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目指すは「金融DXの中心」――金融機関の審査業務
デジタル化を推し進めるシンプルフォーム

シンプルフォーム株式会社

※このインタビューは2023年7月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
田代 翔太氏

シンプルフォームは金融機関の法人調査業務をデジタル化することで、負担軽減と高度化を実現するSaaS「シンプルチェック(SimpleCheck)」を手掛けるスタートアップです。

金融機関が法人にサービスを提供する際、事業内容や活動実体、代表者や役員の情報を収集し、取引可能な法人であるか審査します。

一方で審査に必要な情報は行政機関やウェブ上に散在している上に、データの形式も統一されていません。そのため、金融機関の担当者は、こうした情報の収集に多大な労力を費やしていました。

シンプルチェックは企業名を検索するだけで、独自に蓄積した500万以上の法人情報を格納したデータベースから企業ごとの最新情報やリスクなどを抽出。審査に必要なデータをとりまとめたレポートを約30秒で提供しています。

サービス開始3カ月目で大手金融機関が導入するなど、フィンテック業界における注目企業として急成長を遂げています。

「かつての自分へのラブレター」とシンプルチェックを表現する、代表取締役社長の田代翔太氏に創業の経緯を伺いました。

自ら経験した金融機関の課題から、起業の道へ

田代 翔太氏

―田代様は早稲田大学卒業後に日本政策投資銀行を経て、2020年にシンプルフォームを創業しています。金融機関でのキャリアを選んだ理由と、創業までの経緯について教えてください。

2011年の東日本大震災が1社目に日本政策投資銀行を選んだ直接のきっかけです。

当時、私はオランダに留学中でしたが、被災した宮城県には親族や多くの友人が住んでいたこともあり、震災復興のために働きたいという思いが高まりました。

それまでは外資系金融機関やファンドへの就職を考えていましたが、震災復興に積極的に取り組んでいたのが日本政策投資銀行でした。
入行後はファンド組成や融資先・投資先の事業運営など、さまざまな経験を積みました。デジタル化に関わる新規事業のチームに入った際に感じたデジタル化対応の遅れが、起業を志したきっかけにつながります。

ウェブやデジタルを導入することで営業マンの稼働時間の制約が無くなり、さまざまな案件が流入するようになりました。
ただ、審査業務は従来と変わらないどころか、案件の増加により負担が重くなるため、スムーズに進まないところにボトルネックを感じていました。

一方で、ここに大きなビジネスの可能性があることに気づいたのです。
規制対応・資産査定業務や、それに伴う資料の準備など付随業務が膨大に増え、お客様と向き合う時間が少なくなってきている点に、金融業界の課題があると感じていました。
昔であれば、担当者が経営者と直接向き合って判断していたことも、今はデジタルの導入によって非対面化・非接触化が進んでいます。

その結果、法人との物理的な接点が無くなり、顧客の実体性の把握が難しくなっている側面もあります。デジタル化の恩恵を受けていない審査業務では膨大な時間を要し、現場の負担が増加しています。

金融の本来の目的は「美しくお金を使う人に、お金を流していく」ことです。どうお金を流通させれば、この国のパイは大きくなるかという観点で取り組むべきなのですが、現実的な問題として管理コストが肥大化していることで、簡単に実現しにくい現状があります。
審査にかかる時間と労力を削減し、本来やるべきこと注力できる環境を作りたいと考えて、起業を決意しました。

私たちが目指しているのは悪意をもって金融業界に流入する法人を排除すること以上に、評価されるべき人と金融機関がスムーズに取引できる世界を作りたいと思っています。

スタートアップの世界へ飛び込むのに、リスクは無い

―日本政策投資銀行で新規事業として、同様のサービスを立ち上げる選択肢もあったかと思います。あえて起業を選んだのはなぜでしょうか。

起業することに迷いはありませんでした。もちろん、新規事業として取り組む選択肢もありました。しかし、新しいことに取り組む際のスピード感や、理想的なチームを作るための人事権を考えると、起業が最良の選択でした。

起業のリスクとして資金がショートすることはあるかもしれません。ただ、失敗したとしても、健康な心身がある限り、日本において再就職できないことはありえないと思っていました。

自分自身の経済的な不安よりも、共に会社を成長させるためのメンバー採用のほうが、私としては覚悟が必要な行為でした。当社は新卒採用もしていますが、社員と会社の成長に自分がコミットするという意思決定の方が、私にとっては重大な決心だったように思います。

―貴社には大手企業から転職した方が多数在籍されています。どういった方がスタートアップへの転職を選択すべきだと思いますか?

