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アビーム流IT戦略・DX推進プロジェクトの戦い方

アビームコンサルティング株式会社

※このインタビューは2022年12月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
福田氏、大澤氏
  • 左:福田洋平氏 ITMSセクター デジタルテクノロジービジネスユニット ダイレクター
    SIerでシステム構築を経験した後、海外勤務を経て、総合系ファームへ。アビームコンサルティングへは2008年に入社し、現在はダイレクターとしてテクノロジーを軸に企業の戦略・構想やプログラムマネジメントを支援するほか、人材育成にも寄与する。
    右:大澤瞬明氏 ITMSセクター デジタルテクノロジービジネスユニット シニアコンサルタント
    新卒で独立系SIerへ入社、システムエンジニアとして要件定義、設計、開発や、ロボットによる自動化・BPRなどに携わる。2018年にアビームコンサルティングへ入社し、DX構想策定や推進支援・BPRを中心としたPJを経験。

SIerのSEなどITに関わる人の目指すキャリアの1つに、ITコンサルタントがある。企業のIT戦略やDX推進プロジェクトにITコンサルタントとして参画し、活躍するにはどのようなチャレンジが必要なのか。
アビームコンサルティングのITMS(ITマネジメント&サービス)セクターでIT・DX戦略の案件に携わる、ダイレクターの福田洋平氏、シニアコンサルタント大澤瞬明氏に、戦略案件の仕事がどのようなものなのか、コンサルタント未経験者がどのようにキャッチアップしていけるのかを聞いた。

アビームITMSセクターにおけるIT戦略案件とは

―ITMSセクターが関わるIT・DX戦略の案件について、事例も交えて教えてください。

福田 洋平氏
ITMSセクター
デジタルテクノロジー
ビジネスユニット ダイレクター
福田 洋平氏

 大澤 瞬明氏
氏
ITMSセクター
デジタルテクノロジー
ビジネスユニット
シニアコンサルタント
大澤 瞬明氏

福田氏:「戦略」案件の定義は難しいですが、クライアントの「価値をデザインする」部分から携わるプロジェクトは戦略案件であると考えています。「価値をデザインする」といっても、バリューアップ的な案件のみでなく、システム連携強化や自動化推進などクライアントの業務改善をデザインし、社員の余力創出により価値に繋げていくような案件もあります。

大澤氏:これまで私が関わったプロジェクトは主にDXロードマップ策定でした。クライアントの中期経営計画や経営戦略とITとの整合性を取りながらロードマップを描くところまでがスコープで、その中の1テーマとしてBPRを推進するプロジェクトがありました。BPRと言っても、業務プロセスを効率化・省力化するだけでなく、その成果として生まれた余力を、事業戦略を踏まえていかに付加価値の高い活動に充てていくかといった視点で整理・計画化していきました。これも戦略案件の一種であったと捉えています。

福田氏:他にも、デジタルに対応する組織をデザインする・人を育てるといった人材戦略を策定する案件や、業務プロセスの改革に伴うITガバナンス構築・強化とその展開・定着までを支援する案件などもあります。

変革をデザインすることの難しさとDXの捉え方

―より具体的に、詳細を伺っても宜しいでしょうか?

福田氏:我々はテクノロジーやデジタル技術を強みとしていますが、DXの本質は「変革」であり、それは「D(デジタル)」ではなく、「X(トランスフォーメーション)」の方です。
そのため、DX戦略の案件ではまず「X」の部分、つまり「どのように変革するか」を考えます。

例えば、クライアントに「2035年はどのような社会になっているか、どのような社会になっていて欲しいと思いますか」と問いかけて、考えを伺います。その答えに対して「では、そのような社会の中で、皆さんの業界はどのように変化していて欲しいと思いますか」「その業界内で御社はどのような役割を担っていきたいですか」「その役割を果たすために、どのようなサービスが必要だと思いますか」というように質問・対話を重ねていきながら、クライアントの中にあるポジティブな想いを引き出していきます。

