メーカーからコンサルタントへの転職で生かせる経験・スキルや後悔しない秘訣

  1. コンサルティング業界
  2. 転職マーケット×コンサルティング業界

公開日:2026/01/26 / 最終更新日: 2026/01/26

メーカーからの転職を検討している方にとって、コンサルタント・コンサルティングファームへの転職は魅力的な選択肢といえます。

製造業のDX加速やサプライチェーン再設計のニーズが高まるなか、生産技術、SCM、品質、研究開発、ITといった実務経験者への採用需要は確実に拡大しています。

本記事では、メーカーからコンサルタントへの主な転職理由や志望動機、転職で生かせる経験・スキル、後悔するパターンと回避策などを、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。

業界のプロがあなたにあった転職支援を行います

今現在、

  • 経験を活かして異業界への転職を検討している
  • 業界内でより自分にあった企業へ転職したい
  • より年収を上げたい

上記のようなお困りごとがございましたら、私たちJACへ相談してみませんか?

メーカーからコンサルへの主な転職理由と志望動機の作り方

メーカーで培った専門性をどう再定義し、選考で説得力ある志望動機として伝えるかが重要です。ここでは、メーカーの経験を軸に、成果主義への適応、上流課題への関与、クライアントへの貢献の3つの観点から、自然で実務性の高い志望動機へ変換する方法を整理します。

  • ●年収・待遇のアップ|成果主義への適応を語る
  • ●仕事内容・働き方の変革|実行から上流の課題解決へ
  • ●市場価値・スキルの向上|「成長」を「貢献」に変換する

年収・待遇のアップ|成果主義への適応を語る

メーカーからコンサルを志望する方の多くが、報酬や待遇への課題感を転職理由に挙げます。メーカーでは年功序列の風土が根強く、昇給や昇進は長期的な視点で評価されることが一般的です。安定した評価制度の一方で、自らの成果が直接的な報酬に反映されにくいと感じる方も一定数います。成果が評価に直結しにくい環境では、「実績に応じた評価を受けたい」「短期間で能力を試したい」という意識が高まります。

待遇改善は自然な理由ですが、選考では金銭的動機が強調されないよう注意が必要です。「年収を上げたい」という表現は企業側から受け身に見えやすく、メーカーの評価制度を批判する姿勢はネガティブな印象につながります。志望動機では、待遇面の期待を「成果主義に積極的に適応する姿勢」として前向きに示すことが重要です。

具体的には、「現職の評価制度も安定していますが、より短期でシビアに成果が問われる環境で力を試し、発揮した価値に見合う評価を得たい」という表現が適切です。このいい回しであれば金銭的な期待を直接述べず、成果へのコミットメントと成長意欲を同時に示すことができます。メーカーで培った専門性を土台に、プロフェッショナルとして成果にコミットする姿勢を強調することで、説得力のある志望理由になります。

仕事内容・働き方の変革|実行から上流の課題解決へ

メーカー出身者がコンサルを志望する背景には、業務が実行フェーズに偏っていることへの課題意識があります。生産計画の遂行や工程改善、品質管理など、メーカー業務は一定の枠組みの中で最適化を図る役割が大きく、組織構造も縦割りであることが多い傾向です。そのため、担当する範囲が限定され、自部門の最適化にとどまるケースが少なくありません。こうした環境での経験を重ねる中で、施策の背景や全体最適の課題に関心をもつ方が増えています。

コンサルでは、戦略立案から課題設定、部門横断の調整、変革推進まで一連のプロセスに関与することが求められます。施策の必要性を整理し、経営視点での優先順位を決め、企業全体の最適化に向けて解決策を提示する役割です。メーカーで実行フェーズを担ってきた方にとって、この上流からの関与は大きな挑戦であり、同時に強い動機につながる要素です。

選考では、「メーカーで〇〇の実行を担う中で、施策の背景や目的を理解する重要性を強く感じ、なぜこの施策が必要なのかを設計する上流の課題解決に携わりたい」という表現が適切です。また、「部門内の改善にとどまらず、サプライチェーン全体の最適化や全社的な課題解決に関わりたい」という視野の広がりを示すことで説得力が増します。