大きなポイントは、自信を得たい欲求があるかだと思います。億単位の資産を持っていたとしても、自信が無かったらお金を守ろうとしたり、増やそうとしてお金に捉われてしまいます。大企業の看板や、役職などの社会的立場も同様に、自信が無ければそれを守る発想に捉われてしまいうと思います。

スタートアップで一つのプロジェクトを最後までやりきった経験や、誰かに価値を提供できたという実感が持てると、何があっても大丈夫だという自信が持てるようになるんですよね。

スタートアップの先輩経営者を見ていると、自信を持っている方が多い印象にあります。
それは本当にやりたいことに対して、経済的な不安を取り除いてフルコミットするために必要な資質だからこそなんですよね。こうした自信を得たいのであれば、スタートアップに来るべきだと思います。

―大きな組織では得られない成功体験が、キャリアの大きな財産になるということですね。入社時点ではどのようなスキルやマインドセットを持っている方が望ましいのでしょうか。

不確実性の高いチャレンジに挑む上で、最も重要なのはマインドですね。むしろマインドさえ、しっかり持っている人であれば、スキルは後からでも身につくので問題ないと思います。

私たちが掲げている価値基準に「面倒を愛する」という基準があります。

私たちは面倒すぎて集めきれない情報や調整しきれない案件に取り組むことに価値があると信じています。その価値を体現する上では主体性と謙虚さ、そして長期的思考が欠かせません。

世界中にはびこる金融犯罪や不正に対して、自分たちに何ができるかという主体性を持って欲しいと常々思います。
とはいえ、自分たちの考えを押しつけるばかりでは何も変わりません。これまでの経緯や事情を理解し、謙虚さを忘れずに行動する姿勢も欠かせません。

そして、私たちは金融業界に向けた巨大なデータベースを構築するという長期的な目標に挑んでいる最中です。これまで面倒で誰も手を出さなかった領域に、覚悟を持って参入し、時間をかけてでもミッションを達成しようとしています。
その上でも短期的な成果につながる取り組みでなく、長期的なスパンで見たときに財産になるようなことも大事にしたいと考えています。

サービス開始3ヶ月目で大手企業が導入した理由

―シンプルチェックはサービス開始3カ月目にしてJCBやクレディセゾンといった大手金融機関が導入するなど、金融業界からの注目度の高さがうかがえます。どういった経緯で実現したのでしょうか。

大手金融機関から評価を受けた要素は3つあります。一つ目は「平準化」です。取引企業数や口座数が増えていく一方で、審査業務は属人化しやすく教育コストもかかります。シンプルチェックは審査業務の平準化に貢献できる点に強みがあります。
二つ目が「高度化」です。法人情報を調査するサービスはこれまでも存在していますが、金融機関にとって、かゆいところに手が届くような情報も提供できている点で差別化を図っています。

例えば、オフィスの住所から過去に事件を起こした企業の関係性を照合したり、反社会勢力とのつながりをデータから参照したり、人間の目では見落としてしまうような情報もレポートに含めて提供しています。
そして、三つ目が「効率化」です。これはSaaSに共通するベネフィットですが、審査業務にかかる時間を削減することによる費用対効果の高さですね。

―JAC Recruitmentフィンテック部門の転職コンサルタントには、金融機関出身者も多いのですが、誰もが口をそろえて「自分が金融機関にいた時にシンプルチェックがあったら、もっと別の業務に集中できただろうな」と感心しています。
もし、田代様が金融機関にいた際にシンプルチェックが存在していたら、きっと喜んで導入されていましたよね。

間違いなく使っていましたね(笑)。昔の自分へのラブレターを送るような気持ちで作っている部分はあります。

目指すのは金融業界のスタンダード

田代 翔太氏

―今後についてお伺いします。物流業界や不動産業界の大手企業もシンプルチェックを導入し、取引者数は50社を超えました。今後は金融業界以外にもサービスを波及させていくのでしょうか。

まず、大前提として私たちのサービスは、あくまでも金融業界に向けたものです。営業組織も基本的には金融機関を中心に商談を進めています。

もちろん、金融業界に向けて作っているサービスが異業界でも活用できるケースもありますので、その際は個別に対応している状況です。
私たちの情報基盤を活用した審査が、この国の金融機関のスタンダードになった時が、次のステップに進む指標になると思います。

そのためにも、エンタープライズ市場のお客様に採用されるサービスを目指しています。

大企業との取引は導入前後の調整が大変で、セールスサイクル自体が長く、営業人員にもレベルの高い方が求められます。それでも「全ての法人がフェアにつながれる世界」というミッションを達成するため、最後までやり通すと常に社員にも直接伝えています。

金融業界の中でもエンタープライズ市場に特化するというのは、スタートアップには採用しづらい戦略です。なぜなら、実現するまでの時間軸が余りにも長すぎて、資金が底をつく可能性があるからです。

それでも明確に、「金融業界のエンタープライズ市場のスタンダードを目指す」と言い続けたからこそ、メッセージに共感する優秀な人材が集まり、彼らの時間と能力が結集したからこそ、現在の状態があると思います。

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