採用企業インタビュー
システム開発からコンサルティング、そして事業開発へ
――社名変更で描くULSコンサルティングの新戦略
ULSコンサルティング株式会社
- ULSコンサルティング株式会社 代表取締役 横山 芳成 氏
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コンサルティングから事業開発へと領域を拡大し、2025年10月にウルシステムズから社名を変更したULSコンサルティング。代表取締役の横山芳成氏は「受発注の関係を超え、お客さまとともに事業を創造していきます」と新たなビジョンを語ります。
20年以上前からプロジェクトマネジメントの先駆的サービスを提供してきた同社が、今、なぜ事業戦略の大きな転換に挑むのでしょうか。その背景や今後の展望について詳しく伺いました。
「システム」から脱却する社名変更の真意と組織変革
―― 貴社は2025年10月に社名をULSコンサルティングに変更されましたが、その背景をお聞かせください。
「ウルシステムズ」から「ULSコンサルティング」への社名変更は、現在の事業内容をより正確に表現するためです。創業時の2000年当時は適切な社名でしたが、現在の事業内容を正確に表現できていません。実は当社は2003年ごろから、単なるシステム構築ではなく、組織体制の提案やプロジェクトマネジメントの指導など、コンサルティング業務を本格展開してまいりました。
特徴的なのは、お客さまのオフィスに常駐し、お客さま以上に働いてシステムを差配するという手法です。コンサルタントが片手間で30%や50%の稼働率で関わるのではなく、100%フルコミットでプロジェクトに従事するーー。これは今でこそ一般的なPMOサービスの原型ですが、当社では20年前から実践してきました。
「システム」という名称では、どうしても物理的な成果物を提供する会社という印象が強い。しかし当社の本質は、お客さまの課題解決と価値創造を支援するコンサルテーションにあります。社名変更により、この本質を正確に表現したいと考えています。
―― 組織面でも大きな変革を進められたとお聞きしました。
はい。従来はアカウントカットで、特定のディレクターが担当するお客さまの案件を一手に引き受ける体制でした。例えば、Aというディレクターがいれば、その配下のメンバーはAの担当するお客さまの仕事のみを行う。開発もコンサルティングも人材育成も、すべてが混在していました。
この体制では知識やノウハウの蓄積が属人的になってしまい、非効率な組織体制になりがちです。実際、同じような課題に対して毎回ゼロベースで検討する「車輪の再発明」が多発していたのです。
そこで、ソリューションカットの組織に変革しました。コンサルティング専門チーム、開発専門チーム、新技術専門チームというように機能別に編成し直したのです。これにより、各チームが専門性を深めながら、フレームワーク化されたサービスを効率的に提供できるようになりました。
同時に営業部隊も専任化いたします。従来はコンサルタントやエンジニアが兼務していましたが、営業に専念する体制を構築。現在は7名の営業担当者のうち、専任の営業は2名で、残りは部長クラスが営業を兼務しています。
―― コンサルティング事業の課題と見解についてお聞かせください。
コンサルティング業界は今、大きな転換点を迎えています。大手各社の参入により価格競争が激化し、若手人材による安価なサービス提供が増加している。さらに優秀な海外人材がリモートで参入すれば、価格圧力はよりいっそう強まるでしょう。
また、事業構造の面でも課題がありました。50代のベテランコンサルタントが相次いで事業会社のDX部長職に転職していったのです。彼らは「コンサルティングの次のステップを求めている」と話していました。つまり、コンサルティング一本では、優秀なスタッフに長期的なキャリアパスを提供できていなかったということです。
これらの課題を解決するため、受発注の関係を超えた事業開発への展開が不可欠だと判断いたしました。
先端技術への積極投資、そして事業開発への挑戦
―― 技術面での取り組みについて詳しくお聞かせください。
当社では10年ほど前から、業界に先駆けて先端技術への投資を行ってまいりました。VR・ARを活用したMixed Reality、量子コンピューター、AI、ブロックチェーン、NoSQLデータベースなど、実用化の前段階から研究開発に着手していました。
最初は8名程度の少数チームから始めましたが、1年ほどで50名規模まで拡大しました。これは既存メンバーの中から「こうした技術をやってみたい」という声を拾い上げ、自然に技術チームが形成されたからです。
現在、特に力を入れているのがAI技術の実用化です。GitHub・CopilotやAIエンジニアリングツールの導入により、従来1000人が必要だった開発業務を500人で実現できるようになっています。これは単純な効率化ではなく、より高度で付加価値の高い業務にリソースを集中できることを意味します。
とある案件ではAIエンジニアリングツールを使った開発プロジェクトを進めていましたが、プロジェクトの途中でAI技術の可能性を再評価し、従来の計画を一度白紙に戻すことを提案いたしました。すでに一定の進捗があったものの、AI技術を前提とした新しいアーキテクチャで全面的に再設計した方が、お客さまの投資効果を最大化できると判断したからです。
このような大胆な方針転換を提案する際、お客さまは当然「本当にそのようなことが可能なのか」「投資が無駄になるのではないか」といった不安を抱かれます。そこで重要になるのが、技術的な詳細ではなく、具体的な効果とリスク軽減策を分かりやすく説明することです。従来のシステムと比較して処理速度がどれほど向上するのか、開発期間がどれだけ短縮されるのか、運用コストがどれほど削減できるのかを数値で示し、お客さまの経営判断をサポートします。
こうした提案は一見大胆に見えますが、お客さまの真の課題解決と長期的な成功を考えれば必要な判断です。短期的な利益ではなく、5年後、10年後を見据えた最適解を提案することで、お客さまとの信頼関係を深めることができると考えています。
