エコノミストへの転職は未経験でも可能？転職市場動向や最新求人を解説

日本や外国の経済や金融市場について調査・分析を行い、将来予測や政策提言を導き出す専門家であるエコノミスト。

本記事では、エコノミストの転職市場動向や主な転職先候補、経験・スキル・マインド・資格をJAC Recruitment（以下、JAC）が解説いたします。

エコノミストの転職市場動向

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ここでは、エコノミストの転職市場動向について、下記2つの観点から解説します。

高度な経済分析需要は高く、エコノミスト求人は安定して存在

不確実性が高まる現代において、企業や金融機関が持続的な成長を遂げるためには、マクロ経済の動向を正確に読み解き、自社の事業戦略に的確に反映させることが不可欠です。そのため、エコノミストによる質の高い経済分析や予測に対する需要は、常に安定して存在します。

特に大手金融機関、シンクタンク、商社、そしてグローバル企業の経営企画部門では、マクロ経済や金融政策、貿易動向の予測分析が経営判断や投資判断における必須情報になりつつあり、一定以上の専門性をもつエコノミストに対する採用ニーズは底堅く推移しています。また、中央銀行の動向予測やインフレ見通し、原材料価格と為替の相関といったデータを正確に読み解く力は、金融機関に限らずほかの業界でも重宝されています。加えて、近年の国際経済の複雑化により、通貨政策や地政学リスクの影響分析といった多様な知見が求められる傾向も強まっており、エコノミストに期待される役割はより拡張しています。

このような背景から、専門性の高いエコノミストは、景気の波に左右されにくい安定した需要があり、今後も需要の拡大が続くことが見込まれます。

ビッグデータ分析に適応できるエコノミストの採用ニーズが強い

近年、POSデータ、クレジットカードの決済情報、人工衛星から得られる画像データなど、「オルタナティブデータ」と呼ばれるデータ活用が急速に進んでいます。このような社会変化にともない、膨大なビッグデータを効率的に処理・分析できる能力の重要性・必要性は、より高まっています。

採用においても、統計学や計量経済学の高度な専門知識を基盤としながら、PythonやRなどのプログラミング言語を駆使して、独自の計量モデルを構築・分析できる、データサイエンティストに近い素養が評価の対象になるケースも少なくありません。加えて、採用選考では、データから導き出した示唆をビジネスサイドに対して平易に伝える「分析結果の活用力」も欠かせない資質として見極められます。

従来のアナログな分析手法にとどまらず、最新のデータ分析技術に適応し、より多角的で精緻なインサイトを導き出せるスキルを有していると、採用選考で優遇される可能性が高まるでしょう。

エコノミストが求められる主な転職先候補

本章では、エコノミストが求められる、次の3つの転職先候補について解説します。

シンクタンク

シンクタンクは、さまざまな分野の専門家が集まり、社会・経済に関する調査・研究を行い、その成果を政策提言やレポートとして発表する組織です。民間企業や政府機関からの委託研究も多く、中立的かつ客観的な立場から社会が抱える課題に対する解決策を提示することを使命とします。

エコノミストは、その中核メンバーとして、国内外のマクロ経済動向、特定の産業分野の分析、あるいは政府の財政・金融政策に関する調査・研究を担います。

知的好奇心に基づき、純粋な経済分析を追求したい、あるいは自身の研究を通じて社会に貢献したいと考える方にとって、魅力的なフィールドといえるでしょう。

アセットマネジメント・証券会社・銀行など

金融機関も、多くのエコノミストが活躍する領域の一つです。アセットマネジメント会社や証券会社、銀行などの調査部門に所属し、金利、為替、株価といった金融市場の動向や国内外の経済情勢を分析・予測します。エコノミストが分析した結果は、自社のファンドマネージャーやトレーダーの投資判断の材料となるだけでなく、レポートとして機関投資家や個人投資家などにも提供されることがあります。

金融機関では、経済トレンドをわかりやすく伝えるスキルと、営業部門やリスク管理部門との協働を通じた成果創出能力が重視されます。自身の分析が実際の投資行動につながるという、市場の動きとダイレクトに連動した緊張感とスピード感に面白さを感じる方にとって、やりがいや成長を感じられる領域です。

