採用企業インタビュー
「次世代起点でありたい未来をつくる。傾聴と対話で、多様な個をつなぎ、共にあらたな価値をつむいでいく。」――主体性を持って社会課題解決に挑む日本総研のコンサルティング
株式会社日本総合研究所
- 株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 本部長 執行役員 石田 直美氏
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「次世代起点でありたい未来をつくる。傾聴と対話で、多様な個をつなぎ、共にあらたな価値をつむいでいく。」というパーパスを掲げている株式会社日本総合研究所のシンクタンク・コンサルティング部門。このパーパスには、各個人が「ありたい未来」を自ら考え、実現に向けて行動するという文化を表現しています。自分のキャリアや参画するプロジェクトを主体的に選択できる同社では、それぞれのコンサルタントが強い志と責任感を持って、社会課題や経営課題の解決に取り組んでいます。
リサーチ・コンサルティング部門 本部長 執行役員の石田直美氏に、同社のパーパスや具体的なプロジェクト、キャリア形成などについて伺いました。
個で「ありたい未来」を描き、社会貢献できる組織
―― まずは、株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)シンクタンク・コンサルティング部門のパーパスと、策定された背景を教えてください。
私たちは「次世代起点でありたい未来をつくる。傾聴と対話で、多様な個をつなぎ、共にあらたな価値をつむいでいく。」というパーパスを掲げています。このパーパスを策定する際、「自分たちが目指すべき具体的な方向性を会社が示すのは、個の力を重視する日本総研らしくないのでは」との意見があり、あえて人によって異なる解釈ができる「ありたい未来」という言葉を採用しました。つまり、日本総研のパーパスにおける「ありたい未来」は、「社員それぞれが描き、それに向けて行動してください」というメッセージでもあります。
そのため、日本総研では会社から「あなたには、これをしてほしい」と伝えることはなく、「あなたは何がしたいのですか」という問いからものごとが始まります。
また、それぞれが解釈できる中でも、日本総研には勝者総取りのような世界観を持っている人はあまり見られません。自分のやりたいことで役割を果たし、世の中に感謝され、つながりが広がっていくような世界観を持っている人が多いと感じています。これは、パーパスの後半にある「傾聴と対話で、多様な個をつなぎ、共にあらたな価値をつむいでいく。」を体現している風土だといえるでしょう。
―― 石田様がこれまでのキャリアで「ありたい未来」のために取り組まれたことをお聞かせください。
私は江東区で育ち、小学生のころに夢の島のごみ問題を目の当たりにして「将来は環境問題の解決に貢献できる仕事に就きたい」と考えていました。そのため、新卒で日本総研に入社して最初の配属調査で環境関係の仕事に携わりたいと伝えたところ、創発戦略センターに配属となり、環境関係のプロジェクトに参画することになりました。
プロジェクトで最初に取り組んだことは、1999年に施行されたPFI法の構築です。PFIとは、公共事業を効果的かつ効率的に実施するために、民間の資金や技術、経営力を活用する事業スキームです。当時はごみ処理施設から出るダイオキシンが大きな社会問題となっていました。駆け出しの新人でしたが、先輩たちがこの問題を官民連携で解決しようと、省庁や自治体、企業の人たちを巻き込んで大きなムーブメントを作っており、必死についていきました。
2年目になると、下水道をやってみようと言われ、処理場の官民連携の検討に従事しました。3年目には、国としてのガイドライン作成のリーダーを任されました。処理場の運営にどんなリスクがあり、どう官民で分担していくかについて、官民の利害関係者にヒアリングをしながら論点を一つずつ潰してまとめていきました。官民含めてあらゆる利害関係者と意見を出し合い、落としどころを見つけて新たな型を作る経験は、私の仕事における原点ともいえます。
―― 小学生のころに感じた社会課題を解決するという未来に向けて行動されたのですね。
そうですね。世の中は便利で綺麗に回っていますが、夢の島のごみ処理場のようなインフラの裏側を見ると、不合理であったり、非効率な構造となっていたりするケースもあります。そうした問題を解決して、インフラの裏側に従事している人が誇りを持って働き、世の中からも感謝されるような仕組みを作りたいという思いがあります。
特に上下水道、ごみ処理といったインフラは「あって当たり前」と考えられています。問題が顕在化してから対処するのでは遅く、問題が起きずに人々が安心して暮らせる日々を守るのが使命でもあります。しかし、悲しいことにインフラの崩壊が現実のものとなり始めているのも事実です。人口減少もあり、今後は広域化と官民連携を同時に進めていく必要があります。現状維持バイアスが強く進みにくいのですが、国や意欲ある自治体職員、民間と連携し、少しでも解決につながる官民連携プロジェクトの提案と解決策を具体化していくのが、私のライフワークです。
教育や介護領域でも「ありたい未来」に向けた活動を実施
―― 日本総研のパーパスはどのように浸透したのでしょうか。
