外資系経理職の転職事情|難易度や成功のポイントとは

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外資系企業の「経理職(アカウンティング)」とはどのような役割を担い、どのような転職チャンスがあるのでしょうか。

1975年にイギリス・ロンドンで創業以来、数多くの外資系企業への転職をご支援し続けてきたJAC Recruitment(以下、JAC)が、外資系企業のアカウンティング職(経理)を中心に、最新の転職動向・キャリアパスなどについてご紹介するほか、ファイナンス職についても合わせてご紹介します。


JACはイギリスで創業以来、40年以上にわたり、外資系企業への転職を支援し続けています。
外資系企業への転職のご相談(無料)は、JACへ。


外資系経理職|日系の経理・財務職との違い


外資系企業の「アカウンティング」とは、経理・財務会計の領域を指します。日本法人のアカウンティング部門では、日本法人単体の財務諸表の管理、決算、本国へのレポーティングなどを行います。

アカウンティングが担う業務は、日本企業の経理職とほぼ同じです。伝票の起票・管理、勘定科目ごとの帳簿への入力、経費精算、請求書・領収書発行、月次決算・年次決算などです。本国での連結決算に向け、日本法人の決算結果を報告します。

外資系のアカウンティングチームにおいては、「売掛金管理」「銀行対応」「キャッシュマネジメント」「税務」など、職域ごとに担当が分けられています。それらをとりまとめるポジションが「コントローラー」「ファイナンスマネージャー」などです。

業務内容に大きな違いはないものの、会計基準は異なります。日本企業は、日本の会計基準であるJ-GAAPまたはIFRS(国際会計基準)に基づきます。一方、外資系企業の日本法人では、J-GAAPに基づく決算と並行し、本国での連結決算に向け、自国の会計基準でのレポーティングを行うため、両方の知識が必要となります。

また、日本の大手企業では自社の経理組織で経理業務を完結させる会社が多いのですが、外資系企業ではシェアードサービスを活用しているケースが多数あります。たとえば、「アジア拠点の売掛金・買掛金関連業務がフィリピンのシェアードサービス会社に集約されている」といったようにです。
そのため、外資系企業の正社員経理職の転職は、専門特化した高度なスキルを生かすポジションの求人が中心であるといえます。

外資系企業と日本企業との会計基準の違い


前述のとおり、外資系企業と国内企業では会計基準が異なります。
日本企業でも海外子会社を持つ企業が採用している「国際会計基準(IFRS)」を導入している企業が多く見られます。
このほか、本国の会計基準にもとづいて会計処理・報告をしているケースがあります。
IFRS対応に求められるスキルとしては、日本企業から外資系へ転職する場合、スタッフクラスであれば会計基準の違いを詳細に理解している必要はなく、入社後にキャッチアップできれば、問題ありません。

外資系経理職の年収相場


外資系企業のアカウンティング(経理)の年収相場は、もちろん企業によって異なりますが、下記が目安となります。

●スタッフクラス……年収400万~600万円
●シニアスタッフクラス……年収600万~800万円
●マネジャークラス……年収800万~1200万円
●部長クラス……1200万円以上

日本企業で経理経験を積んだ方が、外資系企業へ転職することで、職務の内容・レベルはほぼ変わらず年収アップとなるケースが多く見られます。
例えば、国内企業勤務・30代半ばくらいまでの主任クラス・英語力がある経理職の場合、年収600~700万円→800万円など、100万程度年収がアップできる転職事例は珍しくありません。
マネジャーレベル以上では、当然、求められる英語力は上がりますが、年収200万円以上の年収アップとなる転職事例もあります。

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外資系経理職に必要なスキル


外資系企業のアカウンティング(経理)に求められるスキルには、次のようなものがあります。

経理の実務経験

外資系企業が、経理の未経験者を受け入れることはまずありません。経理・財務会計領域の何らかの経験・スキルが必要とされます。

また、外資系企業でのアカウンティング経験がなかったとしても、日本企業での経理経験があれば問題ありません。日本企業から外資系企業に転職した方々からは、「業務の8割程度は同じ」との声が聞かれます。

また、公認会計士、USCPA(米国公認会計士)といった資格の有無を聞かれるケースもあります。資格を取得している場合、一定レベル以上の専門知識を備えていると判断できるためです。日系企業の経理・財務職から外資のアカウンティングに転職したいと考えている場合は、転職前に取得を検討しても良いでしょう。

