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インセンティブ制度とは? メリットとデメリットを解説

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公開日:2022/07/25 / 最終更新日: 2023/10/23

ビジネスシーンでよく聞かれる「インセンティブ」という言葉。一般的には「業績や成果に対して支払われるもの」とされており、インセンティブが働く際のモチベーションアップに繋がるケースも少なくありません。そのため、転職の際にインセンティブ制度があるかどうかを基準に企業探しをする方もいることでしょう。

しかし実際には、「詳しい制度内容はよく分からない」「どのようなメリットやデメリットがあるのかよく知らない」と思っている方がいるのも事実です。

そこで今回は、「インセンティブ制度とは何か」「どういった業界や企業に取り入れられているのか」といった点について詳しく解説していきます。

制度の内容からメリットやデメリットまで分かりやすく説明していきますので、現在の職場ではインセンティブ制度がないため自分に合っているのか知りたい、現在インセンティブ制度がある企業へ転職を考えているといった方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。


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インセンティブ制度とは?


ビジネスにおけるインセンティブとは「企業が従業員に対して、業績や成果に応じて支払うもの」と定義づけられています。

インセンティブと聞くと、金銭での報酬をイメージする方もいると思いますが、必ずしもお金が対価であるとは限りません。なぜなら、インセンティブの元々の意味合いは「動機付け」「誘因となるもの」であり、社員やスタッフのモチベーションを高めることを目的に導入されている制度となっているからです。

しかし実際は「○○件以上受注したら、基本給に○○円が上乗せされて支給される」といったように、販売件数や目標額の達成に応じて金銭が支給されるケースが多いとされています。基本的には、個人の成果に応じてインセンティブが支払われるため、従業員ごとに受け取ることができる金額に大きな違いがあります。

そのため、モチベーションを高める効果が期待できるでしょう。また、成果を具体的に計測できるように数値目標を設定することが一般的です。明確な目標を従業員に対して示すことにより、透明性を担保し、不公平感を与えない制度設計をすることが求められます。

また、支店ごと・チームごとといったように、個人を対象としたものではなく、組織としてインセンティブが支給される場合もあります。

このケースでは、各自の頑張りや努力によって組織全体に報酬が与えられるため、メンバーのモチベーションアップに繋がるだけではなくチームビルディングにも大きく役立ちます。そのため、個人・組織ごとにインセンティブ制度を設ける工夫が必要な場合もあります。

一方、日系企業と外資系企業のインセンティブ制度を比較すると、外資系企業のほうがインセンティブの機会が多く得られると言われています。外資系企業は結果主義なところが多く、実績や成果を残せば報酬やインセンティブに大きく跳ね返ってくるのが一般的です。インセンティブ次第では、役職のついていない従業員でも、課長や部長クラスと同程度の収入が得られることもあり、それを魅力に感じる方もいるでしょう。


ただし個人のモチベーションは、必ずしも金銭的な報酬をもらうことだけでアップするわけではありません。なかには、優れた成果や実績を上げて昇進することや、より重要なポストに就くこと、専門的な仕事を任されることなどによってモチベーションが上がるケースも往々にしてあります。

そのため、自分が求めているインセンティブと、会社のインセンティブ制度にミスマッチがあると、「もっと重要なポストに就けると思っていたのに、金品の表彰だけで終わってしまった」「金銭的な報酬が欲しかったのに、なぜか昇進してしまった」ということにもなりかねません。

このように、モチベーションアップの理由や条件は人によって大きく異なるため、具体的にどのような制度・条件になっているのかをしっかりと確認することが重要です。

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インセンティブの種類


では、ここからはインセンティブの種類について詳しくチェックしていきましょう。
先述したようにインセンティブには、

・金銭
・評価
・物品、サービス

といったものがあります。

金銭

インセンティブの中でも、最も代表的なものが「金銭」です。たとえば、営業職の場合、契約件数に応じてインセンティブがもらえるケースがあります。具体的には、「1件あたり〇〇円が給与に上乗せされて支給」「〇件以上を受注したら〇〇円を支給」「売り上げた金額の〇%を支給」といったパターンがあります。件数や売上金額に比例するインセンティブの場合、社員は短期的な目標を設定しやすいというメリットがあります。

こうした金銭を支給されるタイミングは、企業によっても異なりますが、主に

・給与に上乗せして支給されるパターン
・賞与など、ある一定のタイミングに合わせて支給されるパターン

の2つが多いようです。

一方で、会社の業績に応じて、特定の役職や立場の社員にインセンティブが支給されるケースもあります。例としては、「ストックオプション」があります。ストックオプションとは、株式会社の従業員や役員が自社株を事前に定めた価格で取得できる権利のこと。株価が上昇している際には、事前に決めた価格と市場での現在価格に大きな差が出る場合がありますが、その際にストックオプションの権利を行使する(会社の株式を権利行使価格で取得し、その後に時価で株式を売却する)ことで、その差を利益として得ることができます。それが、実質上のインセンティブとなり、従業員や役員のモチベーション向上や優秀な人材確保につながるというわけです。