対話形式以外にも、「顧客がこのような体験をするような世界になってほしい」というビジョンを紙に絵で描いてもらうなど、引き出す方法は様々です。そうして、クライアントの持つビジョンの解像度を上げて具体化していく作業が、変革をデザインする戦略の部分で非常に重要となります。

DXの「D」であるデジタルやテクノロジーが入ってくるのは、そのビジョンを実現するための手段を考える段階になってからというケースがほとんどです。無論Dの部分は決して軽視してはいけません。

社会の変化、例えば政治や経済というものはリニア(線形的)に、積み重ねで進展していると感じます。しかし、テクノロジーの進化はエクスポネンシャル(指数関数的)に加速していっています。トランスフォーメーションは「変換」などとも訳されますが、DXにおいては一気に「変身」するようなスピード感が求められます。そのスピードを出すためにも、テクノロジーの進化がもたらす大きな力を利用することが必要なのです。

Xが本質でありながら、その実現にはDという手段が必須であり、この両輪を意識しながらビジョンを描いていくことが「戦略的仕事」だとも言えると思います。

チームワーキング・他部門とのコラボレーションの機会は多い

―他のビジネスユニットやセクターとの協業もあるのでしょうか。

インタビューの様子

大澤氏:あります。まさに今、私が担当している案件は戦略ビジネスユニットをはじめとした他ユニット・セクターと協業しています。

戦略案件を担当すると、その事業のプロであるクライアントと対等に議論していけるだけの業界知識が求められますし、それを元にした実現可能性と投資対効果をクライアントに訴求していく必要があるため、一定の自力調査だけでは不足する部分を「詳しい人に聞いて情報を集める」というアクションが必要不可欠です。こうした社内のヒアリングは、私のプロジェクトでも月1〜2回ほど発生しています。

具体的には、各ユニット・セクターでの業界知見者とコンタクトを取ってヒアリングの場を設けたり、社内のプロジェクト事例が集まっているコンテンツから類似プロジェクトを探してきて参画メンバーにヒアリングしたりします。場合によっては初期調査段階だけでなく、課題整理や施策検討の段階でもアドバイス頂くこともあります。

福田氏:近年はクライアントの期待値が高くなり、カバーしなければならない領域も幅広くなりました。そこに対応できる知識を1人でカバーしようとしても、まったく追いつかない世界です。社内のコンサルタント一人一人に豊富な知見を持つ得意領域があるので、それをいかに融合させて、コンサルティングの価値を高めるかが重要になります。アビームは、そうした協業の意識が非常に高い組織だと思いますね。

―チームワーキングや協業の文化はどのように培われているのでしょうか。

福田氏:そもそも私が前職のファームからアビームに移ったのは、チームワーキングの文化を大事にするファームだという話を聞いたからでした。コンサルタントは、「個人の名前で仕事ができる」ことが優秀とされる一面もある職業です。確固たるプライドを持つ人や、厳しい競争環境の中で名を上げていこうとする人が多い業界で、チームワーキングの重視は難しいのではないかと思っていました。

でも、アビームに入ってみると、個々の目線が「自分」ではなく「クライアント」の方向に向いていて、個人という「点」ではなく組織という「線」あるいは「面」で、より大きな価値をクライアントに提供したいという強い想いが共通していると感じました。

それが「どのように培われたか」という質問にシンプルにお答えするなら、アビームが積み重ねてきた歴史によるものだと思います。歴代の社長・社員がこのような文化を大切にし、「アビームならではの価値を出そう」というメッセージを発信し、体現してきたことで、それに賛同する人が集まって組織となり、その組織の歴史が積み重なって今があるのだと思います。

難易度の高い戦略案件でも着実にキャッチアップできる環境

―難易度が高い戦略案件を、コンサルティングファーム未経験の方はどうキャッチアップして、活躍されるのでしょうか。

大澤氏:アビームではコンサルティングに関する様々な方法論・過去のナレッジがしっかりまとめられていて、テンプレートやドキュメントも豊富です。未経験者がコンサルタントとしての基本動作を身につけたり、事前知識のない領域に臨む際の参考情報を収集するための環境は整っています。

