「脱炭素」を巡る企業の取り組みとビジネスモデル。伸びる業界は?

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公開日:2022/01/21 / 最終更新日: 2024/01/19

昨今、取り沙汰されている「脱炭素」。なぜ、企業は脱炭素に取り組むのでしょうか。

2021年6月に、経済産業省が「グリーン成長戦略」の具体的な実行計画を発表。これは、民間投資を促進するもの=ESG投資を呼び込むためのものと企業は捉えており、そのため「脱炭素」の実現に向けた新たな技術やビジネスモデルの開発に力を入れるようになりました。これにともない、関連事業を運用できる人材の採用が活発化しています。

今回は、これまでの日本の歩みを振り返りつつ、企業が脱炭素に取り組む本当の意味を掘り下げます。「脱炭素」はあらゆる業種に関わる課題ですが、なかでも特にエネルギー業界と金融業界にフォーカスして、企業の取り組みと求人トレンドをお伝えします。

「脱炭素」社会の実現へ、日本が歩んできた道のり


日本において、地球温暖化防止に向けた行動計画が策定されたのは、1990年にさかのぼります。
1997年、京都で開催された国連気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)にて、温室効果ガス削減の数値目標と目標達成時期を定めた「京都議定書」が採択。以降、Co2削減に向け、さまざまな対策が講じられてきました。

その施策の一つが、太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスといった「再生可能エネルギー」の導入。
2011年、東日本大震災での福島第一原発事故を機に、再生可能エネルギーへの注目が一気に高まりました。
2012年以降は、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)導入にともない、太陽光発電事業に新規参入する企業が増加。FIT買取価格の低下により、太陽光発電システムの導入は2014年度をピークに縮小していますが、「自家消費型」太陽光発電市場は拡大を続けています。

ここ最近、盛んに取り沙汰されるようになった「SDGs」=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)。これは2015年9月、国連サミットで採択されたものです。193の国連加盟国が2030年までの達成を目指して掲げた17の目標を指します。このうち「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「13:気候変動に具体的な対策を」が「脱炭素」の目標に該当します。
日本でも2016年よりSDGsへの実施方針の検討を開始。2019年末に「SDGsアクションプラン2020」が発表されました。

2020年10月、当時の菅政権は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という「脱炭素」「カーボンニュートラル」を宣言。これを受け、同年12月、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。2021年6月には関係省庁が連携し、より具体化した改訂版が発表されています。

この「グリーン成長戦略」では、成長が期待される14分野において実行計画が策定されており、エネルギー業界に関連するものは以下の4分野です。
1. 洋上風力・太陽光・地熱産業(次世代再生可能エネルギー)
2. 燃料アンモニア・水素産業
3. 次世代熱エネルギー産業
4. 原子力産業

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企業が脱炭素に取り組む本当の意味


かつて、温暖化対策への取り組みは、「社会的責任」「社会貢献」と捉えられてきました。しかし、グリーン成長戦略は、民間投資を後押しし、「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策として打ち出されています。つまり、これを成長機会と捉えているのです。

SDGs策定後、「ESG投資」に注目が集まっています。従来の投資は財務情報をベースに判断されてきましたが、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した「ESG投資」が活発化。ESG投資に関する国際的調査機関・GSIA(世界持続可能投資連合)の報告書によると、ESG投資は世界で3000兆円にも達するとされています。

●エネルギー業界の動き

政府は当面の目標として、2030年度、発電量に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%に引き上げることを目指しています。また2020年末、「洋上風力産業ビジョン(第1次)」において、洋上風力の導入目標(30年までに1000万キロワット、40年までに3000万~4500万キロワットの案件形成)を示しました。国内市場を創出し、国内外からの投資の呼び込みを図ります。

2022年においても洋上風力発電事業への関心は高いほか、太陽光発電所の活用、陸上風力などの電源の開発も継続しているので、業界全体の採用は活発になっています。エネルギーミックスに向けた発電所開発、EV・モビリティなどの新規事業などに関連する人材需要も高まると予測されます。
求められる人材としては、事業開発、ファイナンス、風況解析、建設PMなどをはじめ、AM(アセットマネジメント)やO&M(オペレーション&メンテナンス)など建設後のアフターフォローを意識した職種も見られます。

●金融業界の動き

金融業界でも「ESG投資」を成長分野として位置付け、力を入れています。ESG投資とは、SDGsを企業目線にした概念で、環境や社会貢献、不祥事を防ぐ企業統治に配慮している企業に対して行う投資を指します。そこで、メガバンクや証券会社(投資銀行)が、サステナブルファイナンス、サステナブルボンドに関する部署を立ち上げたり拡大したりするなどしています。

そこで、ESGデータアナリストやプロダクトスペシャリストなど、ESGに関連するスキルを持つ人材の求人が増えています。
今後も、この動きは続いていくと見られています。

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「脱炭素」「SDGs」への取り組みは幅広い業界へ


今回は、エネルギー業界・金融業界にフォーカスしてご紹介しましたが、今後、あらゆる業界・企業が環境課題へ取り組んでいくでしょう。それにともない、新たな事業やサービスが生み出され、その立ち上げや運用を担う人材のニーズが増えると予測されます。脱炭素にとどまらず、SDGsに関連する新たな採用の動きが出てくることも見込まれます。
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