もともとストックオプション制度はアメリカで始まったものですが、2020年現在、日系企業でもストックオプションを導入する企業は約4割にのぼり、国内でも一般的になりつつあります。

評価

金銭以外の例として多いのは、「評価」によるインセンティブです。こちらは、金銭の支給を伴わず、「社長賞」「会長賞」といったような社内表彰によって成果や業績をたたえたり、昇進という形で実績を称えたりするものになります。評価のインセンティブでは、承認されているという感覚や達成感が、モチベーションを高めることに繋がります。ただし、こうした評価によるものをインセンティブとは呼ばない会社もあるようです。

物品・サービス

インセンティブにおいて、「物品やサービスが与えられるのはあまりイメージがわかない」という方もいるかもしれません。この物品やサービスが与えられる制度は、一定の成果や基準を満たしたチームまたは個人に対して景品や旅行などが贈られるものです。また、さらなるスキル向上を目指して研修やセミナーがプレゼントされる場合もあります。

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歩合制やボーナスとの違い


ここまで、インセンティブ制度について詳しく解説してきましたが、「歩合制やボーナスとは何が違うのか?」と疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは、インセンティブ制度と同様によく聞かれる「歩合制」と「ボーナス」の概要と、インセンティブとの違いについて解説してきます。

歩合制とは?

一般的な給与制度は、「固定給」「歩合制」「固定給+歩合制」の3ケースに分けられます。そのなかで歩合制は、成果や業績に対して給与が支払われるというものとなります。完全に歩合制で支払われる場合もあれば、固定給に上乗せされる形で歩合が支給されるケースもあるようです。

固定給にプラスして支払われる歩合制は、成果に対する報酬を与えてモチベーションを高めるという意味で、上記で解説したインセンティブとほとんど同義語です。しかし、給与自体が歩合の場合には、動機付けやモチベーションアップという意味だけでなく、労働への対価という意味も含まれます。

ボーナスとは?

ボーナスとは、会社の業績に応じて支払われる臨時給与のこと。会社によっても金額や支給回数が異なりますが、年に2回支給されることが一般的です。またボーナスはどの会社でも必ずあるというわけではなく、ボーナス制度そのものが無い会社もあります。

ボーナスは、毎回一定ではなく、特定期間の成果や業績、評価に応じて内容が変動します。変動するボーナスは、社員のモチベーションアップにも一役買っていますので、インセンティブとしての効果も期待できます。ただし、ほとんどの企業では、ボーナスは会社の業績に応じて、インセンティブは個人やチームの業績に応じて、区別して支払われることが多いようです。


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インセンティブ制度のある企業で働くメリット


では、インセンティブ制度のある企業で働くメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

インセンティブ制度のメリットとして挙げられるのは、

・年収アップが期待できる
・仕事へのモチベーションアップに繋がる
・切磋琢磨できる環境がある

の3点です。

それぞれ見ていきましょう。

年収アップが期待できる

インセンティブは、成果や業績に応じて報酬がもらえる制度のため、役職に関係なくすべての社員にチャンスがあります。そのため、入社から日の浅い社員であっても、成果を出すことによって年収を大きくアップさせることが可能です。インセンティブがある企業の場合には、同業種や同職種でインセンティブのない企業に勤めている場合に比べ、年収を高めていきやすく、「年収を上げることにフォーカスしたい」「インセンティブが貰えることが、自分の何よりのモチベーションになる」という方には最適な仕組みと言えるでしょう。

仕事へのモチベーションアップに繋がる

「仕事における実績を評価してもらいたい」「仕事での頑張りを何かしらの形で報酬として貰いたい」という場合、インセンティブは仕事へのモチベーションを上げる大きな動機付けとなります。インセンティブによって仕事へのモチベーションが高まり、さらに良い成果や実績を出せるようになることは、個人にとっても、組織にとっても大きなメリットです。

切磋琢磨できる環境がある

目に見える形で評価される制度があるということは、社内に「切磋琢磨できる環境がある」とも言い換えられます。たとえば、チームや組織全体で一つの目標に向かって努力することは、チームビルディングの面でも非常に効果があります。具体的には、「チームで切磋琢磨し合う→業績目標が達成できる→インセンティブが得られる→モチベーションがアップする→さらに良いパフォーマンスができる」という好循環を生み出すことができるため、会社全体はもちろん、お客様にも良い影響を与えることができるでしょう。

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インセンティブ制度のある企業で働くデメリット


このようにメリットが大きいように見えるインセンティブ制度ですが、デメリットには何があるのでしょうか。

インセンティブ制度のデメリットとして挙げられるのは、

・収入が安定しない年もある
・インセンティブが受け取れないとモチベーションがダウンする
・インセンティブが“自分の意図しないもの”となっている場合もある

の3点です。

一つずつ説明していきます。

収入が安定しない年もある

インセンティブとは、業績や評価に応じて与えられるものです。そのため当然ではありますが、結果が出なければインセンティブが貰えることはありません。評価によりインセンティブ額が変わってしまうため、「予定していたよりも年収が下がってしまった」「思っていた以上に稼げなかった」など、収入が安定しない点はデメリットと言えるでしょう。