―― 具体的な事業開発の取り組みについて教えてください。
象徴的な事例として、サントリー様との自販機向け決済システム(ジハンピ)開発があります。従来の決済端末は高額でしたが、PayPayや楽天ペイに特化することで大幅なコスト削減を実現いたします。東京都内では2人に1人がPayPayをインストールしているという状況を踏まえ、アプリベースの決済端末という発想で、ハードウェアから操作フローまで当社が企画・設計いたしました。
その一方で、三井物産様との森林管理システムも進行中です。森林の状態をIoTセンサーとAIで監視し、最適な管理計画を提案するシステムです。
さらに、国家プロジェクトレベルの自動車関連システムにも参画しており、自動運転技術の基盤システム開発を手がけています。これらはすべて、従来の「お金をいただいて成果物を納品する」関係から、「お金を投資し、お客さまとともに事業を育てる」関係への転換を象徴するプロジェクトです。
日本の基幹システム刷新に挑む新戦略
―― より大規模なシステム刷新についてのビジョンをお聞かせください。
ある程度の規模に達した後は、金融機関や政府系システムなど、日本の基幹インフラの刷新に挑戦したいと考えています。従来は技術力があっても規模の制約で参画できませんでしたが、AI技術の活用により状況が変わりました。
具体例として、クレジットカード決済システムの革新があります。いくつかの信販系サービスでは、「7月は2倍ポイント」といったように月単位でのキャンペーン設定が一般的です。
しかし、新しいアーキテクチャを活用すれば、「18時から19時に特定のドラッグストアで購入すると3%還元」といった時間軸での精密なマーケティングが可能になります。これにより購買パターンの詳細分析ができ、消費者の行動変化を促すことも可能です。例えば、普段は違う時間に買いものをする人に対して、特定の時間帯にインセンティブを提供することで、購買時間をシフトさせることができます。
このような高度なデータ分析とリアルタイム制御が可能になれば、日本の金融サービスの競争力を大幅に向上させることができます。海外展開も視野に入れたサービス設計が可能になるでしょう。
現在の古いシステムでは実現できないこれらの機能を、私たちの技術力と規模感で実現していく。それが日本全体のDX推進に貢献する道だと確信しています。
―― 人材育成と組織文化についてお聞かせください。
当社の特徴として、メンバーの真面目さと課題解決への集中力があります。リモートワーク8割という環境でも高いパフォーマンスを維持できているのは、この企業文化があるからです。
新卒採用では意図的に少数精鋭を維持しています。会社が大きくなっても、新卒は年間20名を上限とし、100名や200名といった大量採用は行いません。その分、一人ひとりと向き合い、しっかりとした育成を行っています。
重要なのは、プロダクトアウトではなくマーケットインの思想を徹底していることです。技術的に優れていても、お客さまのニーズに合わなければ意味がありません。AI技術の説明一つとっても技術的な話ではなく、「お客さまにとって何が嬉しいのか」「どのような不安が解消されるのか」という文脈で説明するよう指導しています。
また、掛け持ちを一切させない方針も当社の特徴です。一つのプロジェクトに集中して、課題解決に専念できる環境を提供しています。
10年後のビジョン:人材育成機関としての新たな役割
―― 今後の組織戦略と求める人材像についてお聞かせください。
10年後の目標は、ULSグループにおいて事業会社群の売り上げがコンサルティング事業を上回ることです。当社は人材育成機関として、コンサルティングスキルや技術力を身につける場として機能させ、そこで育ったスタッフが事業会社で活躍することで、BtoB領域でのニッチなデジタルサービスを複数展開する事業体を構築いたします。グループ全体として持続的な成長を実現する構造を目指しています。
現在当社は700名から1000名規模まで組織を成長させる予定ですが、並行して複数の事業会社を立ち上げていきます。コンサルティングで培った知見とスタッフを事業開発に活用し、最終的にはグループ全体の売り上げ構成を大きく変えていく計画です。
求める人材像は、課題解決だけでなく「こういうことをやりたい」という明確な意志を持った方です。当社のメンバーは課題解決能力に長けていますが、新しいビジョンを描いて牽引していくタイプは多くありません。そのようなエンジン役となる方がいれば、周囲のメンバーは喜んで協力します。
技術的な専門性よりも、自己実現への強い意欲を重視しています。流通業界や金融業界の特定分野に詳しい方よりも、「自分はこういうことを成し遂げたい」という熱意を持った方を求めています。当社には多様な領域の案件とメンバーがいるので、その中でチームを組んで新しい挑戦をしていただきたいと考えています。
自己実現への強い意欲を持ち、事業開発に挑戦したいと考える方にとって、当社は理想的な環境を提供できると確信しています。リモートワーク中心の柔軟な働き方の中で、目の前の課題解決に集中しながら、同時に新しい事業創造にも挑戦できる。このようなダイナミックな変化を楽しめる方に、ぜひ当社の一員となっていただきたいと考えています。
―― 最後に、転職を検討されている方へメッセージをお願いします。
当社はまさに第二創業期を迎えています。コンサルティング会社としての基盤を活かしながら、事業開発という新しい領域に挑戦する。この5年、そして次の5年で、会社設立や新規事業開発など、非常にダイナミックな成長を遂げる予定です。
20年以上かけて培ってきたコンサルティング力と技術力を基盤として、日本の基幹システム刷新や新しい事業創造に挑戦していく。安定した環境の中で新しい挑戦ができる、そのような稀有な機会を提供できる会社だと自負しています。事業創造という醍醐味を感じていただける方との出会いを心よりお待ちしております。
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