メーカー出身者は、現場の制約やプロセスを理解しているため、実現可能性の高い戦略を描ける点が強みです。この視点を志望動機に組み込み、実行から上流への視座の変化を自然なストーリーとして示すことで、説得力が増します。

市場価値・スキルの向上|「成長」を「貢献」に変換する

メーカーからコンサルを志望する際、「成長したい」「スキルを身につけたい」という表現は避ける必要があります。これらは受身に映りやすく、即戦力を求めるコンサルタントの採用基準とはズレがあるためです。重要なのは、メーカーで培った専門性をどうクライアントの課題解決に生かせるかを示すことです。例えば、生産技術や品質管理、SCM、研究開発などの知見は、製造業の変革プロジェクトで強みになります。

志望動機は、「メーカーで培った〇〇の知見を生かし、製造業のクライアントに迅速に価値を提供したい」といった能動的な表現が適切です。さらに、「入社後すぐに〇〇領域で成果を出せるよう準備している」と具体性を加えることも効果的です。成長は、成果を出す過程で得られる副次的な要素として位置づけ、「貢献」を軸に据えることが評価につながります。

コンサルティングファームがメーカー出身者を求める背景

コンサルティングファームがメーカー出身者を積極的に採用する背景には、製造業DXやグローバルSCMの再編、サステナビリティやGXの加速といった構造の変化があります。これらのテーマは、どれも製造プロセスやサプライチェーンの実態の理解が不可欠です。ここでは、製造業DXとグローバルSCM再編、サステナビリティ・GXの3つの観点から、メーカー経験がなぜ評価されるのかを採用側の視点で整理します。

  • ●製造業DXとデジタル化の波
  • ●グローバルSCM(サプライチェーン)の再編
  • ●サステナビリティ・GXのトレンド

製造業DXとデジタル化の波

製造業DXの領域では、コンサルティングファームだけでプロジェクトを完結させることが難しくなっています。理由はシンプルで、工場や生産プロセスの実態を理解せずに描いたDX構想は、導入段階で現場とのギャップが顕在化しやすいからです。ライン編成や段取り替えの制約、生産技術や品質保証の判断軸などは、実務経験がないと細部までイメージしづらく、結果としてシステムだけが先行する形になりがちです。

一方で、多くのメーカーでは、IoTやAIを活用したスマートファクトリー構想や生産管理システムの刷新が進みつつあり、これらを支援するDXコンサルの需要は拡大しています。ここで求められているのが、製造業の工程や制約条件を理解したうえで、デジタル技術と結びつけられる方です。生産技術や生産管理、設備投資の企画などを経験してきたメーカー出身者は、実装可能性を踏まえたロードマップを描きやすく、現場側からも実務に精通していると見なされます。

採用側はこの点を重視し、工場DXや製造実行システム導入に関わった経験、IoTやデータ活用のプロジェクトをリードした経験を高く評価します。ただ技術に詳しいだけでなく、工程の流れや品質要求を理解したうえで、どこからデジタル化を進めるべきかを設計できることが期待されています。メーカーで培った知見をもとに、DX構想を実行可能な仕組みに落とし込める方は、コンサルティングファームにとって貴重な存在です。

グローバルSCM(サプライチェーン)の再編

グローバルなサプライチェーンは、パンデミックや地政学リスクの高まりを受けて大きな見直し局面にあります。調達先の分散や生産拠点の再配置、在庫ポリシーの再設計など、単純なコストダウンでは語れないテーマが経営課題として浮上しています。こうしたプロジェクトでは、理論だけで最適なネットワークを設計することは難しく、日々の生産計画や需給調整のリアルを理解しているかどうかが成果を左右します。

コンサルティングファームがメーカー出身者を求めるのは、この「SCMの実務感覚」をプロジェクトに組み込みたいからです。生産管理や調達、物流管理を経験してきた方は、需要予測の精度が現場でどう扱われているか、在庫削減目標がどこまで現実的かといった判断ができます。さらに、海外工場との連携や輸送リードタイム、通関や貿易実務に携わってきた経験があれば、グローバルSCM再編プロジェクトでも説得力のある提案につなげやすくなります。

