広げます。ここでは運用プロセスや監視の設計、障害時の対応フローを含めて検証し、オンプレミスとの役割分担やハイブリッド構成の可能性も見極めます。そのうえで、基幹システムへの適用可否を判断します。このプロセスで重要なのは、各フェーズごとに「クイックウィン」を設定し、効果や課題を定量的に振り返ることです。学びを積み上げる連続的な取り組みとして設計することで、組織全体のクラウドリテラシーも高めやすくなります。

導入目的(コスト削減か、アジリティ向上か)を明確にする

IaaS導入をスムーズに進めるためには、優先事項を明確にしておくことが重要です。コスト削減を主眼とするのか、開発やビジネスのスピードを高めることを重視するのかによって、選ぶシステムや設計方針が大きく変わります。

コスト削減を主目的とする場合は、運用費がかさんでいるレガシーシステムや、ハードウェア更新時期が近づいているシステムから検討するのが現実的です。既存構成を大きく変えずにクラウドへ移すリフト&シフトを前提とし、オンプレミスとIaaSの総所有コストを比較しながら、どの程度の削減効果が見込めるかを事前に試算します。そのうえで、予約インスタンスや長期利用割引などを組み合わせ、財務的な効果をKPIとして設定します。

一方で、アジリティ向上を狙う場合は、頻繁な機能追加や改善が必要なシステム、新規サービスの開発領域が優先候補となります。この場合は、単にインフラをクラウドに移すだけでなく、クラウドネイティブな設計やマイクロサービス化、CI/CDパイプラインの整備が焦点になります。Time to Marketの短縮やデプロイ頻度の増加、開発者の生産性向上などを成果指標として設定し、目的と施策の紐付けを明確にすることが重要です。

専門知識をもつパートナー(SIerなど)に相談する

IaaSの導入や本格活用を自社だけで完結させるのは、現実的ではないケースも少なくありません。クラウドの設計や移行には、幅広い知識が必要です。日々アップデートされるサービスをキャッチアップしながら最適な構成を選ぶのは、専任チームをもたない企業にとって大きな負担になります。短期間で成果を出したい場合ほど、外部パートナーとの協業を前提に検討した方がよい場面が増えています。

パートナーにはいくつかのタイプがあります。クラウド特化型のSIerは、AWSやAzure、GCPなどに深い知見をもち、多数の移行実績を備えています。設計から構築、運用設計までを一体で支援できるため、技術面の不安を早期に解消しやすい存在です。既存のオンプレミス環境との統合や大規模プロジェクトのマネジメントが重要な場合は、総合SIerが候補となります。経営や組織変革も含めた全体設計が必要な場合は、コンサルティングファームが有効です。導入後の運用やコスト最適化を継続的に支援してほしい場合は、マネージドサービスプロバイダーを活用する方法もあります。

管理職やPMとしては、自社の課題と体制に照らし合わせて、どの領域を外部に任せ、どこを社内の強みにするかを整理したうえで、パートナーを選ぶことが大切です。同業界での実績、保有資格、提案内容の具体性、運用フェーズでのサポート範囲などを比較し、単発のベンダーではなく、ともにクラウド活用を高めていけるパートナーを見極める視点が求められます。

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IaaSを中心としたクラウド領域は、DX推進や既存システムの刷新が急速に進む中で、今後も需要が見込まれる分野です。特にAWSやAzure、GCPを扱う専門家は、事業会社・SIer・コンサルティングファームのいずれからも求められ、経験値に応じて年収レンジが大きく広がる特徴があります。そのため、自身のスキルをどの企業・ポジションで生かすべきかを見極めることが、キャリア形成に直結します。

JACには、クラウドアーキテクトやSRE、インフラエンジニアなど、専門性の高いポジションを熟知したコンサルタントが在籍しています。技術トレンドと企業の採用要件を正確に把握したうえで、転職希望者の経験を丁寧に整理し、最適なポジションを提案できる点が強みです。また、外資系企業や大手企業の非公開求人を数多く保有しており、大規模移行プロジェクトやクラウド戦略立案といった高度な役割への挑戦機会にも出会いやすくなります。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

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当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。