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東洋紡、創業140周年で打ち出した「サステナブル・ビジョン2030」で、
社会課題の解決へ

東洋紡株式会社

※このインタビューは2023年10月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
持田 由希子氏
東洋紡株式会社 サステナビリティ推進部長 持田 由希子氏

2022年5月に創立140周年を迎えた東洋紡。これを機に、コーポレートロゴを60年ぶりに刷新するとともに「サステナブル・ビジョン2030」を策定・公表しました。
素材+サイエンスの力を駆使し、地球規模の課題解決に取り組みたいと考える人に活躍のステージが広がっています。
サステナビリティ推進部長の持田由希子氏に取り組みの内容と手応えについてうかがいました。

多様な領域のテーマでイノベーションを創出へ

―2022年5月、創立140周年を機に「サステナブル・ビジョン2030」を打ち出されました。この策定に至った経緯をお聞かせください。

「サバイバル思考から、サステナブルな成長志向へ」。つまり、短期的に目先の利益を追求することから、中長期視点で社会課題の解決に貢献し、持続可能な成長へつなげていく方向へ舵を切りました。

1990年代後半から2000年代前半にかけて、厳しい環境の中、一部の衣料繊維事業の構造改革を進めつつフィルムや高機能素材などの事業を拡大し、収益性を高めました。そうした時代を経て次を見据えたとき、持続的な成長を遂げるためには、これまでのような短期的視点ではなく「北極星」を置いてそこに向かっていくような考え方に転換する必要があると考えました。

そして、従業員にとっては「このビジョンのどこかに自分の居場所がある」ようにしようと思い、8カ月かけて各事業の本部長をはじめ、企画・営業・技術などさまざまな人と対話を重ね、ビジョンとしてまとめました。

―社会課題に対応する、多様な取り組みを進めていらっしゃるとのことです。

当社のコア技術として、「高分子技術」「バイオ・メディカル技術」「環境技術」「分析・シミュレーション技術」があります。それをマーケティング、デジタルによって融合させ、イノベーションの創出を図っていきます。

また、新規事業の種を探索する「みらいプロジェクト」などで、新規事業領域の探索も進めています。オープンイノベーションとして、スタートアップやアカデミアなどとも連携。たとえば神戸大学と包括連携協定を結び、カーボンニュートラルに寄与する膜技術などの環境分野、QOL(生活の質)向上につながるライフサイエンス分野を中心に共同研究を行い、社会実装を目指しています。

事業部門の活動を側面から支援

―「サステナビリティ推進部」の役割についてお聞かせください。

社長直轄の組織として2020年に立ち上げました。当初は3名でスタートしましたが、現在は16名体制で活動しています。キャリア入社した環境分野のエキスパートもいれば新入社員もいる、多様性に富んだ組織です。

社長の竹内は「企業価値は社会的価値と経済的価値の掛け算である」とよく語っています。「両方をスパイラルアップしていく必要がある」と。サステナビリティ推進部は当社グループの社会的価値をいかに高めるかをミッションとしていますが、経済的価値についても、事業推進し、拡大させるための側面支援を行っています。

機能としては大きく3つ。1つは「センシング」「アンテナ」などと呼んでいますが、グローバルなサステナビリティの動きについて情報を収集し、社内に取り入れる活動。
2つ目は「インキュベーション」です。収集した情報をもとに、当社グループでは未着手の取り組みをまずサステナビリティ推進部で始めてみて、ある程度軌道に乗ったら本来、担当する部門に引き継ぐ機能を担います。
3つ目は「ハブ」。お客様やお取引先様の情報を「サステナビリティ」という軸で持っておくべきだと考えています。

お客様は、私たちサプライヤーに対してサステナビリティ、あるいはESGへの取り組みを求める傾向が強くなっています。
既存のお取引の拡大を図るとき、あるいは新規のお客様に認めていただくとき、サステナビリティにしっかりと取り組んでいることが透明性高く見えている状況でなければなりません。当部はサステナビリティへの取り組みを深め、その取り組みを発信することによって、事業活動をサポートしたいと考えています。

―サステナビリティ推進部の立ち上げから約3年、どんな手応えや成果を得ているのでしょうか。

ESG評価機関からの評価が大きく向上しました。
世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資の判断基準として採用している5つの指数「FTSE Blossom Japan Index」「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」「Morningstar ジェンダー・ダイバーシティ指数(GenDi)」、このすべてにおいて構成銘柄として選定されています。

世界的な環境情報開示システムを運営する英国の非営利団体・CDPが実施する「サプライヤー・エンゲージメント評価」においては、最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に2年連続で選定されました。
これは気候変動に関する企業調査において、「ガバナンス」「目標」「スコープ3排出量」「サプライチェーンエンゲージメント」の4分野の質問への回答などをもとに、企業のサプライチェーン全体における気候変動に対する取り組みを評価するものです。