戦略案件に携わると、変数が多い中で物事に優先順位をつけ、何を選び取って何をメッセージとするのか、自分一人では答えが出せないことに対してステークホルダーの調和を図りながら確からしい答えを導いていくソフトスキルも必要になります。

ここは、クライアントの事業や文化に対する理解や業界知識が求められる部分ではありますが、なによりも参画するプロジェクトでのOJTという最高の学習環境で十分キャッチアップできると思います。 疑問点は何でも聞けますし、新規参画者が「分かっていないであろうこと」は先輩側が進んで教える環境・文化がアビームにはありますので、過度に恐れる必要はありません。

福田氏:戦略案件には、大きく分けて2種類あると思っています。それは「両利きの経営」でいわれるところの「探索」と「深化」です。「探索」の方を「価値創出の戦略案件」、「深化」の方を「課題解決の戦略案件」と言い換えて説明します。

企業の既存のビジネスの延長線上にはない新しいビジネスモデルの開発に取り組むタイプの「価値創出の戦略案件」は、顕在化している目の前の課題を解決する力というよりも、誰も気付いていなかった潜在的な課題を発見する力が重要です。そういったゼロからイチを生んでいく力が求められます。つまり、思考のジャンプが必要なんです。クリエイティブな領域です。アビームでは今、この種の戦略案件を重視して、デザイン思考やアート思考といった手法に取り組み、研修も用意しています。

一方、「課題解決の戦略案件」は、進め方においてある程度の「型」があるので、型に従って実践し、経験を積むことで、比較的キャッチアップしやすいといえます。いわゆる「守破離」で対応できうる世界ですが、必要なスキルは様々です。クライアントの現状を把握する力や情報を整理する力。さらに分かりやすく“見える化”して伝える力。手段について普段から幅広く好奇心を持ってアンテナを高く張り、課題に対する打ち手を導き出す力。過去にアビームがやってきた類似プロジェクトの情報を得て、応用する力。そういったスキルを身に付けるための研修やe-Learningなどの手段をアビームでは多く用意しています。

プロジェクトの精神的支柱としてビジョンが重要になる

―実際に関わったプロジェクトで印象深いものを教えてください。

大澤氏:現在担当しているプロジェクトは、ある総合商社がクライアントで、DXを推進する本社組織が主となってグループ会社のDXを推進するというミッションを支援しています。グループ会社によっては「問題なく収益を上げているのになぜDXが必要なのか」という状態のため、まさに「探索」型の価値創出プロジェクトです。具体的に何をするか以前に、DXの必要性を訴えかけ、共感してもらう意識改革から始めなければなりません。そこが探索型の難しさでもありますし、自分にとって“気づき”の多い案件だと思っています。

―どのような“気づき”があったのでしょうか。

大澤氏:結局、われわれがDXを引き起こすわけではなく、DXの主体はクライアントですから、クライアントをいかに巻き込み、感情レベルで火を点けるかが重要です。ですから、クライアントとよい人間関係を築くことも大事ですし、場合によっては「自分もクライアントの組織の一員」くらいの感覚になるようなアクションも必要になります。

さらに、経営層を上手く巻き込んでも現場が理解・納得しなければ、やはりDXは進みません。場合によっては現場の業務負荷が一時的に上がってしまうことも多く、反作用が生まれる可能性もあります。そうした部分に上手く働きかけて、クライアント自身の中にDXを推進する力を生まないと、構想が実現しなくなる。そこに気づけたという意味で、現在進行形ではありますが、今後の教訓と私自身の課題を得た印象深いプロジェクトです。

福田氏:DXとは、変化を求めることです。そうすると人間が持つ生存本能的に拒絶反応が起きることが多々あります。それは変化によって立場を追われるリスクを感じるからです。そのような方達にむしろ変化を受け入れないことのほうがリスクだと危機感を持ってもらう必要があります。同時に、未来へ向けたビジョンを提示して“ワクワク感”を醸成することも必要です。そこで描いた未来のビジョンが、DXを推進する段階で迷いが生じた時に立ち返るべき原点となり、拠り所にもなります。そういった意味でも、ビジョンというものは非常に大事なのです。

