【保存版】退職交渉ガイド|切り出し方のコツ・難航したときの対策・メール例を解説

公開日:2024/04/25 / 最終更新日: 2024/04/25

退職を予定しているものの、退職のためのスムーズな切り出し方がわからず、具体的になにをすべきかわからないままになっていないでしょうか?

退職交渉は、基本を守らないと難航しがちなのが現実です。しかしながら、基本さえ守ればスムーズに退職できる可能性を高められるともいえます。また難航してしまった場合でも、適切な対応を行えばスムーズに退職できます。

そこで今回は、退職交渉の基本の流れや避けるべき行動、難航してしまった際の対処法などをまとめて解説していきます。


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勤続年数に関わらず退職交渉には基本となる流れがあり、具体的には以下のとおりです。

  1. 前提として、退職の1~2カ月前に退職交渉を開始
  2. 切り出し方を報告の形にして直属の上司に報告
  3. 退職日や有給休暇取得を決定し退職届を提出
  4. 業務の引き継ぎや貸与品返却

各ステップに退職交渉を円滑に進めるためのポイントがあります。ポイントをおさえておかないと、退職交渉が難航するリスクが高まってしまうため、詳しく解説していきます。

前提として、1~2カ月前には退職交渉を開始するのが重要になります。民法では2週間前までに退職の意思を伝えればよいとされていますが、多くの企業の就業規則には30日前までなどと記載されているからです。念のため、勤め先の就業規則に目をとおしておくべきでしょう。
また、引き継ぎや有給消化の期間を考えると、1~2カ月前に退職交渉を進め始めなければ時間がなくなるという側面もあります。基本的には、転職先からの内定と入社日の目処がわかり次第、退職交渉を始めることになるでしょう。

役職を問わず、退職交渉を最初に切り出すのは直属の上司です。重要なポイントとして、退職交渉の切り出し方を、相談ではなく報告という形にすることがあげられます。

詳しくは後述する「事前に回避すべき退職交渉が難航しがちな行動6つ」で解説しますが、決定事項を報告しているという毅然とした態度を取らないと、退職交渉が難航しがちです。特に、社内で重要な仕事をしていたりチームの中心的存在を担っていたりすると引き止められる確率が高まります。

勤続年数が長い場合、配慮したい気持ちも出てくるでしょうが、「突然で申しわけありませせんが、退職させていただきたく、お時間をいただきました」と切り出しましょう。お詫びの言葉から入りつつも、退職は決定事項という意思が伝わる言い方をすることが重要です。

また、上司から退職理由を聞かれるでしょうが、転職先や今の会社の不満は言わないのが基本。余計なトラブルの火種は作らない方が賢明です。転職面接の転職理由のように前向きな言い方を心がけてください。

なお、退職を切り出すにあたり、直属の上司に時間をとってもらわなければいけません。基本的には、朝一番に1対1で話す予定を直接取りつけます。上司が長期出張中といった場合には、以下のようなメールを送ってください。

件名:ご相談

〇〇課長
お疲れ様です。△△です。
折り入ってご相談したいことがあるため、〇日□時以降に15分ほど、お時間をいただけますでしょうか。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

署名

お勤め先と相談のうえ、退職日の設定と退職届の提出をします。転職先の希望にもよりますが、業務の引き継ぎ期間や後任の選定、有給休暇の消化期間などを計算し、余裕を持って設定するとトラブル防止が可能です。

なお、後任がいないからと引き止められる可能性もあります。対策としては、部署や企業に引き継ぐという考え方をして、だれでも業務を引き継げるマニュアルやリストアップ作成をするとして退職日を設定する方法があげられます。

退職日の目処が立ち次第、転職先や人材紹介会社の担当者に退職日と入社日の予定を報告しましょう。

担当業務のマニュアルの作成や必要なデータの整理、後任への引き継ぎなどをおこないます。職場や取引先への報告は、会社が公にするまでは行わないのが賢明です。特に上流のポジションに就いている場合、自社への影響を少なくするために会社は発表の方法を思案しているはずです。退職を難航させないためにも、なるべく普段どおり過ごしてください。

貸与品の返却は、引き継ぎなどの完了後になります。貸与品返却などをすませて今の勤め先ですべきことがなくなり次第、まとまった有給休暇の消化に入るのが一般的です。有給休暇の消化は引き継ぎの進捗次第となるため、余裕を持った期間設定をし、無理に消化しようとする態度を取ることはやめましょう。


退職交渉につきものの引き止めですが、よくあるパターンとして以下3つがあげられます。

  • ・仕事の完了や後任者ができるまでという引き止め
  • ・待遇を改善するという引き止め
  • ・上層部やお世話になった人による再三の引き止め

それぞれ対処法があるため解説していきます。

長期的なプロジェクトの完了や後任者ができるまで働いてほしいと引き止められるパターンです。会社としては、事業や業務体制に穴を開けたくないため、働き続けてほしいわけです。 対策として、マニュアルやリストの作成など、だれでも仕事を引き継げる計画や準備をすると伝えることがあげられます。退職は決定事項であり、誠意を持って引き継ぎ業務をすると伝えましょう。

それでも退職交渉が難航する場合もありますが、対応策はあります。詳しくは後述する「退職交渉が進まなくなった場合の対処法」で解説しているので、ご確認ください。

給与や異動など、待遇を見直すため考え直してほしいと引き止められる場合もあります。待遇面が理由ではないとして断るのが基本的な対応です。仮に好条件で今の会社に残れたとしても周囲からの印象は悪いため、 働きにくくなる可能性が高いと言えます。退職理由をあらためて述べ、退職は決定事項と伝えましょう。