採用側は、サプライチェーン全体の可視化や在庫最適化のプロジェクトにおいて、メーカー出身者が構想段階の計画を実現可能なロードマップへと具体化する役割を期待しています。MRPやERPの運用経験があり、部門間調整の難しさや制約に精通している方は、段階的な移行プランの設計にも強みを発揮できます。こうした背景から、生産管理や調達、ロジスティクスを経験したメーカー出身者は、SCM改革を支援するコンサルティングファームで高く評価されています。

サステナビリティ・GXのトレンド

サステナビリティやGXの領域でも、メーカー出身者へのニーズは高まっています。温室効果ガスの削減やカーボンニュートラルの実現は、製造プロセスやサプライチェーンと切り離して語ることができないテーマです。特に、サプライチェーン全体の排出量を把握して削減計画を立てる取り組みでは、原材料調達から生産、物流、製品使用後までの流れを理解していることが前提になります。

コンサルティングファームは、GX戦略やロードマップの策定だけでなく、工場単位のエネルギー削減や設備更新のシナリオ設計も任されるようになっています。このとき、工場のエネルギー使用構造や設備投資の判断プロセスを理解しているメーカー出身者がプロジェクトに入ることで、実現性の高い提案に近づきます。例えば、生産条件とエネルギー消費の関係を把握していれば、単なる設備更新にとどまらず、工程設計や運転条件の見直しまで踏み込んだ支援が可能になります。

採用側は、化学や素材、自動車、電機などの業界で、環境負荷低減に関わるプロジェクトの経験者に注目しています。環境規制や認証スキームに対する理解に加え、具体的な設備やプロセスに根ざした改善経験があれば、サステナビリティと事業戦略を結びつける役割を期待できます。GXコンサルティングの分野では、技術と経営の両方の言語を扱える方は貴重な存在です。メーカーでの経験を生かし、橋渡し役として評価されています。

【ケース別】メーカーからコンサルへの転職で生かせる経験・スキル

メーカー出身者がコンサルタントとして活躍するためには、どの領域で強みを発揮できるかを把握することが重要です。本章では、生産技術、生産管理、消費財マーケティング、R&Dの4つのケースを取り上げ、それぞれの経験がどのような役割やプロジェクトに結びつくのかを具体的に解説します。

  • ●ケース1:自動車・重工メーカーの生産技術からオペレーション改革・工場DXコンサルタントへ
  • ●ケース2:メーカーの生産管理職からSCM・在庫最適化コンサルタントへ
  • ●ケース3:食品・消費財メーカーから消費財戦略・CRMコンサルタントへ
  • ●ケース4:化学・電機メーカーのR&D・研究開発職から技術戦略・新規事業コンサルタントへ

ケース1:自動車・重工メーカーの生産技術からオペレーション改革・工場DXコンサルタントへ

自動車や重工メーカーで生産技術に携わってきた方は、工程ごとの制約や生産ラインの構造に精通しています。新規ラインの立ち上げや設備投資の検討、改善活動の推進を経験してきたのであれば、工程全体のバランスを保ちながら課題を見つける視点が自然と身についているはずです。この視点は、工場DXやオペレーション改革を支援するコンサルティングで必要とされる資質です。

コンサルタントは、現行プロセスの分析や改善テーマの設定、スマートファクトリー構想の策定などを担当します。実装の段階では、MES導入に向けた要件定義や現状の設備、作業手順を踏まえたプロセス再設計に関わることもあります。生産技術の経験者は、品質基準や工程制約など現場特有の課題を理解しています。この知見を生かし、実行可能な改善策を設計できる点が強みです。

実務に基づく提案は、机上の理論ではなく現場に即した解決策としてクライアントから高く評価されます。分析力と改善視点を武器に、工場改革を定着まで支援するコンサルタントとして活躍できます。

ケース2:メーカーの生産管理職からSCM・在庫最適化コンサルタントへ

生産管理の経験者は、需給の揺らぎと在庫のバランスを現場で調整してきた経験から、サプライチェーンの全体像をつかむ力をもっています。営業からの急な計画変更、調達リードタイムの制約、生産能力との調整など、日々直面する課題を整理しながら最適な計画を行った経験があれば、SCM改革に必要な実務感覚が備わっています。

