パワエレ技術者を含む強電回路設計職の転職事情|難易度や成功のポイントとは

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SDGs対応により強電領域に変革が起き、IoTがさらに普及し、EVや再生エネルギーに関連するパワエレ領域が活発し、強電回路設計職の活躍の場が飛躍的に増えています。

JAC Recruitmentの専任コンサルタントは、どこよりも深く、最新の情報を転職ご希望者様にお伝えしておりますが、今回はなかでも、パワエレ技術者を含む強電回路設計職の転職事情について解説します。


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強電回路設計職とは


一般的に「電気回路/電子回路」という呼び方をしますが、それぞれ扱う電気の種類は目的に応じてさまざまです。ここでは商用電源以下の電圧を扱う職種を「弱電」、それ以上の高電圧を扱う職種を「強電」と呼びます。

強電というカテゴリーは広く、電力の源である発電所とそれにつながる電力系統といった電力インフラに関わる部分と、電力の大口ユーザーである企業の工場やデータセンター、またそれに対応する設備機器メーカーやエンジニアリング会社といった部分に大別されます。加えて、最近注目を集めている再生可能エネルギーやEV(電気自動車)に関係する「パワーエレクトロニクス(パワエレ)」分野も、強電と呼ばれる領域になります。
では、強電設計職についての求人がどのようなところで出ているのか、その概要と業界のトレンドを中心に紹介します。

※一般送配電事業者の電力系統を通して供給される電気は、発電所から効率よく送電するため、超超高圧(50万ボルト)や超高圧(20万ボルト)に昇圧されて送出されます。そして消費地に近いところの一次変電所で6万ボルトの特別高圧(大工場向け)に、さらに配電用変電所で6000ボルトの高圧(ビルや中小工場向け)へと徐々に降圧されていき、最終的に200Vや100Vの電気として一般家庭に届けられます。

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強電回路設計職、超高圧以上を扱える人材は希少


電力系統において求められている業務としては、上流側の電力系統を構成する設備の維持、管理といったところが定常的に発生します。また強電系の設備としては、発電所や変電所、それに鉄道関係の電力設備、大電力を必要とする化学工場などの施設があります。電気設備をどのように導入するのか取り纏めを行うエンジニアリングという業務があり、納入する機器を設計製作する設備メーカー側でも、強電設計は必要とされます。
いずれの場合でも、高圧以上を扱うこの領域の特徴は、業務や必要とされるスキル、資格の特殊性から、上流にいくほどプレーヤーが少なく、貴重な人材になっていきます。

転職トレンド

ベンダーやエンジニアリング会社に移って電気の技術を高めるというところと、あるいは発注者側に回ってみたいというケースが多いようです。強電を扱うという性質上、弱電設計とは異なる特別な知識や資格が必要なため、他業界からのキャリアチェンジといった流入はほとんど見られません。徐々に活躍の場が絞られてきている火力やレガシー分野からの転職が、増加傾向にあるようです。

発電所や電力系統、大工場といった電力網の上流

維持、管理、運用といった要素が強くなります。例えば、電力網の場合、電力会社が従来の発電網を維持するために、電力系統を連携させる部分を中心に定常的な求人があります。もし電気エンジニアとしてのスキルを高めるという視点を重視するのであれば、ベンダー側、設計側にいて、最新の技術に触れながらスキルを磨きたいと考える方が多いようです。

発注者側とエンジニアリング会社側では磨ける技術も違いますし、勤務形態も発注者側は安定した環境、一方でエンジニアリング会社側は客先の工場を回る出張も多いなど、働き方の違いも選択肢として考える必要があるでしょう。


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強電回路設計職のSDGs対応による変革


電力供給元の大半が火力発電や原子力発電だった頃は、大型の発電所を建設し、そこから系統を連携して配分するというのが一般的な電力網の形態でした。最近では洋上風力発電所など再生可能エネルギーへの転換が進み、新しい形の発電所がどんどん建設されています。特に太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、日照や天候によって発電量が左右されるため不安定で、そのまま電力網に接続することができません。再生可能エネルギーによる電力供給を安定化させるために、いったん電気を貯蔵して発電量を平準化するための大規模蓄電池を併設する必要があります。