自社でのポジションや評価が高いと、会社の上層部やお世話になった人から何度も引き止められる場合もあります。基本的にはいったん持ち帰り、 翌日に「よく考えましたが意志は変わりません」と伝え続ける対応を取りましょう。退社にいたった経緯と将来のビジョンを語ることで引き止められる余地はないと悟ってもらうのがポイントです。


退職交渉を難航させてしまう行動があるのも事実で、具体的には以下の6つが該当します。

  • 1. 退職予定日まで猶予をなくしてしまう
  • 2. 退職の意志を明確に伝え続けない
  • 3. 人間関係を悪化させている
  • 4. 有給休暇やボーナスの取得にこだわる
  • 5. 回答をひたすら待つ
  • 6. 転職先を明かす

退職交渉が難航してしまう理由と本来取るべき行動を解説していきます。

退職予定日までの猶予を自分からなくしてしまうと、退職交渉は難航してしまいます。会社内での処理や引き継ぎなどには1~2カ月ほどを要するのが現実です。 特に繁忙期が近いといった場合は、早めに伝えるべきです。安易にまだ大丈夫だろうと考えたり、退職の切り出しを先延ばしにしたりするのは厳禁です。 先述した退職の切り出し方や引き止めへの対策などを参考に、早めに退職交渉を開始してください。

退職の意思を明確に伝え続けないのも退職交渉を難航させてしまう行動です。切り出し方は明確でも、 引き止めへの対応をはぐらかしたり提示された条件への回答をあいまいにしたりすると、交渉の余地ありと判断されてしまいます。 退職は決まったことであり、どうしても自社で叶えられないことを転職先に求めていると伝え続けるとスムーズな退職につながります。

もう転職するからと、多少なりとも人間関係を悪化させてしまうのも避けるべき行動です。 引き継ぎなどに支障が出てしまいます。退職の理由を聞かれた際に、現職の悪口にとれるような発言をしないように注意してください。

有給休暇をあますことなく消化したり、無理にボーナスの取得を目指したりするのも退職交渉に影響が出る行動です。有給休暇の完全消化やボーナスをもらったタイミングでの退職は理想的です。 しかし、引き継ぎや入社日に影響が出てしまうと心証を悪くされかねません。状況次第で柔軟に対応し、スムーズな退職と入社を最優先してください。

役員や人事部などから、なかなか回答が戻ってこない場合もありますが、ひたすら回答を待ってはいけません。 どこかで話が止まっていたり、引き止めの用意に時間がかかっていたりする可能性があるからです。 「回答は今週末にはもらえるでしょうか?」「現状を教えていただけませんか?」と自ら回答を求めていく姿勢をとるのが大切です。

転職先を正確に明かすのも避けるべき行動です。転職先を知られるメリットはまったくありません。 また、めったにありませんが転職先の取引に影響が出してしまったり、クレームが入ったりする可能性も出てきます。 いずれにせよメリットはないため、転職理由の回答に必要な程度の回答、具体的には業界や業種を伝える程度にしておきましょう。


退職交渉が難航する行動を避けていても、退職が難航してしまう場合はどうしてもあります。具体的には、「引き継ぎが上手くいかない場合」や「好条件の提示などによる強引な引き止めにあう場合」です。 もっとも、どちらの場合にも対処法はあります。それぞれの詳細を解説していきます。

高度な仕事を担当していたり、重要な業務の主要メンバーだったりすると、引き継ぎの期間を十分用意しても退職が難航する場合もあります。 しかし、ほかのだれにもできない仕事はなく、分担するのも絶対に不可能ということはないはずです。退職日を明確に伝え、具体的な引き継ぎプランを提案するなどして交渉の主導権を握るのが重要です。
引き継ぎプランとして、以下の内容を提示できると交渉しやすくなるでしょう。

  • 業務マニュアル
  • 各業務や案件の進捗状況のリスト
  • 主要な顧客や取引先のリスト

後任者が決まっていなくても、上記の資料を見れば業務ができるようになっていれば、引き継ぎを理由にした引き止めは成立しません。 ただし、繁忙期でどうしても当座の手が足りないといった場合は、有給休暇の消化を譲歩するといった対応も検討してください。

今の会社で活躍しているほど、強引な引き止めにあう可能性は高まります。好条件を提示されたり、さまざまな人からの面談や飲み会で考え直すように言われたりする場合もあるでしょう。

基本的な対処は、対応を誠実に進めて交渉の余地はないと悟ってもらうことです。退職は決定事項という姿勢を崩さないのが重要です。話が先に進まない場合は、社労士などの専門家への相談や人事担当者やより役職の高い上司まで交渉するなどして、味方を増やしていくのもよいでしょう。
なお、言った言わないの議論を避けるために、念のため文章に残しておくのもおすすめです。また、転職に人材紹介会社を利用している場合は相談してみてください。スムーズな退職に向けたアドバイスがもらえます。


退職交渉は基本をおさえておかないと難航しがちですが、裏を返せば難航させる行動を取らなければ、社内で活躍していてもトラブルなく退職できます。退職は決定事項で引き継ぎの用意もあると伝える切り出し方をするなど、基本を守った行動をしてください。

転職の成功には、現在のお勤め先をトラブルなく退職して転職先に入社することも含まれます。人材紹介会社を活用して転職活動をしている場合は、そういった面でも協力しますので、ぜひ相談してみてください。