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多様な人財が活躍し、イノベーションを推進するAGC

AGC株式会社

※このインタビューは2023年11月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
井原有紀氏
AGC株式会社 人事部・人事戦略統括担当部長 井原有紀氏


ガラス素材を主軸とする素材メーカーAGCは、モビリティや半導体・エレクトロニクス、化学品、ライフサイエンスなどの事業領域で大きな存在感を放っています。同社は創業から110年以上に渡って、複雑化する社会課題や業界のニーズに応え続けてきました。その背景には多様性を重んじ、ジャンルを問わず学びを後押しする企業文化があります。

主体性を重視するAGCの人財育成について、人事部・人事戦略統括担当部長の井原有紀氏にうかがいました。

20年以上前から取り組んできた、働き方と人財像の多様性

――貴社では20年以上前からダイバーシティに取り組んできたとうかがっています。どのような経緯から始まったのでしょうか。

AGCはガラスメーカーとして創業後、1956年にインドでのガラス生産を開始し、日本の民間企業として他社に先駆けていち早く海外進出を果たしたほか、1981年にはガラス大手企業であるグラバーベル(ベルギー)を買収し、欧州でのビジネスを開拓していきました。

その後、グローバル一体経営へとシフトし、経営幹部の多国籍化や、事業のオペレーションも多国間でシームレスに連携することを目指しました。2002年にグループビジョンLook Beyondを策定し、重視すべき4つの価値観のひとつに「ダイバーシティ(多様性)」を掲げています。


Look Beyond<Look Beyond>

このビジョンを起点として、AGCのポートフォリオは更に発展し、2015年以降は「コア事業」と「戦略事業」を明確に定義した「両利きの経営」を推進してきました。タイの化学品メーカーであるビニタイやアメリカ大手バイオ医薬品原薬の開発製造受託企業のCMC Biologicsなどを買収し、ガラスメーカーから素材メーカーへと進化、現在では30を超える国と地域でビジネスを展開しています。グループ従業員の8割以上が外国籍従業員ですので、まさに、ダイバーシティを活かした経営をしています。

――多様な働き方を推進する具体的な取り組みについて、お聞かせください。

日本の制度に着目しますと、従業員の状況に応じた柔軟な働き方ができるように、他社に先駆けてコアタイム無しのフレックスタイム制度を1989年から、在宅勤務制度を2012年からそれぞれ導入しています。2017年からは配偶者転勤時休職制度を開始し、最長3年間、配偶者の転勤先への同行ができますので、性別に関係なく活用しています。

男女問わず取得できる育児休職制度は2003年にスタートし、昨年、女性の取得率は100%、男性の育児休職・短期育児休暇取得率も過半数を超え、日本全体平均の17%※と比較しても大きく上回っています。

※厚生労働省「2022年度雇用均等基本調査結果」より

――企業によっては多様な働き方の導入に取り組んでも、なかなか進まないケースもあると思います。なぜ貴社では、それぞれの制度が浸透しているのでしょうか。

育児だけでなく、介護をしながら働く社員も増えていますし、また、自己の成長のため社外副業をするなど、働き方の多様性に対する必要性が高まってきており、もともと、”働く時間ではなく「成果」を重視する”合理的思考の持ち主が多い組織風土も寄与しています。私の部署にも子育て中の男性社員が二人いますが、夫婦で協力して保育園のお迎えや、食事の準備をしています。

当社のCXOたちも配偶者はキャリアを持つ女性で、CXO自身が家事・育児を分担してきた当事者として理解がある点も大きいと思います。「男性だから」「女性だから」という考え方ではなく、性別に関係なく協力し、活躍できる組織の理想像が社内全体に浸透しているからこそ、今日のように普及できているのだと思います。

DE&Iを、イノベーションに変える取組み

――貴社ではダイバーシティだけでなく、公平性や包括性も尊重した「DE&I」(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に取り組まれています。この施策の意図についてお聞かせください。


AGCにおけるDE&Iの定義

当社の使命は、独自の素材・ソリューションで、世界中の人々の暮らしを支えることです。世界で暮らす人々はまさに多様で、さまざまな国籍、年齢、性別、文化的背景、価値観を持っており、おかれた環境も考え方も違います。AGCの従業員は、そういった様々な人々の暮らしに思いを馳せながら素材イノベーションに貢献しており、そのために個々が持つ異なる考えやアイデア、能力を発揮してもらうことがとても重要です。そういう意味では、AGCのグローバルで働く従業員5万7000人それぞれがダイバーシティです。

そして、それぞれが力を発揮するためには、個々の状況に応じた成長支援(エクイティ)が必要だと考えています。マネージャーが自分のチームメンバーの状況に応じて、より良いサポートが提供できる体制を追求していきます。
また、ダイバーシティを力に変えるためには、一人ひとりが持つ能力、アイデア、視点、考え方を積極的に取り入れ、衝突を恐れずに意見を出し合えるような風土を醸成することが必要です(インクルージョン)。

具体的な取り組みの一例として、管理職向けのアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み・偏見)に関する必須研修の実施、心理的安全性に関する社内セミナーとワークショップの開催などがあります。特に心理的安全性セミナーは、社員の関心も高く、大変評判の良いものでした。