もともと日本総研は“強い個の集団”という土壌があり、高い自由度のもと働ける環境だったため、会社の文化や理念が浸透しにくい状態とも言えました。そこで、パーパス浸透の一つの方法として社内に「パーパス賞」を設けました。社員が考える「次世代起点でありたい未来をつくる。」にふさわしいプロジェクトや取り組みをエントリーしてもらい、コンサルタントだけでなくスタッフも含めた社員の投票によって選出します。
また、社内の次世代がどのような未来を考えているのかにフォーカスを当てた「U-35賞」も作りました。これらの賞をきっかけに、社員がプロジェクトの意義やありたい未来など、パーパスを自分ごととして考える機会が生まれ、社内への浸透が進んだと感じています。
―― 「パーパス賞」や「U-35賞」を獲得したプロジェクトを教えてください。
2024年度に両方の賞を受けた「子ども社会体験科 しくみ~な®」(以下「しくみ~な」)という取り組みがあります。これは、日本の子どもたちが未来へ前向きに進んでいけるよう、主体的に生きる力としてのアントレプレナーシップを身につけることを目的としたカリキュラムを開発・展開するプロジェクトです。
着想はフィンランドの“Yrityskylä(ユリティスキュラ)”というカリキュラムから得ており、東京都渋谷区や静岡県富士市の小中学校で実証を行っています。学校の体育館や公共施設の中に役所や銀行、小売など、10~15ほどの組織から成る仮想のまちを作り、子どもたちが役所であれば市長や都市整備、銀行であれば部長や融資担当などの役割を担って、個人や組織の意思決定を通じてまちを作り上げていくプログラムです。
私も渋谷区の実証を見に行きましたが、大変興味深く感じました。というのは、職業体験施設はこれまでにも多くあり、例えば銀行だったら、お客様の口座を開設したり、お金を数えたりしてみる、というように仕事の一部を事前に決められたとおりに体験することが多いと思います。渋谷区の実証では、ミッションとして融資審査をするのですが、進め方のガイドはあれど筋書きはなく、融資するかどうかを決める一連のプロセスを、子どもたち自身で判断しながら進めるのです。健康ゲームを開発する会社が銀行へ融資の相談をしに行った際、銀行員になりきった子どもたちが「これは本当に儲かるのか、融資したお金が返済できるのか」と疑問を持ち、「本当に健康ゲームにお金を払う人がいるのかどうか市民の意見を調べてこよう」と、ガイドにはなかった調査をすすんで行う様子まで見られました。
驚いた点は、これらのやり取りを小学5年生が行っていることです。その場にいた大人たちは「小学5年生がここまで考えて行動できるのか」と感心していましたね。子どもたちの可能性を信じ、潜在的な能力を引き出したのだと思います。先生たちからは「1日だけで大変意識が変わった子どももいました」と聞き、「しくみ~な」を実施した意義があったなと感じました。
―― あらためて「しくみ~な」が目指す未来をお聞かせください。
現在の学校教育でも、大人を中心にするのではなく、学習者である子どもを主語として「主体的・対話的で深い学び」を実現することが求められています。ただし、評価の仕組みや授業の進め方によっては、子どもたちが自分の意見や個性を十分に表現することが難しい場面も依然として見られます。
「しくみ~な」では、仮想のまちの中で一人ひとりがそれぞれ違う役割を持つことで、自身が社会を動かす一員であることが実感できるようになっています。このような体験を通じて、子どもが自分の行動と社会がつながっていることを体得し、主体的に生きる「アントレプレナーシップ」を身に付けてほしいと思いますし、それが自己効力感や幸福感にもつながり、社会全体を幸せにしていくと考えています。
また、こうしたアントレプレナーシップを得るために欠かせない「体験」の機会は、家庭の経済状況や情報格差、意識格差によって差があるのが現状です。公教育を通じて「しくみ~な」を実施することで、社会の仕組みを学ぶ機会を公平に提供できる未来を目指しています。
―― ほかにも印象的な社会課題への取り組みはありますか。
介護領域で認知症の人との共生に関する取り組みがあります。
「認知症の人たちは弱者だから周りが考えて助けてあげなくては」ではなく、認知症の方々も自分でできることはありますし、社会の中で役割を果たすことは可能です。
これは日本総研の社員が経済産業省や厚生労働省と議論していた際に、「認知症の方がもっと社会に参画してサービス開発や商品開発をした方がいい」という提案をしたことがきっかけで始まりました。
今は、「当事者参画型開発」として、企業向けに手引きを作成したり、表彰制度を運用したりしています。企業・認知症当事者の双方にとって意義ある取り組みになっており、さらに裾野を広げていきたいですね。
お客さまと共に「世の中の基盤」を変えるのが、コンサルティングのやりがい
―― 石田様がこれまでのキャリアで感じた、日本総研のコンサルティングのやりがいについてお聞かせください。
入社してから15年ほど経って、創発戦略センターからリサーチ・コンサルティング部門に異動しました。創発戦略センターはインキュベーションをミッションとしており、日本総研からプロジェクトを提案していましたが、コンサルティングではお客さまの課題解決をするのが基本です。しかし、あらためてお客さまとディスカッションをすると、思いのほか「本当はそういうことがやりたかったんです」とか「仕組みを変えることにチャレンジしたい」といった、私自身のライフワークや思いに対して共感を頂ける機会が多くありました。