SCMコンサルタントは、需給計画プロセスの見直し、在庫水準の最適化、グローバル拠点との調整、システム刷新に向けた要件整理などを担います。在庫の削減やキャッシュフローの改善を目指すプロジェクトでは、統計モデルだけでは判断できない要素を理解していることが強みになります。例えば、生産リードタイムや段取り替えの習熟度といった要素は、実務経験がなければ判断が難しい部分です。

現場の負荷を理解し、実行可能な改善策を設計できる点で、こうした経験を備えた方はプロジェクトの成功に不可欠な存在です。SCMの理論に実務の感覚を組み合わせることで、全体最適につながる改革を推進し、企業の供給体制を強化する役割を担えます。

ケース3:食品・消費財メーカーから消費財戦略・CRMコンサルタントへ

食品や消費財メーカーでブランドやマーケティングに関わってきた方は、生活者の変化や売り場の動きに敏感です。プロモーションの企画、POSデータ分析、チャネルごとの販売動向の整理などを経験してきた方であれば、消費者行動を踏まえた打ち手の設計が得意です。この経験は、消費財戦略を扱うコンサルティングで必要とされる視点と重なります。

消費財戦略・CRM領域では、ブランドポジショニングの再整理、チャネル戦略の統合、EC活用の高度化、顧客データを生かしたCRM施策の構築などがプロジェクトの中心です。食品・消費財メーカー出身の方は、販促施策の手触り感や小売との関係性、販促費の実務的な運用の現実を理解しているため、戦略と実行のズレを少なくできます。

CRM領域では、会員データや購買履歴をもとに顧客セグメントを整理し、より効果的な施策へと落とし込むことが求められます。実務で施策を検証してきた方は、効果を高めるための導線設計をイメージしやすく、クライアントにとって使いやすい施策として提示できます。ブランドとチャネルの両面を理解したコンサルタントとして、売上拡大に直結する具体的な支援を提供します。

ケース4:化学・電機メーカーのR&D・研究開発職から技術戦略・新規事業コンサルタントへ

R&Dに携わってきた方は、技術の成熟度や実用化の難易度を判断する視点をもっています。実験設計やデータ検証、特許調査、技術ロードマップ作成などを担当してきたのであれば、研究のステップと事業化のハードルを理解しており、技術の可能性を現実的に評価することができます。

技術戦略・新規事業コンサルタントは、企業のR&D投資方針の整理や技術シーズの事業化検討、市場性評価、技術デューデリジェンスなどを担当します。さらに、R&Dの経験者であれば、研究者が生み出した技術の特徴や価値を深く理解できます。そのため、その理解をもとに事業性を評価でき、結果として経営層との議論でもズレが生じにくくなります。

M&Aやアライアンスのプロジェクトでは、技術の実用性や統合後のシナジーを見極める必要があります。このとき、研究開発の経験は大きな強みです。なぜなら、技術の価値を「収益性」「市場競争力」「投資効果」など、経営層が理解できる指標に置き換えられるからです。その結果、技術戦略と事業戦略の両立を支える重要な役割を果たせます。

メーカーからコンサルへの転職で後悔する3つのパターンと回避策

メーカーからコンサルタントへ転職した人の中には、後悔するケースもあります。その理由は、仕事内容そのものではありません。「働き方の前提」や「求められる作法」を理解しないまま転職してしまうことにあるのです。本章では、後悔してしまう理由となる代表的な3つのパターンを示し、どのようなマインドセットと準備を行えばいいのかを整理します。

  • ●パターン1:業務スピードと「Up or Out」の文化についていけない
  • ●パターン2:コンサルが泥臭い実行支援者である現実を受け入れられない
  • ●パターン3:専門性は生かせてもコンサル流の作法が身につかない