このように発電所が分散化されることで、送電網も大きく変わりつつあります。再生可能エネルギーによる電力網の分散化によって、大規模充電池の開発、導入が促進されるなど、強電系エンジニアに対する新たなニーズも出てきています。そして、それに呼応する形で設備メーカー側にも引き合いが増えてきています。

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強電回路設計職、IoTの普及でデータセンター関連の求人も急増


最近顕著になってきたもう一つの傾向として、IoTの普及に伴ってクラウドサービスに関連したデータセンターが新設、増強されていることです。大規模なサーバーシステムが稼働するデータセンターは大電力を必要とするため、関連した強電系エンジニアへの求人も目立つようになってきています。

求められる技術、スキルは変わるのか

新たな転職需要が出ているとはいえ、求められる技術という点では、強電自体が電気系の中でも特殊な知識や資格を必要とすることもあり、それほど大きく変わっているわけではありません。工場側では設備の維持、管理ができる電気主任技術者の需要が、以前から一定数あります。また、電力関連設備の老朽化が進んできていることもあり、エンジニアリング会社に対して案件の引き合いが増えています。
エンジニアリング会社では、更新に際してどういう設備機器が必要なのかを取りまとめるエンジニアが必要です。また、その発注を受けて設備機器を収める重電メーカー側でも、強電機器の開発ができるエンジニアへのニーズが高まっています。

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強電回路設計職、パワエレ関連は慢性的な人材不足に


強電と呼ばれる領域はかなり広くなってきていて、従来は「プラントエンジニア」と呼ばれる技術者が中心でしたが、最近では「パワエレ技術者」もこのカテゴリーで扱われるようになってきました。パワエレ技術者に対するニーズは、特にEV関連、再生エネルギー関連、省エネ志向の電力マネジメント関連というところが中心です。

自動車メーカーにおけるEV開発には強電系エンジニアが不可欠

自動車のEV化に伴い、これまで強電関係の知見が全くなかった自動車メーカーや部品メーカーから、数百ボルトの電圧を扱うEVバッテリー周りの強電設計ができるエンジニアの募集が増えています。また、それに対応するインフラ側として、急速充電機などの設備機器メーカーからも活発な求人が出ています。

今後EVが普及するにつれ、自宅で太陽光発電してEVを充電したり、EVを家庭用の蓄電池として利用したり、各家庭の電力を効率的に管理するため、HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれる管理システムも普及してくるでしょう。こうした環境配慮型ビジネス、脱炭素やSDGs関連の省エネ技術は、パワーエレクトロニクスを中心として多くの新しい求人を生み出していると思います。

転職は即戦力となるパワエレ経験者が中心

パワエレ関連の転職も、パワエレからパワエレという流れが基本です。例えば、宇宙航空関係で電源回りの開発に携わっていた技術者が、自動車メーカーに移ってパワエレ関係の設計業務に携わるという事例がありましたが、転職先で即戦力として活躍できるという点で、電気工学を軸にした知識と経験を活かした転職が中心になっていると言えるでしょう。

強電設計エンジニアリングとして、モーター、インバーター、大型電気設備を作っている大手重電メーカーを中心に、またEVを手掛ける自動車メーカーからも自社による技術開発あるいはサプライヤマネジメントの関連で、パワエレ系の求人が多く出てきています。

自動車のEVシフトや幅広い産業でのIoT普及に加え、今後のSDGs対応を踏まえるとパワエレ技術者の需要は堅調であり、より良い環境・待遇を求めて転職したいエンジニアにとっては追い風が吹いている状況といえるでしょう。

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強電回路設計職の転職を有利に進めるためには、コンサルタントにご相談を


JACでは、業界や職種に精通したコンサルタントが、求人企業とコミュニケーションを取りながら、最新の転職市場動向の把握を行っています。そして同じコンサルタントが、転職ご希望者様と対峙し、選考通過しやすい職務経歴書の準備や面接の取り組み方についてのアドバイスはもちろん、転職ご希望者様自身が気付けないような強みや特技を発見するお手伝いもしています。

強電回路設計職のご転職を考えている方は、JACのコンサルタントに、ぜひご相談ください。

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    この記事の筆者

    株式会社JAC Recruitment 編集部

    株式会社JAC Recruitment

     編集部 


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