インセンティブが受け取れない年が続くとモチベーションがダウンする

先述した通り、インセンティブでは「必ず受け取れる」という保証はありません。なかには、「こんなに頑張っているのにまったく結果が出ない」「努力し続けているのになかなか成約に繋がらない」ということもあるでしょう。そういった時期が続いてしまうと、インセンティブが受け取れず、モチベーションも上がらない、という悪循環に陥る可能性もあります。なかには、「同僚が多額のインセンティブを受け取っていることを知って落ち込む」「チーム内の競争が激しくなり、業績を奪い合うようになる」といったケースもあるようです。このように、インセンティブがあることが、かえってプレッシャーになる場合があることも知っておきましょう。

インセンティブが「自分の意図しないもの」となっている場合もある

インセンティブと一言でまとめても、その内容は金銭・昇給・サービス・物品など、さまざまなものがあります。そのため、金銭や昇給といった対価を期待されている方が、インセンティブに「セミナー受講のチケット」「旅行」などを貰った場合には、必ずしもモチベーションアップに繋がらないケースもあるでしょう。それどころか、「こんなに結果を出したのに、国内旅行だけか…」といったように、かえってモチベーションダウンになりかねません。

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インセンティブ制度を積極的に導入している業種


営業活動を積極的に展開している業種は、インセンティブ制度を導入している場合が多いです。ここでは、インセンティブ制度を積極的に導入している業種について紹介します。
紹介する業種は以下の5つです。

・不動産業界
・金融業界
・医療機器メーカー
・自動車販売会社
・IFA

それぞれについて詳しくみていきましょう。

・不動産業界

不動産業界は、住宅やビルなどの高額な商品を取り扱っているため、売上金額に応じたインセンティブが社員のモチベーション向上に大きく寄与しています。
企業側も、社員の営業成果が直接的に利益に繋がるという点で、この制度を積極的に採用しています。結果として、企業と従業員双方にとって、インセンティブ制度は大きなメリットを持つ制度となっています。

・金融業界

金融業界は、保険から銀行、証券まで幅広いサービスを提供しており、それぞれの分野でインセンティブ制度が導入されています。
特に外資系の金融機関では、成果主義が非常に強く、報酬の大部分がインセンティブとして支払われることが一般的です。

・医療機器メーカー

インセンティブ制度を採用している業界として挙げられます。医療機器は非常に高価な商品であり、成功報酬としてのインセンティブも相応に高額です。
営業担当者は医療機関への訪問を通じて、製品の特長や利点をアピールし、その成果が報酬に反映されるのが一般的です。

・自動車販売会社

インセンティブ制度の導入が進んでいます。自動車は高価な商品であるため、売上実績に対する報酬は非常に高くなります。
特にキャンペーン期間中には、目標達成に応じて通常よりも高額なインセンティブが支払われることが特徴です。

・IFA

IFAは主に資産運用のアドバイスを行う業務を持っており、顧客からの預かり資産や株式の売買手数料がインセンティブとして報酬に組み込まれています。
証券会社からの転職者が多いこの業界では、固定給の取り扱いが少なく、インセンティブを主体とした報酬体系が一般的です。

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インセンティブ制度に向いている方・向いていない方


ここまでの特徴を踏まえると、インセンティブ制度は、

・実績や成果を目に見える形で評価してもらいたい方
・役職や経験年数に関わらず、年収を大きく高めるチャンスを得たい方
・評価を貰えることで、モチベーションがアップする方

といった方に向いていると言えます。

一方で、「毎月の収入を安定的に保ちたい」「社内の競争に巻き込まれたくない」「成果と報酬が連動することに抵抗がある」といった方にはインセンティブ制度は不向きです。

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自身の仕事の価値観を整理しておくことも大切


インセンティブ制度は、役職や経験年数に関わらず、成果に応じた報酬が受け取れる非常に魅力的な制度です。それゆえに、「インセンティブ制度あり」と聞くと、その条件に飛びついてしまう方も少なくありません。ただし、上記にも記載した通りインセンティブ制度には向き・不向きがあります。

インセンティブを重視した働き方をしたい方は問題ありませんが、「会社の理念やビジョンへの共感」「専門性を高めること」なども大切にしたい方にとっては、インセンティブ制度の有無だけで会社選びをしてしまうと、後々自分の首を絞めてしまう可能性も否定できません。そのため、企業選びをする際には、自分が仕事において何を重視したいのか、という価値観を整理しておくことが大切です。

また、インセンティブにこだわる場合には、自分が理想とする働き方に対してインセンティブがどう影響するのかを確認し、制度に納得した上でチャレンジするようにしましょう。

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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

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