パターン1:業務スピードと「Up or Out」の文化についていけない

メーカーからコンサルタントへ転職した方が最も戸惑いやすいのは、評価のスパンと求められるスピードの違いです。メーカーでは中長期的に育成する文化が根強く、昇進は数年単位で判断される傾向があります。一方で、コンサルタントは短期で成果を示すことが前提で、数カ月単位でアウトプットの質を評価されます。結果として「思った以上にスピードが速い」「やるべきことの粒度が細かい」と感じ、仕事の進め方とのギャップが生まれやすくなります。

さらに、コンサルタントには一定期間で昇進できなければ役割が縮小する「Up or Out」が存在します。この文化は厳しいものではありますが、その環境こそがスキルを磨く絶好の成長の場にもなります。ここで大切なのは、転職理由を曖昧にしないことです。「なぜ転職したいのか」「どのような環境を望むのか」という軸を明確にしなければ、評価とプレッシャーに押されて後悔につながります。

回避策としては、スピードと成果主義を前向きに受け止められるかを、事前に自らに問うておくことが必要です。また、現役コンサルタントとの会話を通じて、実務のペースや評価基準を具体的に把握することも効果的です。

パターン2:コンサルが泥臭い実行支援者である現実を受け入れられない

コンサルタントの仕事を、「上流で戦略を描き、指示を出す立場」と捉えて転職すると、ギャップに直面しやすくなります。実際の若手コンサルタントの業務の中心は、データ分析や資料作成、ヒアリング準備などの地道な作業です。外から見ると華やかに見えますが、実際はプロジェクトを支える基礎的な作業が大半を占めます。この実態を理解せずに入社すると、「イメージと違う」と感じる可能性があります。

また、コンサルタントの実行支援では、想像以上に資料作成やデータ分析などの実務が求められることに驚く人もいます。しかし、これらは単なる作業ではなく、仮説を検証し、論点を整理する重要なプロセスです。こうした地道な取り組みを通じて、提案の質が磨かれていきます。

こうした実作業のギャップを生まないためには、事前に仕事の実態を深く理解することが重要です。現役コンサルタントへのヒアリングやOB訪問を通じて、普段どのような業務に時間を使っているかを確認するだけでも期待値が整います。また、泥臭い作業を「価値につながるプロセス」と捉えるマインドセットがあれば、業務への納得感は高くなります。業務を完遂する力を備えたメーカー出身の方であれば、むしろ強みとして発揮できます。

パターン3:専門性は生かせてもコンサル流の作法が身につかない

メーカーでの専門性は、コンサルタントの業務において大きな強みとなりますが、それだけでは成果につながりません。コンサルタントには、仮説思考や論点設定、構造化、端的なコミュニケーションといった独自の作法があります。これらを身につけていなければ、専門性があっても「説明が長い」「伝わりにくい」「論点が整理されていない」と評価されてしまうことがあります。

特に、仮説思考に慣れていない方は、情報収集の順番や話の組み立て方に苦労します。また、MECEやロジックツリーなどの思考法を使いこなすには、一定の訓練が必要です。専門性に自信がある方ほど、逆にこの「コンサル流の作法」に戸惑うことがあるのです。

回避策は、入社前から思考法のキャッチアップを行うことです。ケース面接対策は、コンサルタントの思考法そのものを実践する機会です。仮説の置き方や論点整理、構造化の手順を身につけることで、入社後の学習負荷を大きく減らせます。専門性に加え「コンサル流の作法」を身につけていれば、プロジェクトの立ち上げ段階から成果を生みやすく、即戦力として高く評価されます。

メーカー出身者が目指すべきコンサルティングファームの種類と選び方

「どのファームなら自分の経験を生かしやすいか」を見極めることは重要です。同じコンサルティングファームでも、総合系・製造業特化型・IT系・戦略系と、それぞれで扱うテーマや求める強みが異なります。ここでは、代表的な4つのタイプについて、その特徴とどのような方に向いているかを解説します。

  • ●総合系(Big4)コンサルティングファーム
  • ●製造業特化型コンサルティングファーム
  • ●IT系コンサルティングファーム
  • ●戦略系コンサルティングファーム

