「海外では転職が当たり前」という言葉を耳にしたことはありませんか。 日本では「転職回数が多い」ことが、時にネガティブに映る場合があります。一方で、海外ではキャリアアップの証とされます。その違いはどこから来るのでしょうか。
本記事では、各国の勤続年数データや転職に対する意識調査などに基づき、海外の実態や「転職が当たり前」とされる背景を、JAC Recruitment(以下、JAC)が詳しく解説します。
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目次/Index
海外では転職は当たり前?データ・調査から見るその実態
国際的に「転職が当たり前」とされる国もありますが、すべての国がそうではありません。欧米や北欧では、キャリア設計に転職を組み込む文化が浸透しています。一方で、長期雇用を重視する国もあります。各国の労働制度や社会保障の仕組みによって、転職行動は大きく異なります。本記事では、勤続年数と意識調査の2つの観点からその実態を整理します。
- ●各国の平均勤続年数データから見る転職の実態
- ●各国の青少年の転職に対する考え方の調査から見る転職の実態
各国の平均勤続年数データから見る転職の実態
労働政策研究・研修機構(JILPT)の「データブック国際労働比較2025」によると、2023年時点で日本の平均勤続年数は12.4年で、調査対象14カ国中最長でした。以下は男女計の勤続年数を長い順に並べた結果です。
| 国名 | 男女計(年) | 男性(年) | 女性(年) |
|---|---|---|---|
| 日本 | 12.4 | 13.8 | 9.9 |
| イタリア | 11.6 | 11.8 | 11.3 |
| ベルギー | 10.5 | 10.3 | 10.6 |
| フランス | 10.3 | 10.3 | 10.3 |
| ドイツ | 10.1 | 10.3 | 9.8 |
| スペイン | 9.8 | 10.0 | 9.6 |
| イギリス | 9.4 | 9.6 | 9.2 |
| ノルウェー | 8.3 | 8.3 | 8.2 |
| フィンランド | 8.0 | 8.2 | 7.9 |
| スウェーデン | 8.0 | 8.0 | 8.0 |
| オランダ | 7.9 | 8.3 | 7.4 |
| デンマーク | 7.0 | 7.2 | 6.8 |
| 韓国 | 6.2 | 7.1 | 5.1 |
| アメリカ | 3.9 | 4.2 | 3.6 |
日本の平均勤続年数は12.4年で14カ国中最長です。対照的に、アメリカは3.9年と最も短く、転職によるキャリア構築が一般化しています。北欧諸国は8年前後と中間で、柔軟な雇用制度と再就職支援により、転職が自然な選択肢として定着しています。
男女差では、日本は男性が長く女性が短い傾向が顕著で、ライフイベントの影響が反映されています。
このように転職の「当たり前度」は国ごとに異なり、労働市場の柔軟性・社会保障・文化的価値観が複合的に影響しています。特に北欧や米国では、転職を前提にキャリアを設計する傾向が強く、制度がそれを支えています。
出典:労働政策研究・研修機構 (JILPT)「データブック国際労働比較2025」(第 3-13-2 表 性別・年齢階級別勤続年数)
各国の青少年の転職に対する考え方の調査から見る転職の実態
勤続年数の差だけでなく、意識の面でも国ごとに特徴が明確です。内閣府の国際調査「データブック国際労働比較2025」に基づく内閣府の国際調査では、13〜29歳の若年層を対象に転職への考え方を比較しています。
| 国名 | つらくても一生一つの職場で働くべき | できるだけ転職せず働きたい | 強い不満があれば転職もやむなし | 不満があれば転職する方がよい | 才能を生かすため積極的に転職する | 無回答 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 4.4% | 23.6% | 26.4% | 22.8% | 10.1% | 12.6% |
| アメリカ | 15.6% | 24.8% | 23.5% | 21.4% | 4.6% | 10.1% |
| イギリス | 8.6% | 22.3% | 29.0% | 24.5% | 3.5% | 12.1% |
| ドイツ | 7.1% | 17.4% | 30.0% | 33.7% | 5.1% | 6.8% |
| フランス | 9.1% | 19.2% | 29.0% | 20.6% | 11.6% | 10.7% |