これらのDE&I施策を推進するため、2022年からダイバーシティ・カウンシルを立ち上げ、CXO、カンパニープレジデント、人事部長が中心となり、各カンパニーでの取り組みの共有や、全社で推進すべき施策についての議論をしています。

自主性とスキルの多様性を伸ばす、AGC流人財育成

井原氏

――貴社ではさまざまな主体的な成長を支援する制度があるとうかがいました。

社員の自主性を尊重するAGCらしい取り組みの一つに、CNA(クロスディビジョナル・ネットワーク・アクティビティ/部門横断的ネットワーク活動)という人事施策があります。

ガラス関連技術や樹脂設計といった技術関連のスキルや、財務やコーポレートコミュニケーションといった事務職能系のスキル毎に学びのコミュニティがあり、強化したいスキルに応じて従業員が所属部署に関係なく参加できます。現在、約6,000人が登録しており、人事からの予算の元、外部講師を招いた勉強会や社外見学などを通じてスキルアップを図っています。

活動は業務の一環として認めていますが、会社からやらされている感覚や義務的に感じることが無いよう、CNAの活動を通じた成果は一切求めないという方針で運用しています。実際にCNAで生まれた社員間のネットワークがきっかけとなって異動するケースやCNAでの学びが新しいプロジェクトに還元されるケースもあります。しかし、そういった「成果を出すこと」をCNAに求めないことで、社員が主体的に、自由にスキルを探求し、社内外の人脈を豊かにできるようにしています。

――どういったコミュニティが人気なのでしょうか。

営業マーケティングやプラントエンジニアリングは600人を超える社員が登録しています。また、社員からの提案でスタートしたデータサイエンスも参加希望者が多く、非常に活発に活動しています。今現在、スキルとして存在しないものでも、テーマに精通した社員が手を挙げることで「JUKU」として活動を開始することができます。最近では、「外を知る、内を知る」というテーマのJUKUが立ち上がり、文字通り、会社の外と中を知るユニークな活動を進めています。

――社内副業制度もスタートしたとうかがいました。

もともと、一定のルールを定めたうえでの社外副業は可能でしたが、今年から、勤務時間の最大2割を社内の別の部署の仕事に充てられる社内副業制度(ジョブチャレンジ)をスタートしました。
これにより、正式に異動しなくても、新しい職務にチャレンジすることが可能となり、社員の能力開発・キャリア形成の幅が広がりました。また、さまざまな知見やスキルを持った社員が技術開発や新製品のマーケティングに携わるなど、ダイバーシティの力を事業に活かしている実例が既に生まれています。

素材イノベーションに挑む人財が集うAGC

――井原様はソニー、アマゾンジャパン、ノバルティスファーマと異なる業界で一貫して人事畑を長く歩まれたとうかがっています。さまざまな組織を経験した井原様にとって、AGCはどのような特徴があると思われますか。

ソニーにいたころから、AGC(当時は旭硝子)は非常に技術力の高い会社だという印象を持っていました。そして創業の技術だけに固執することなく、ガラスの会社からグローバルな素材の会社にトランスフォームした柔軟性に興味を持ち、今回、ご縁があって入社しました。

面接を通じて感じた企業文化、社員への印象は入社後も変わらず、「等身大」で「主体性」を大事にしていると感じます。必要以上に自慢したり、話を盛ったりせず、また、人の足を引っ張ることもない。それはいい意味で自分に自信があり、自己肯定感が高いからではないかと思います。ここ数年はキャリア入社者の数が非常に増えていますが、生え抜きの社員とキャリア入社の社員が対立することもなく、外部からの意見や新しい提案に対しても、きちんと必要性と意義が理解されればワンチームで動く土壌があります。そういった面ではインクルージョンの考え方が従来から浸透している組織だと思います。


――どのような資質を持った方が、キャリア採用で活躍されていますか。

AGCは独自の素材とソリューションでお客様を支える企業です。コンシューマー製品を手掛けているわけではないので、一般の方がAGCのロゴマークが入った商品を目にすることはほとんどありません。地味に映るかもしれませんが、AGCの技術と素材は世界中の人々の暮らしを支えています。
このことに自負を持ち、「こういうものがあったらいいな」というアイデアを形にする人、時間がかかっても諦めずに粘り腰で取り組む人、遠慮しすぎず周囲を巻き込める人が活躍しています。

――最後に、現在転職を考えている方へメッセージをお願いします。

私自身、AGCは4社目ですが、転職をするたびにそれまで積み上げてきた仕事の知識や人脈がリセットされるので、立ち上がりが本当に大変なんです。その一方で、新しい環境で新しい知識を得て、人間関係を築くことで、自分の世界が広がることの面白さを感じてきました。
常に大切にしていることが二つあります。一つは、その会社の存在意義。その会社は世の中の役に立っているのか。もう一つは、その会社で働く人たちと価値観を共有できるかどうか。仕事は一人ではできませんので、自分の価値観と合う人がいるのかどうかは非常に重要なポイントです。
私にとってAGCには共鳴しあえる人がいて、一緒にさまざまな課題に取り組みたいと思える人が多いと感じます。その思いは入社から今日まで変わりません。


井原氏

編集後記
創業より110年以上に渡り業績拡大を続けているAGC株式会社。 そこには常に時代とともに進化し、そして変化を推進する風土がありました。 本記事を参考にAGC株式会社に興味を持っていただいた方は、ぜひJAC Recruitmentへご相談ください。


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