総合系(Big4)コンサルティングファーム

総合系コンサルティングファームは、大手製造業を含む幅広い企業に対して、戦略立案から業務改革、システム導入、サステナビリティまで一気通貫で支援する点が特徴です。メーカー出身者が入社した場合、製造業DXや工場DX、グローバルSCM改革、サステナビリティ対応など、大規模な全社変革プロジェクトに関わる機会が多くなります。クライアントも日系大手やグローバル企業が中心で、「日本を代表する製造業の変革に携わりたい」という志向の方には魅力的な環境です。

また、総合系は組織規模が大きく、研修やOJTを通じてコンサルティングスキルを体系的に学べる点も特徴です。メーカー出身者にとっては、これまでの業務知識を生かしながら、戦略や会計、IT、リスク管理などの知見を横断的に身につけられます。一方で、プロジェクトのテーマやフェーズは多様であり、必ずしも製造業だけに絞られるとは限りません。幅広い業界や機能にチャレンジする姿勢が求められます。

総合系(Big4)ファームに向いているのは、大企業の変革に関わりたい方、業界横断でスキルを広げたい方、研修やナレッジが整った環境でコンサルタントのキャリアを築きたい方です。逆に、「特定の業界だけに絞って深掘りしたい」という志向が強い場合は、ほかのタイプのファームを検討するとよいでしょう。

製造業特化型コンサルティングファーム

製造業特化型コンサルティングファームは、製造業の課題に焦点を当てて支援する点が特徴です。生産性向上や品質改善、原価低減、グローバル生産体制構築、技術戦略など、ものづくり企業が直面するテーマに深く入り込むスタイルが一般的です。メーカー出身者が転職した場合、自動車、機械、電機、素材など、経験してきた業界に近いクライアントを担当しやすく、現職での知見をダイレクトに生かせます。

現場を確認しながら改善策を検討するようなプロジェクトも多く、実行段階まで関わる機会が豊富です。工場でのカイゼン活動や生産技術、品質保証、R&Dに携わってきた方であれば、クライアントと同じ目線で議論でき、信頼を得やすい環境といえます。メーカー出身のコンサルタントが多いファームも多く、転職後のカルチャーギャップが比較的小さい点も特徴です。

製造業特化型ファームに向いているのは、製造業そのものに強い思い入れがある方や現場に根ざした改善や実行支援が好きな方、自身の技術的バックグラウンドを最大限に生かしたい方です。一方で、金融や通信など別業界の案件に幅広く携わりたい方には、総合系との比較検討が必要になります。

IT系コンサルティングファーム

IT系コンサルティングファームは、ERPやMES、SCMシステムなどの導入支援、データ基盤構築、IoT、AIを活用したDXプロジェクトを中心に手掛けます。メーカー出身者が転職した場合、製造業向けの基幹システム刷新や工場DXのためのシステム企画、要件定義など、業務とテクノロジーの接点に位置する案件に関わることが多くなります。現場業務を理解している方は、「使えるシステム」にするための要件整理や業務プロセスの見直しで強みを発揮できます。

IT系ファームでは、エンジニアや開発ベンダーと協働しながらプロジェクトを進めるため、技術的な観点と業務観点をつなぐ役割が求められます。システム導入プロジェクトにユーザー側として関わった経験がある方や、IT企画、DX推進部門に近い役割の経験者にとって、これまでの知見を生かしやすい環境です。また、純粋な戦略立案だけではなく、要件定義やテスト支援など、実装寄りのタスクにも一定程度関わることになります。

IT系ファームに向いているのは、ITやデジタルに興味がある方や業務とシステムの両面から課題解決に取り組みたい方、長期のプロジェクトでじっくりクライアントに伴走したい方です。テクノロジーの変化に継続的にキャッチアップする姿勢をもてるかどうかが、入社後の活躍を左右します。

戦略系コンサルティングファーム

戦略系コンサルティングファームは、全社戦略や事業戦略、新規事業、M&A戦略など、経営レベルの意思決定を支援するプロジェクトを主に扱います。メーカー出身者が入社した場合、製造業のポートフォリオ見直しや新規事業の立ち上げ、海外展開戦略、技術戦略と事業戦略の統合などの案件に関わることが想定されます。自社で経験した業界知識を軸に、より上流の意思決定に関与できる点が魅力です。