| スウェーデン | 8.0% | 15.5% | 22.2% | 38.5% | 6.5% | 9.3% |
| 韓国 | 3.9% | 33.9% | 19.6% | 20.7% | 13.3% | 8.5% |
若年層の意識では、スウェーデン・ドイツなど欧州では「不満があれば転職する」が主流で、転職に対する心理的ハードルが低いことが分かります。
一方、日本は保守的な志向は弱まりつつあるものの、積極的転職は1割程度にとどまります。韓国は安定志向が高まっており、転職行動は社会・経済環境によって左右されることが読み取れます。
出典:労働政策研究・研修機構 (JILPT)「データブック国際労働比較2025」(第 3-14 表 青少年の転職に対する考え方)
転職回数を気にするのは日本だけ?海外では転職が当たり前とされる背景
国際的に見ると、「転職が当たり前」とされる国々は、主にアメリカやイギリス、ドイツ、スウェーデン、デンマークなどの欧米・北欧諸国です。これらの地域では、職務を前提とした採用制度と高い雇用流動性が制度的に整っています。一方で、日本や韓国などの東アジア諸国は、社内での長期雇用を基本とする「メンバーシップ型雇用」を維持しており、転職回数が評価に影響する傾向は依然として強いです。
以下では、その背景を3つの観点から解説します。
- ●雇用の流動性を前提とした「ジョブ型採用」であるため
- ●転職=年収アップの最短経路という報酬システムという認識があるため
- ●解雇に合理性があり、専門性へのリスペクトが強い文化であるため
雇用の流動性を前提とした「ジョブ型採用」であるため
欧米では職務を基準に採用する「ジョブ型」が主流で、必要なスキルを持つ人材を外部から補充します。職務がなくなれば契約も終了するため、転職はキャリアの自然なステップです。
一方、日本や韓国では職務を限定しない「メンバーシップ型」が中心で、長期雇用を前提に育成する仕組みが根づいています。この構造の違いが、欧米で転職が一般化する背景となっています。

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本格化する日本の「ジョブ型雇用」にいかに適応するか
2023年5月、政府の「新しい資本主義実現会議」は、「三位一体の労働市場改革の指針」を発表しました。 政府が標榜する「新資本主義」を実現するための条件は、成長分野への円滑な労働移動。政府はそのために必要な、インフラとして… 続きを読む 本格化する日本の「ジョブ型雇用」にいかに適応するか
転職=年収アップの最短経路という報酬システムであるため
欧米では転職が年収アップの代表的手段で、企業は個人の市場価値に応じた報酬を提示します。アメリカではサインオンボーナスや株式報酬(RSU)の活用が一般的で、転職によって報酬水準を一気に更新することが可能です。また職務ごとの“市場価格”が明確なため、スキルの希少性がそのままオファー金額に反映されます。
一方、日本は賃金テーブルや年功序列の等級制度が中心で、昇給は社内昇格に依存します。このため、転職による評価リセットが起きにくく、結果として転職を慎重に判断しやすい文化が根づいています。
解雇に合理性があり、専門性へのリスペクトが強い文化であるため
欧米では業績悪化や職務消滅によるレイオフが制度として定着しており、解雇は経済合理性に基づくプロセスとして扱われます。そのため、個人は職務単位でキャリアを構築し、スキルの市場価値を継続的に更新する文化が根づいています。専門性に対する評価も高く、職務が変われば企業を移ることは自然な選択肢です。
一方、日本では整理解雇のハードルが高く、組織内での再配置が優先されるため、長期雇用を前提としたキャリア観が続いています。この構造が、転職回数への慎重な評価につながっています。
日本でも当たり前になってきている転職を成功させるためのポイント
日本でも、転職はすでに珍しい選択ではなくなりました。特に、専門職やグローバル企業では、転職を通じてスキルを更新し、キャリアの幅を広げる動きが加速しています。一方で、日本特有の「長期雇用」や「社内での成長」を重視する価値観は依然として根強く、転職をどのように位置づけるかは、戦略的な判断が求められます。
ここでは、海外の転職文化との比較を踏まえながら、日本で転職を成功させるための実践的なポイントを整理します。
- ●日本的なキャリア観がグローバル市場ではリスクになり得ることを認識する
- ●「会社」ではなく「職務・専門性」に軸足を置く
- ●転職回数を一貫性のあるキャリアストーリーとして語る
