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製造業の未来を創る「マーケットネットワーク」構想とは
――アペルザが描く、日本のものづくり隆盛へのロードマップ

株式会社アペルザ

※このインタビューは2025年6月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。

代表取締役社長 石原 誠氏
株式会社アペルザ 代表取締役社長 石原 誠 氏

日本の基幹産業でありながら、長らく変革の波から取り残されてきた製造業。一方で巨大な市場とポテンシャルには変わりがなく、今も国内外から熱い視線が注がれています。

株式会社アペルザは、製造業各社を結びつける独自の「マーケットネットワーク」構想を掲げ、カタログサイトや動画配信などのメディア事業、業界特化のSaaS事業を通じて、製造業のDXを力強く推進しています。

アペルザはなぜ製造業に特化するのか。その構想の全貌とは。業界を変える「偉業」を成し遂げるために、どのような組織と人材を求めているのか。同社代表取締役の石原誠氏に話を伺いました。

工場設備に特化した事業支援で製造業をサポート

――まずは貴社の事業と特徴について教えてください。

石原氏:私たちは「製造業向けのインターネットサービス」というドメインで事業を展開しています。製造業は市場規模が40兆円を超える巨大産業です。それゆえに非常に業種が多く細分化されていることもあり、私たちは機械や装置といった工場設備の領域に特化しています。この設備を供給するサプライヤーと、それを導入する工場や研究所との間の取引を円滑にするサービスが私たちの事業の核です

具体的にはふたつの事業を展開しています。一つはメディア事業です。自社製品の魅力を伝えきれていない企業のために、ものづくり産業向けカタログサイト「Apérza Catalog(アペルザカタログ)」や、ものづくり産業向け動画配信サイト「Apérza TV(アペルザティービー)」といった媒体を通じてプロモーションを代行しています。これらのメディアは合計で月間約70万人のユニークユーザーにご利用いただいており、製品情報の発信から見込み客との関係構築までをサポートしています。

もう一つがSaaS事業です。メディアで見込み顧客情報を得た後、その後の営業活動を効率化するためのツールを提供しています。製造業の商習慣は購入検討から決定までのスパンが長く、中長期的なフォローが求められます。弊社は顧客管理やメールマーケティングといった機能を備えた業界特化型のSaaSを展開することで、受注に至るまでのプロセスを強力に支援しています



――なぜ「製造業」という巨大かつ伝統的な領域にビジネスチャンスを見出されたのでしょうか。石原社長が考える製造業の課題を教えてください。

石原氏:一言でいうと、製造業の中小企業は「自社をアピールするのが苦手」なのですね。部品や製品の開発・製造を下請けするという業界の成り立ちが背景にあるため、仕事をいただくという受け身の文化が根強く、能動的なセールスやマーケティングの文化が育ってこなかったのです。近年は自社オリジナルの製品をもつ傾向が強まっていますが、せっかく作った製品を売る方法がわからないという企業はめずらしくありません。

そこでセールスマーケティングが必要になるわけですが、今やデジタルの活用は不可欠な時代になりました。しかし、業界全体でデジタルスペシャリストが不足しており、数多あるツールをどのように連携させ、いかに活用すればよいのかわからない企業が大半です。
この「アピールが苦手」「デジタルスペシャリストが不足している」という根深い課題を解決するために、ポータルサイトやSaaSを通じて包括的に支援し、製造業全体を活性化させることを目指しています



マーケットプレイス、SNS、SaaS。3つが融合した「マーケットネットワーク」が製造業を躍進させる

石原 誠氏

――アペルザの戦略的な事業はどのような経緯で生まれたのでしょうか。

石原氏:アペルザの事業は行き当たりばったりで生まれたものではありません。スタートアップというと、成長しながらケイパビリティを広げていくイメージがあるかもしれませんが、私たちは逆です。最初から「マーケットネットワーク」という最終的な青写真があり、そこから逆算して事業を一つひとつ作ってきました