ファイナンスの専門性を備えた英語力

「英語力を磨くために外資系企業に入りたい」と転職を希望する方も多いのですが、少数精鋭体制の外資系企業では、選考段階ですでに一定レベルの英語力を備えている必要があります。
特にファイナンス業務に対応できるビジネス英語力が求められます。

一方、ジュニアスタッフ、シニアスタッフ、マネジャーなど、階層によって求められる英語力のレベルは異なります。TOEICスコアで判断されることはあまりなく、その職務で使用する英語力があるかどうかが重要です。

採用面接時においては、ジュニアクラスからのスタートであれば、「英文の読み書きができる」「海外旅行程度の英会話ができる」程度のレベルであっても、これから英語力を磨いていく意欲があれば受け入れられることもあります。

一方、マネジャークラスになると、本国への英文レポーティングをはじめ、英語で日本法人の状況を説明したり質問に答えたりする役割を担います。そのため、読み書き・会話力ともに高度な英語コミュニケーション力を求められます。

 経営視点でのコミュニケーションスキル

外資系企業のアカウンティング(経理職)は、ファイナンス部門とコミュニケーションをとる機会も多数あります。
数値についての確認を行ったり、必要な情報を自ら取りにいったりするスタンスが求められます。
状況を理解し、周囲と連携・交渉・調整するコミュニケーションスキルが欠かせません。


JACはイギリスで創業以来、40年以上にわたり、外資系企業への転職を支援し続けています。
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外資系経理職の転職事情


一口に「外資系」といっても、規模や方針が異なりますので、採用において求める要件はさまざまです。
一般的には、スタッフクラスなら3年前後、シニアスタッフクラスなら5~8年、マネジャー以上であれば10年以上の経理経験が求められます。また、上位ポジションになると経営会議にも参加します。本国からの指摘に対して論理的な説明をするスキル、改善策の提案を行うスキルも必要であり、総じて「経営視点でのコミュニケーションスキル」が重要となります。

基本的に即戦力採用

特定の専門領域の担当者を求める求人もありますが、「幅広い経験」を求める企業が多いといえます。
たとえば、大手企業出身者でも、細分化された組織で一部業務を担当してきた方よりも、「子会社管理」などで幅広い業務を手がけた方が好まれる傾向が見られます。
現時点では実務経験の幅は狭くても、「他領域の知識も自身で学んで身につけている」「今後、幅を広げていきたい」といった姿勢・志向を持つ方が迎えられます。

アカウンティング(経理)は、基本的に利益を生み出さない「コストセンター」と見なし、できるだけ人数を絞り込んで運営する方針の企業が多数です。

アウトソーシングやシェアードサービスも活用するなか、自社社員として迎える人材には、幅広い業務を兼務してほしいと考えています。
外資系は、基本的に「即戦力採用」です。

新卒採用を行っていない企業も多く、「育成する」という考えがあまりありません。中途入社者は、新しい知識を独自で学んでキャッチアップしていく必要があります。

逆にいえば、国内企業で一部業務しか経験できないことに物足りなさを感じている方は、外資系企業への転職で経験の幅を広げ、キャリアを開発していくチャレンジができるといえます。
また、早いタイミングでマネジメントポジションに就きたい方は、日本の大手企業と比較すると外資系企業の方が早期昇格のチャンスが豊富です。

「システム導入」の経験はプラス評価

外資系企業のアカウンティング(経理)の採用においては、先ほど「必要なスキル」でご紹介した「経理の実務経験」「英語力」「コミュニケーション」が評価指標となります。

このほかに、「システム導入」の経験もあれば評価がアップします。近年、新たなシステム導入やアップグレードを行う企業が増えており、経理職の立場でシステム導入プロジェクトに携わった経験を持つ方が歓迎されます。

30代・40代の転職事情

外資系企業においては、年齢よりも「スキル・実績」を重視して採用を行います。
年功序列ではなく「役割」によって組織を組み立てるため、40代のスタッフもいれば、30代のマネジャーもいます。
ですから、日本企業と比べると年齢が選考に影響することは少ないといえます。