お客さまは発注者で日本総研は受注者という関係ですが、同志のようになり、一緒になって「世の中を変えていこう」と思えるお客さまに出会えたことが大きな喜びであり、深く感謝をしています。
ときには取り組もうとしている内容のハードルが高すぎて解決の糸口が見つからず、もどかしさを感じることもありました。官民連携でインフラの問題を解決しようとすると多くの関係者を巻き込んで動きを作っていく必要があります。働きかけをする中で、「簡単な話ではない」と消極的な姿勢を見せる人もいました。それでも粘り強く取り組んでいると、少しずつ同じ方向を向く仲間が増えてきました。複数のお客さまと協働し、課題解決に取り組む関係性を築けたことは、やりがいでもあり、今では私の財産になっています。
世の中のインフラが限界を迎えつつある今、これまで続けてきた仲間作りや機運作りが実を結ぶと信じていますし、自分の立場でできることに全力で取り組んでいきたいですね。
キャリアも業務も主体性を持って選択できる
―― 日本総研でのキャリア形成について教えてください。
日本総研で特徴的なのは、メンバーが自分の所属するグループを選べることです。年に1回、上司に説明することなく「このグループに入りたい」と手を挙げ、そのグループ長が受け入れてくれれば、異動できるという仕組みを採用しています。
また、異動と同様に昇格に関しても個人の意向やキャリアプランが反映されたものになっており、昇格することが全てという価値観の組織ではありません。あえて昇格を目指さず、今の自分のポジション・ステージで専門性を高めるという人もいます。ライフスタイルや生活設計を踏まえて、キャリア選択を社員の主体性に任せているのは、日本総研の大きな特徴です。
キャリア採用のみならず、新卒採用の人にも、配属の希望を丁寧にヒアリングします。「コンサルティングとは何か」「どのように仕事を進めていくのか」など、グループごとの説明をしたうえで「どのようなキャリアを築いていきたいか」を聞いています。
―― プロジェクトへの参画についても主体性が重視されるのでしょうか。
たとえ異なるグループのプロジェクトだとしても、「参加したい」と手を挙げてアサインされるケースはよく見られます。キャリア採用で入社した人の場合、最初はエルダーのもとでプロジェクトを進めてもらい、慣れてきたら本人の希望を聞いて、それに応じたプロジェクトへのアサインを調整します。中には、異なるグループのリーダーから高い評価を受け、継続してグループを超えたプロジェクトに参画している人もいますね。
日本総研には、まるで社内フリーランスかのように幅広い領域のプロジェクトに携わる人もいますし、所属するグループの仕事を突き詰める人もいます。一見すると、異なるグループのメンバーでチームが形成され、まとまりがないように思えるかもしれません。しかし、全員が「ありたい未来」を持ち、それを体現することを本気で考えているので、互いに認め合う風土が醸成されています。風通しが良い環境で全員が責任を持って仕事に取り組んでおり、あらためて素敵な社風だなと感じています。
目指すは「社会課題解決No.1」の会社
―― 石田様が考える「日本総研らしさ」と、今後の展望についてお聞かせください。
コンサルタントが、自身のライフワークに全力で取り組んでほしいなと思っています。日本総合研究所という社名にも込めているとおり、「お金儲け」ではなく、「日本のためになること」に取り組みたいという人に仲間になってほしいですね。「日本のためになること」をライフワークとしている人に来て頂いて、日本総研というフィールドを使って社会課題の解決に取り組んでもらえると嬉しいです。
社会課題解決というと公共的なテーマを想像する方が多いと思いますが、日本企業の成長に向けたコンサルティングも、重要な社会課題解決の一つです。社員が働きがいを持って仕事に打ち込めるような、そんな魅力的な新規事業創出や経営変革のコンサルティングにも注力しています。
しかし、それぞれが思うライフワークがバラバラだと、組織として一体感が生まれません。個々のライフワークと日本総研の取り組みを共有し、人と会社が共に成長できる関係を築いていきたいと思っています。
たとえ最初は隔たりがあったとしても、対話を重ねることで相互理解が進み、自然と方向性が生まれることもあるでしょう。それも含めて日本総研らしさなのかなと感じています。嬉しいことに、日本総研には社会課題に取り組みたいという志を持って入社してきてくださる人が多いので、「社会課題解決No.1」の会社でありたいですね。
また、政策から実装、企業変革まで、全てを担えるということを日本総研の強みにしていきたいと思っています。単なるコンサルティングにとどまらず、現場での実践や、調査部・創発戦略センターとの連携、さらには国への政策提言や世論喚起を通じて変革を起こしていきます。
主体性を持って社会課題解決に取り組みたいという方に、是非当社の仲間になって頂きたいと思います。
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