また、「サステナブル・ビジョン2030」の目標に向けてのマイルストーンを明確に示すことで、有利な条件での資金調達も実現できています。
「サステナブルファイナンス」(環境課題や社会課題の解決など持続可能な社会の実現のための資金調達)において、関西でこれだけの数を実施している企業はほかにないと聞きます。

やはり外部からの評価はうれしいもので、事業部の皆さんも「評価が上がってきたね」と喜んでくださっています。
サステナビリティの取り組みは、究極的には従業員のやりがいやモチベーションにつながるべきだと思っています。従業員という一番近い、非常に重要なステークホルダーにしっかり届けていきたい。「サステナビリティ」という軸を持って従業員の皆さんとコミュニケーションをとっていくところに、私自身がやりがいと面白さを感じています。

経験・スキル以上に、サステナビリティへのパッションが重要

持田 氏

―今後の課題、取り組みについてお聞かせください。

ビジョンで掲げた目標を日々の業務に落とし込むには、まだ若干距離があることを課題だと捉えています。たとえば研究開発のテーマを選定するとき、ビジョンに紐付けて考えるようになったという点では、かなり進んできています。一方で事業部門において、目標に向かってどのようにマイルストーンを置き、進めるかというディスカッションはもっと必要ですね。

この議論を深めるためには、その取り組みがいかに世の中にインパクトを与えられるのか、定量的に示す必要があると考えています。サステナビリティ推進部が技術面、あるいは直接的な事業推進まで踏み込むのは難しいのですが、他社での事例や海外での取り組みなどヒントになる情報を提供していきます。



―促進していくために、どのような人を必要としているのでしょうか。

私個人としては、経験・スキル以上にサステナビリティに対する熱意、パッションが重要だと思っています。当部のメンバーも、環境や人権に対する正義感、あるべき姿を追求しようとする志を持っています。

もちろん知識があることに越したことはありませんし、語学力があれば海外のオリジナル情報を早期にキャッチできるでしょう。けれど、パッションがあれば、それは後からついてくるもの。まだまだ「道なき道を進んでいく」段階ですので、より良い世の中を作りたいという思いがある人であれば活躍できると思います。

企業理念「順理則裕~なすべきことをなし、ゆたかにする」を実践

―持田さんご自身もキャリア採用で入社されていますね。なぜ転職先として東洋紡を選んだのでしょうか。

以前は化学メーカーで26年勤務し、後半はIR・広報を担当しました。コミュニケーション・スキルをより深めること、新しい経験を積むことを目的に転職活動を始めたところ、統合報告書の充実を図ろうとしていた東洋紡に出会いました。

東洋紡は国策の一環として、渋沢栄一氏によって創立された歴史を持ちます。渋沢氏が掲げ、今に受け継がれる「順理則裕~なすべきことをなし、ゆたかにする」という理念に強く共感したことが、入社の決め手となりました。「自分のミッションをしっかり追求することで世の中を豊かにする一助になれるのであれば、ぜひやりたい」と。

2019年に入社し、2020年からサステナビリティ推進を担っています。やはり組織の根底に「なすべきことをなす」「世の中を豊かにする」というDNAがあると感じます。

実は「サステナブル・ビジョン2030」の策定に着手したばかりのころは、「やる意味があるのか」「難しいだろう」といった否定的な反応もありました。中・長期的な数値目標を掲げることに抵抗感を抱いた社員もいたと聞いています。

けれど、「サステナブル・ビジョン2030」の公表から1年半経った今、皆さんしっかり使いはじめています。「この方向性からすると、こうすべきだよね」「これを実現するためにはどうすればいいか」と、ビジョンを起点とした議論が普通にされている。先日はある事業部のマネジャーが歩み寄ってきて「このビジョンに基づいて取り組んでいるが、どうしたらもっと従業員が自分ごととして取り組めるようになるか、相談したいと話しかけてくれました。

このようにビジョンを起点として、事業サイドで取り組みが活発化しています。私が入社時に強く共感した理念が、まさに実践されていると感じます。

―入社を検討されている方へのメッセージをお願いします。

東洋紡グループのサステナビリティへの取り組みは、サステナビリティ推進部にとどまらず各事業本部・各部で進めています。企業価値をさらに高めていくため、そしてセクションの壁を越えて風通しのよい企業風土を作っていくための取り組みに、ぜひこれまでのご経験を生かしてください。 心理的安全性が高い組織ですので、中途入社された方も伸び伸びと活躍できる環境です。

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