すべては、この壮大な構想を実現するための計画的なステップなのです。この一貫したビジョンがあるからこそ、一見すると多岐にわたる事業も、実はすべてが論理的につながっているのです。



――アペルザが考える「マーケットネットワーク」とは、具体的にどのような構想なのでしょうか。

石原氏:インターネットのビジネスモデルを研究すると、大きく成功した企業には共通項があります。それは「マーケットプレイス」と「SNS(コミュニケーション)」という2つのモデルです。GAFAなどがその典型ですね。私は、この2つのモデルが融合することが次のトレンドだと考えています。

巨大企業同士の融合には時間がかかりますが、BtoBや特定の業界であれば、この融合は起こりやすいはずです。取引そのものがマーケットプレイスで行われ、コミュニケーションもそこで完結するようになります。そうなれば業務の大半がそこで完結しますので、必然的に業務システムである「SaaS」も組み込まれるはずです。マーケットプレイス、SNS、SaaS。この3つを包含したプラットフォームこそが「マーケットネットワーク」であると考えています。

私たちは製造業におけるマーケットネットワーク構築という構想に向かい、一貫して日本の製造業が抱える課題を解決するプラットフォーム作りを目指した事業を展開しています



――その構想に対して、現在の進捗はいかがでしょうか。プラットフォーム完成までの道のりについてお聞かせください。

石原氏:正直なところ、現時点では「仮説検証が終わったにすぎない」段階だと考えています。プラットフォーム作りを目指して生み出したプロダクトやサービスを個別に検証し、うまくいくもの、いかないものの線引きができた段階ですね。これからは今年1年で既存のプロダクトやサービスを再構成し、プラットフォームとして完成させる計画を進めています。「アペルザは何をやっている会社なのか?」と疑問をもたれがちという課題も、この統合によって解消されるはずです。

一方で、まだ仮説検証ができていない最後のピースが残っています。それが「eコマース」です。製造業の機械や装置の取引は高額で複雑なため、一般的なECサイトでの売買は機能しません。買い手がカートに入れて決済する、という体験とはまったく異なる、この業界に最適化された新しい電子商取引の形が必要になりますので、これから2年かけて作り上げていくつもりです



――プラットフォーム完成後の展開について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。

石原氏:eコマースの検証が終われば、私たちのプラットフォームは完成します。その次に見据えているのが「海外展開」です。日本の優れた生産技術は、海外でも非常に高く評価されています。例えばiPhoneを製造する工場の要所では、日本の高度な製造機械が活躍しています。私たちのプラットフォームを通じて、日本のものづくりを世界に届ける。これが次の大きな目標です

現在のロードマップでは、今後3年で海外展開を本格化させる計画です。ベンチャー企業ですからIPOも視野に入れていますが、焦ってはいません。ボラティリティの高い海外展開などを上場前に経験し、盤石な体制で臨みたいと考えています。リスクの大きい挑戦は、上場前にしっかりやり切ること。それが株主様との良好な関係にもつながると信じています。



――マーケットネットワーク構想の実現に向け、どのような競合優位性を築いていくお考えでしょうか。

石原氏:何よりも「業界特化」であることが優位性になると考えています。製造業では顧客との継続的な関係性の中から売り上げを積み上げる営業が主流です。そのため独自の商習慣が構築されており、SFA(営業支援システム)一つをとっても、Salesforceのような汎用的なSaaSはフィットしません。製造業の皆さまが本当に望んでいる機能を備えたSaaSを提供できるのは、弊社のような製造業を理解している企業であると考えています

一方、どれだけ優れたサービスを提供したとしても、すぐに製造業全体に浸透させるのは困難です。製造業は実績主義の傾向が強いため、実際に成果を上げた実績がないと、新しいサービスを導入していただくのは難しいのです。そのため少しずつ実績を積み上げていかなければなりませんが、浸透させていくには時間がかかりますので、弊社のマイルストーンに合わないという課題がありました。