あるプロジェクトで、DXビジョンをつくらずに進めたことがありました。すると、プロジェクトが混乱した時に立ち戻る拠り所がないため、推進力や決断力が弱い状態になってしまったのです。それを反省して、別のプロジェクトではクライアントとしっかり対話をしてDXビジョンをつくりました。その結果、クライアントが迷った時などにDXビジョンに立ち戻り、重要な意思決定をして前進することができました。社員の方たちも、DXビジョンを実現すること、ひいては自社の未来を創るという目標があったからこそ、心を一つにすることができた。この経験は強く印象に残っています。

―クライアントとの関係づくりにおいて心掛けていることはありますか。

福田氏

福田氏:私は社内のコンサルタント向けの研修の講師を務めることがあり、その際によく「説得よりも納得、納得よりも共感」という話をします。

クライアントに行動してもらう上で、「説得」ではせいぜい1〜2回動いてもらうのが限度です。また、「納得」止まりでは、クライアントが様々な状況にいる中で、周囲のプレッシャーや心理的な抵抗感を乗り越えてまで動いてもらうことは難しいです。目指すものに「共感」してもらえて初めて、推進力が生まれます。戦略系に限らず、アビームのコンサルタントにはクライアントに「共感」して動いてもらえるような価値提供をしていこうという意味で、よくこの話をしています。

誰に、どのような価値を、なぜ提供したいのか突き詰めて考えてほしい

―どのような方と一緒に働きたいと思いますか。

大澤氏:常に複数の視点から物事を見つめ、自分なりの意見を持てる人です。自分の意見に固執しすぎるのは良くないですが、クライアントは常に専門家からの意見を求めています。専門的な意見でなくとも、クライアントに気付きをもたらしたり、ある課題を更に深堀るような価値ある発言ができるポテンシャルを持つかどうかは重要だと思います。誰かと意見を戦わせることで、アウトプットはより良く磨かれていくと思いますし、仕事にも組織にも馴染むのが早いという感触はあります。

福田氏:戦略系に限らず、コンサルタントは常に成長していかないといけません。そのためには、健全に自己否定しながら自分をアップデートしていける人であってほしいです。「健全に」というのは、自分を追い込み過ぎずに「できていること」は肯定しつつ、「できていないこと」にもしっかり目を向けて、改善していけるという意味です。そういう人なら、コンサルタントとして価値を発揮し、アビームで成長していけると思います。

―最後に、「コンサルティングファームでIT戦略をやりたい」と思い貴社への転職を検討している方にメッセージをお願いします。

大澤氏:私もそうでしたが、IT戦略コンサルタントってすごくキラキラしたイメージがありますよね。だからこそ、「なぜIT戦略をやりたいのか」「なぜ上流へ行きたいのか」を、徹底的に自己分析して、自分の言葉で説明できることが大事だと思います。

それと、自分に何ができるのか、何ができないのか認識を深めておくことも大事です。どんな選択をするとしても、それ自体が非常に価値のあるアクティビティになります。その意味で、まずは転職活動を楽しんでほしいですね。

福田氏:付け加えると、自己分析・自己認識から見えてきた自分の強み・弱みも含めて自己開示することが重要だと思います。特にアビームは、開示してくれたことに応えて、よりその方が活きるフィールドを提供しようとしてくれる組織だと思います。提供されたフィールドで自己表現し、パフォーマンスを出すことによって、自己実現を達成する。そうして今度は次の自己実現に向けて新たに目標を設定する。その繰り返しのアップデートにより人は成長していけると思っています。

私たちが価値を提供するのは、一次的にはクライアントに対してですが、ひいては社会、生活者に対して価値を提供するものだと考えています。ですから今後のキャリアを考える際に、「自分は将来こうなりたい」「自分はこのようなスキルを身につけたい」と自己への内側のベクトルで完結するのではなく、その結果として、誰に対して、どのような価値を、なぜ提供していきたいか、外側へ言語化して分かりやすく想いを伝えられることが大切だと思います。そういう方なら、前に進んでいく原動力も強いので、アビームへ入ってきてもらえたら一緒に楽しく躍動できると思います。

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