とはいえ、日本企業から初めて外資系企業に転職するとなると、受け入れられるのは30代半ばくらいまでであるのが現実です。

外資系経理職への転職で有利になる資格

外資系企業への転職に際し、資格は必須条件ではありません。
求人企業には、公認会計士、USCPA(米国公認会計士)の資格を求める企業も一部見られますが、資格を重視する企業は多くありません。

ただし、専門知識・スキルを証明する材料として取得しておくのは望ましいといえます。
限られた面接時間内では、経理知識・スキルのレベルをくわしく把握することは難しいものです。
その点、資格を取得していれば、一定レベル以上の知識を備えていることがわかり、安心感を持ってもらえるでしょう。

評価につながる資格は「簿記2級」のほか「USCPA」。USCPAは科目合格でも十分評価されます。

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外資系経理職のキャリアパス


外資系企業のアカウンティング(経理)のキャリアパスとしては、「スペシャリストとしての道を極める」を選択する方が多く見られます。

スペシャリストとしてスキルを磨き、より上位企業や高待遇の企業へ転職するパターンもあれば、「ワークライフバランス最優先」で働く40代~50代既婚女性なども多数。

「与えられた役割を果たし、成果を出していれば、どのような働き方をしても構わない」――それが外資系の特徴ですので、自分らしい働き方・キャリアを選択しやすい環境といえるでしょう。

一方、キャリアアップを目指す場合、会社規模によりますが、ファイナンシャル組織も含めた部門全体を統括するマネジャー、小規模企業であればCFO(最高財務責任者)などの道もあります。 若手層であれば、日本の大手企業よりも早期にマネジメントポジションに就くことも可能です。実際、30代前半で40代以上の部下を持つマネジャーとして活躍している方もいます。

【参考】外資系企業のファイナンス組織の転職事情


ファイナンス組織の仕事内容

経理・財務会計を手がけるアカウンティング組織に対し、管理会計の領域を担うのがファイナンス組織です。ここで働く方々は「ファイナンシャルアナリスト」の名称で呼ばれるのが一般的です。ファイナンシャルアナリストは、日本法人の予実管理を行い、その分析結果を踏まえて改善の提案、戦略への提言を行います。

ファイナンス組織の採用で求められる要件

ファイナンス組織が採用に際して求める要件は、企業により異なります。経理・財務会計の経験を「必須」とする会社、「まったく必要なし」とする会社に分かれます。ファイナンシャルアナリストは事業部のヘッドと対等な立場で、「売上目標を達成し、利益を確保するには、どの部分を改善していくべきか」についてコンサルテーションを行います。分析・提案力があれば、経理経験は問わない企業も多いのです。

日本企業でいう「事業企画」「事業管理」「営業管理」「海外子会社管理」などを経験してきた方も採用に至っています。 一方、これまで経理経験しかなくても、スタッフレベルであれば、利益改善に取り組む意欲があり、分析・提案に力を入れていきたい志向を持つ方であれば、受け入れられることもあります。

ファイナンス組織の年収相場

ファイナンス組織の年収相場は、アカウンティング(経理)よりやや高めです。

●シニアスタッフ/アシスタントマネジャークラス……年収800万~1000万円

●スタッフクラス……年収600万円前後

●マネジャークラス……年収1200万円以上

ファイナンス組織でのキャリアパス

ファイナンス組織では、アカウンティング(経理)と同様、スタッフ、シニアスタッフ、マネジャーへとポジションが上がっていきます。その先は、企業によっては「ディレクター」、また、経営課題の解決の実績を積めば「CFO」への昇格・転職もの可能性もあります。キャリアを横展開し、周辺業務まで統括するマネジャーポジションに就く、あるいは小規模企業にCFOとして転職するなど、選択肢は幅広いといえるでしょう。

外資系経理職の転職を有利に進めるためには、コンサルタントにご相談を


JACでは、業界や職種に精通したコンサルタントが、求人企業と日々コミュニケーションを取っており、最新の転職市場動向を把握しています。

また、転職ご希望者様に対しては、選考通過しやすい職務経歴書の準備や面接の取り組み方についてのアドバイスはもちろん、英文での職務経歴書の添削や英語面接対策などもご希望に応じて行っております。

ご自身がうまく気付けないような強みや特技を発見するお手伝いもしていますので、 外資系のアカウンティング(経理)へのご転職を考えている方は、JACのコンサルタントに、ぜひご相談ください。

外資系経理職の転職関連情報


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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

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