- ●外資・海外に強いハイクラス専門のエージェントを活用する
日本的なキャリア観がグローバル市場ではリスクになり得ることを認識する
最初に認識すべきは、「転職回数が少ない=誠実・安定」という日本的なキャリア観が、国際市場では必ずしも高く評価されないという点です。
欧米や北欧などのグローバル企業では、複数の環境で成果を上げた経験を、「挑戦意欲」と「市場価値の証」として評価する傾向があります。長期在籍が多い場合、安定志向とみなされ、変化への柔軟性や新しい環境における成果を生み出す力に、疑問をもたれることもあります。
背景にあるのは、評価軸の違いです。日本では「勤続年数」や「組織貢献度」が重視されるのに対し、海外では「成果の再現性」と「スキルの陳腐化リスク」が問われます。そのため、グローバル企業の面接では「どのような課題に挑み、どのような価値を生んだか」を定量的に説明できることが重要になります。
実践的には、次の3点を意識するとよいでしょう。
① 直近3年間の成果をKPIや数値で明確化する
② 新しい技術や手法へのキャッチアップ実績を示す
③ 長期在籍を「安定」ではなく「挑戦の継続」として語る
日本的な価値観を完全に否定する必要はありません。ただし、それをグローバルな文脈に翻訳し、成長意欲として再定義できるかが、国際水準で評価されるための第一歩です。
「会社」ではなく「職務・専門性」に軸足を置く
転職を成功させる上で最も重要なのは、「所属企業」ではなく「職務」と「専門性」をキャリアの軸に据えることです。欧米諸国ではジョブディスクリプション(職務記述書)を基準に、採用・評価が行われます。企業名よりも「どの領域で、どの責任範囲を担い、どのような成果を残したか」が重視されるため、キャリアを語る際の主語は常に「会社」ではなく「自分の役割」です。
日本では、いまだに「企業文化への適合」や「社風」が重視される傾向があります。しかし、近年は職務等級制度や専門職グレード制を導入する企業が増えています。こうした変化に合わせ、自らのキャリアも「役割と成果」で整理しておくことが不可欠です。
「どのような会社で働いてきたか」ではなく「どのような責任を担い、どのような価値を提供してきたか」。この視点への転換こそが、転職市場での評価を大きく変える鍵になります。
転職回数を一貫性のあるキャリアストーリーとして語る
転職回数の多さは、それ自体がリスクになるわけではありません。問題は「目的が一貫しているか」「成長の軸が見えるか」です。複数の環境で得た経験が一つのテーマのもとに整理されていれば、回数はむしろ成長の軌跡としてポジティブに映ります。
採用担当者が注目するのは、離職理由そのものではなくその選択が「キャリア仮説に基づくものかどうか」です。環境への不満や人間関係だけを理由に挙げると再発リスクと判断されます。しかし、職務課題の明確化やスキル拡張を目的とした転職であれば、むしろ主体的な判断として評価されます。
構成としては、
① キャリア全体のテーマを一語で定義する(例:「収益性改善」「事業開発」「品質向上」など)
② 各社で果たした役割をテーマに沿って整理する
③ 過程で学んだスキル・知見の更新を明示する
④ 次のポジションでどう再現・発展させるかを説明する
このように「転職の数」ではなく「挑戦のストーリー」で語ることで、履歴の印象は大きく変わります。短期在籍も、職務の完結やスキル獲得の結果として説明できれば、懸念ではなく合理的な選択と理解されます。
外資・海外に強いハイクラス専門のエージェントを活用する
最後に、転職を成功に導く上で重要なのが、信頼できるエージェントの活用です。特に、グローバル企業や外資系では、職務要件や報酬体系が複雑であり、個人だけで最適な条件を交渉するのは容易ではありません。エージェントを活用することで、非公開求人へのアクセスや報酬条件の比較、交渉プロセスの戦略立案が可能になります。
中でも、JACのようなハイクラス・グローバル専門のエージェントは、業界横断的な知見をもとに、転職希望者の専門性と市場ニーズを的確に見極め、最適な選択肢を提示できる強みをもっています。応募段階では、職務要件を分析し成果に基づく履歴書を整え、面接段階では、ケーステーマや想定質問を事前に整理し、数値と意思決定プロセスに基づいて回答を構築します。オファー交渉段階では、総報酬(基本年俸・変動報酬・株式報酬・福利厚生)をトータルで比較し、入社後の成果計画まで見据えてサポートを行います。
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