戦略系は、問題設定力や仮説思考、定量分析力などに高いレベルが求められます。プロジェクト期間も数週間から数カ月と短く、限られた時間で論点を整理し、経営層に納得感のある提言を行う必要があります。メーカーで経営企画や新規事業に携わってきた方、日常的に経営層と近い距離で仕事をしてきた方は、これまでの経験が生かしやすい環境です。ただし、採用ハードルは高く、選考ではケース面接を通じて思考力やコミュニケーション力が厳しく評価されます。

戦略系ファームが向いているのは、経営課題の解決に深く関わりたい方や論理的思考力に自信がありケース面接対策にも本気で取り組める方、自身の専門業界を起点に経営トップへの提言に挑戦したい方です。働き方の負荷や求められる水準も高いため、「なぜ戦略系でなければならないのか」という軸を明確にもつことが重要です。

メーカーからコンサルへの転職事例

ここでは、JACが提供する転職支援サービスを利用して、メーカーからコンサルタントへの転職を成功させた事例を紹介します。

大手メーカーからコンサルタントへ、専門性を軸にキャリアの幅を広げた転職事例

Sさん(40代後半/男性)

業種職種年収
転職前ゴム製品メーカー財務・経営管理マネージャー1,700万円
転職後コンサルティング・シンクタンク戦略コンサルタント2,200万円

長くグローバル市場で事業を展開する大手製造業に勤務していたSさんは、管理会計を中心に財務領域全般を経験し、海外統括会社での駐在も含めて経営層に近い立場で業績管理を担ってきました。国内外のCEO・CFOへのレポートや改善提案を行う機会も多く、財務と経営企画の双方を理解する稀少な専門性を備えた方でした。一方で、大規模組織ならではの意思決定の遅さや役職定年の制度を踏まえ、よりスピード感をもって経営に貢献できる環境を求めて転職を検討するに至りました。

JACのコンサルタントは、Sさんの経営数値に対する洞察力、グローバルでの意思決定プロセスを理解している点、そして多文化環境で成果を上げてきた実績に着目しました。そのうえで、専門性を保ちながらも業界横断で経営課題に向き合えるファームのコンサルタント職を提案しました。同社は業界や領域に縛られず幅広いプロジェクトに関われる点が特徴です。財務基盤の構築や経営改善の知見をもつSさんにとって、戦略・業務・ITの複数領域に挑戦できる環境は、これまでの経験を生かしながら視野を広げるうえで相性が良いと判断しました。

結果としてSさんは、年収1,700万円から2,200万円へと大きくステップアップしつつ、大手企業の経営企画や役員層を支援する上流プロジェクトに携わるポジションで、新たなキャリアを歩み始めています。財務領域の専門性を土台としながら、より広い経営課題に対峙できる環境へ移行できた成功事例といえるでしょう。

※事実をもとにしておりますが、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

大手化学メーカーのIT・DX推進からIT戦略コンサルタントへ転職した事例

Tさん(30代後半/男性)

業種職種年収
転職前化学メーカーIT・DX推進マネージャー900万円
転職後コンサルティング・シンクタンクITコンサルタント1,050万円

Tさんは、新卒で大手化学メーカーに入社して以降、研究開発、製造、マーケティングと部門を変えながら、常にITとデジタルを軸に業務改善へ取り組んできました。現場の業務プロセス整理からシステム企画、アプリケーション開発、クラウド活用まで一連の流れを経験し、直近ではIT・DX推進マネージャーとしてプロジェクトマネジメントと社内教育の両面を担っていました。全社向けのBI教育プログラムを企画し、グループ会社を含め数十名にデータ活用を指導するなど、社内のデジタル変革をけん引してきた方です。

一方で、社内の枠にとどまらず、培ったIT・デジタルの知見を生かして経営層により近い立場から企業変革を支援したいという思いが強まり転職を検討されました。

JACのコンサルタントは、Tさんが業務プロセスとテクノロジーの双方を深く理解し、自ら手を動かしてDXを推進してきた点を重視しました。そのうえで、経営・業務・ITを一体として変革するプロジェクトを数多く手がける、外資系コンサルティングファームのIT戦略コンサルタントのポジションをご提案しました。