その課題解決に向け、2024年3月に、業界の中核企業である株式会社日伝と資本業務提携を結びました。日伝は以前より「業界の発展のためにはDXが必要であり、ITスペシャリストとの連携が不可欠である」というメッセージを発信していた企業です。日伝にご利用いただいたサービスを広く紹介していただいた結果、弊社のサービスが業界に浸透するスピードは劇的に上がったと実感しています。業界の中核企業とともにDXに取り組めているという点は、他社にはない弊社ならではの優位性であると考えています



チームで偉業を成す。業界に染まらない余所ものが製造業を変える

――構想の実現には、優秀なスタッフの力も不可欠だと思います。石原さんはこれから先を見据え、どのようなスタッフを求めているのでしょうか。

石原氏:行動指針の一つに「チームで偉業を成す」という言葉があります。先述のマーケットプレイスの実現は、きっと偉業と称していただけるような挑戦になるでしょう。その偉業を成し遂げるには、個人の力に頼るのではなく、チームとして一丸となり、高い「徹底度」でものごとをやり抜くことが必要です。4番バッターが並ぶようなチームではなく、それぞれが打線をつないで勝利をつかむ。ともに理想を夢見てくれるような、ビジョンやお客さまの利益を優先してくれる方を歓迎しています

そうした方は、製造業以外の分野で活躍されている方の中にも多くいると思っています。私が自社を面白いと思うのは、製造業を心から応援しているのに、社員に製造業出身者はほとんどいない点です。製造業は長年の歴史の中で業務フローが洗練されてきた一方、それゆえに内部からやり方を変えにくい側面があります。労働人口の減少や国際競争力の低下などの課題に直面している今、業界の常識にとらわれない「余所もの」が可能性をもたらしてくれると考えています。外の業界のケイパビリティを製造業に合わせてローカライズしていく。その柔軟性こそが業界を変えていく原動力になるのです

そうした優秀な方を製造業に呼び寄せる窓口として、弊社はちょうどいい存在だと考えています。製造業が隆盛を誇った時代は、優秀な学生がメーカーに集まり産業を支えていましたが、今はIT業界に人材が流れています。弊社は製造業とITの中間に位置する会社です。私たちのような会社が優秀な方を引きつけ、彼らが製造業の発展に貢献する。その循環こそが、日本のものづくりを発展させていくと信じています



――最後に、アペルザで働くことでどのようなキャリアや経験を得られるのか、石原社長のお考えをお聞かせください。

石原氏:三つあります。一つ目は、会社の急成長とともに自身も成長できる環境です。現在の社内では会社の成長によって社員への要求レベル、いわば「喫水線」がどんどん上がっています。そこをキャッチアップするだけでも簡単ではありませんが、ほかでは得られない大きな自己成長につながると考えています。

二つ目は、複合的な事業を展開しているがゆえのキャリアパスの広さです。弊社が目指すプラットフォームに携わることで、インターネットのメディアからeコマース、SaaSなどのさまざまな事業を体験できます。そうして経験を積めば、やがてコンサルティングや新規事業の立ち上げに挑戦することもできるでしょう。一つの会社にいながら、転職せずとも多様な経験を積めるのは大きな魅力だと思います。

そして三つ目は私の強い思いでもあるのですが、「経営者」としての成長です。いずれアペルザが大きく成長した先には、組織体としての分割を迎えることになるでしょう。そのときは必ず、それぞれの組織を担う部門長や経営者が必要になりますので、今から幹部候補を育成したいという気持ちを強くもっています。

私の経験上、優秀な経営者は非常に優れた人格者であることばかりです。優秀な人格者である経営者を輩出することは、きっと社会への貢献になると信じています。製造業の発展を通じて国を豊かにするという偉業を成し遂げたい方とともに働ける日を楽しみにしています

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