選考においては、これまでの社内DX推進経験を経営課題の言語に置き換えること、プロジェクトマネジメントだけでなくクライアントへの示唆につながるエピソードとして整理することがポイントとなりました。JACのコンサルタントは、面接ごとに振り返りを行い、Tさんと一緒に強みの伝え方や事例の構成を磨き込んだ結果、ITコンサルタントとして内定を獲得しました。年収も900万円から1,050万円へとアップし、現在は複数業界のクライアントのIT戦略やDX構想策定に携わっています。

※事実をもとにしておりますが、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

大手素材メーカーの企業内弁護士から外資系コンサルの営業法務へ転職した事例

Kさん(40代前半/女性)

業種職種年収
転職前金属・素材メーカー法務DXプロジェクトリーダー1,250万円
転職後コンサルティング・シンクタンク営業法務1,400万円

Kさんは、司法試験に合格し大手素材メーカーの法務部でキャリアを築いてきました。M&Aや株主総会対応、各種開示、立法支援、訴訟対応に加え、グループ会社への出向で新規ビジネス支援やコンプライアンス対応も経験し、近年は法務DXプロジェクトのリーダーとして業務標準化やリーガルテック導入にも取り組んでいました。弁護士資格とTOEICというバックグラウンドを生かし、企業内弁護士として幅広い案件に関わってきた方です。

一方で、育児との両立により稼働時間に制約が生じたことで、重要案件に関わる機会が限定されている感覚をおもちでした。人間関係や環境への不満はないものの、「性別やライフイベントに左右されずキャリアを築きたい」「IT領域の知見を深めたい」という思いから、転職を検討されました。そこでJACのコンサルタントは、ITビジネスに強みをもつ外資系コンサルティングファームの営業法務ポジションをご提案しました。

このポジションは、クラウドやAIなどのデジタル案件を含む大規模契約のドラフトやレビュー、交渉に加え、ビジネス案件の初期段階からリスク分析やスキーム検討に関与できる点が特徴です。JACのコンサルタントは、Kさんのコーポレート法務の経験と法務DXの知見が、複雑なIT案件の契約リスクを構造的に捉えるうえで十分に生きると判断しました。また、在宅勤務やフレックス制度が整備されており、育児とキャリアを両立しやすい点も重要な判断材料となりました。

選考過程では、メーカーでの法務DX経験を、ITビジネスを支えるリーガルパートナーとしてどう生かすかという観点で整理し直し、契約実務だけでなく契約プロセス全体を設計できる点を丁寧に言語化しました。その結果、Kさんは年収1,250万円から1,400万円へと年収を高めつつ、営業法務として経営に近い立場でデジタル案件をリードする新たなキャリアをスタートされています。

※事実をもとにしておりますが、個人が特定されないよう一部内容を調整しています。

メーカーからコンサルへの転職なら、JAC Recruitment

メーカーからコンサルタントへ転職する際は、製造業で培った専門性をどのように強みとして言語化し、どのコンサルティングファームでどのようなキャリアを描くかを明確にすることが重要です。コンサルティングファームは、メーカーと評価軸や働き方が大きく変わるため、案件情報だけで判断すると入社後にギャップを感じる可能性もあります。

JACには、メーカーとコンサルタントの双方の採用動向や評価ポイントを理解したコンサルタントが在籍し、生産技術やSCM、マーケティング、R&Dなど職種ごとの強みを踏まえたキャリア提案を行うことが可能です。志望動機の整理やケース面接対策だけでなく、総合系や戦略系、製造業特化型、IT系といったファームの違いも踏まえて選考戦略を設計することができます。

メーカーでの経験を生かしながらコンサルタントとしてのキャリア形成を真剣に考えたい方は、ぜひJACにご相談ください。

  • コンサルティング業界転職情報

    コンサルティング業界の転職ならJAC Recruitment ハイクラス・ミドルクラス転職 顧客満足度 7年連続 2019~2025年 オリコン顧客満足度Ⓡ調査 ※1 No.1 コンサルティング業界に特化したプロがいる登… 続きを読む コンサルティング業界転職情報

この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。