大学・官公庁・政府系研究機関

エコノミストとしてのキャリアには、アカデミックな道を追求する選択肢もあります。大学教員として、自身の専門分野の研究活動を深めると同時に、次世代の研究者やエコノミストを育成する役割を担うキャリアが例として挙げられます。また、内閣府や財務省、金融庁などの官公庁、あるいは日本銀行のような政府系機関で国家の経済政策の立案・分析に関与する道もあります。いずれも、地域振興や労働市場分析、社会保障制度の構築など、多様な分野における知的貢献が期待されます。

これらの組織では、経済統計の分析や経済モデルを用いた政策シミュレーションなどを通じて、国民生活に大きな影響を与える意思決定を支えます。極めて公共性が高く、社会貢献を実感できる領域であり、研究活動を中心にキャリアを構築したい方には適した環境といえるでしょう。

エコノミストの最新転職・求人情報

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類似職種であるアナリストと比較して、マクロ経済全体を対象とするエコノミストの求人数は、絶対数として少ない傾向にあります。また、金融機関の調査部門のコアメンバーやシンクタンクの幹部候補など重要なポジションが多いため、企業の経営戦略上の理由から求人情報を一般に公開せずに採用が進められるケースも少なくありません。多くの場合、転職エージェントなどを通じて、特定の転職希望者だけに求人情報が開示されます。

さらに、採用企業のニーズは高度化しており、統計解析ソフトやプログラミング言語への理解は必須要件となる場合もあります。具体的には、R、STATA、SAS、SPSSなどの統計解析ソフトウェアやプログラミング言語を用いた計量分析の実務経験、あるいはDSGEモデルなどの知識が求められており、マクロ経済モデルを自ら構築・運用できる実務力が重視されています。

このような潮流は、データドリブンなアプローチが主流となりつつあることの表れであり、エコノミストにもデータサイエンティストに類似する素養が求められる時代になっていることを示唆しています。

エコノミスト転職では、転職市場が競争的な状況であることを踏まえ、自身の専門性を明確にしつつ、過去の予測モデル構築経験や統計ソフトを活用したレポート実績を整理し、即戦力として貢献できることをアピールできるよう、事前準備を徹底しておくことが大切です。

ここからは、JACが取り扱う求人を見るとエコノミストの最新求人・転職情報を紹介します。

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未経験からエコノミストに転職できるのか

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まったくの未経験者がエコノミストとして転職することは、難易度が高いといわれています。その理由として、エコノミストという職種が高度な経済学的知見と統計・数理的な分析スキルを有していることを前提とした専門職だからです。

実際にエコノミストの多くが、大学院の修士課程、あるいは博士課程において、マクロ経済学、ミクロ経済学、そして計量経済学などの分野を専門的に修めたアカデミックなバックグラウンドを持っています。また現場では、マクロ経済理論や計量経済学、統計解析ソフトウェアの運用経験が求められる場面が多いため、採用する企業や研究機関側も高度な専門知識や実務経験を有していることを前提としています。

ただし、エコノミストの業務と親和性の高い分析業務に関連する実務経験があれば、段階的にキャリアチェンジを図ることは可能です。例えば、アナリストとして特定の産業や個別企業の分析に長年従事してきた方や、総合商社の調査部門で海外の経済・政治情勢のリサーチを担当してきた方、あるいは経済専門の報道機関で記者としてマクロ経済の動向を取材・分析してきた方などは、実務経験を生かしてエコノミストへのキャリアチェンジを果たすケースもあります。また、金融機関やシンクタンクなどのリサーチ補佐業務からキャリアをスタートさせる方法もあり、補佐ポジションから実績を積み上げ、将来的にエコノミストを目指すルートも存在します。

エコノミストへの転職で求められる経験・スキル・マインド・資格

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ここでは、エコノミストへの転職で求められる、次の4つの素質について解説しています。

マクロ経済の調査・分析・レポート作成経験

エコノミストへの転職では、マクロ経済の調査・分析・レポート作成など、エコノミストとしての実務経験が求められます。国内外のGDP、物価、雇用統計といった経済指標を収集・分析した後、経済モデルを用いて将来の動向を予測し、その結果を論理的かつわかりやすくレポートにまとめるという、一連の業務を遂行した経験は、即戦力として高く評価されます。特に、定量的な分析に基づいたレポートを作成し、社内外の意思決定支援を担ってきた実績は、即戦力として活躍できる証左となるでしょう。

また、金融政策の変更や地政学リスクの発生など、特定の事象が経済全体に与える影響について独自の分析やインサイトを示した実績があれば、ほかの候補者との差別化要因になることがあります。

高度な研究分析力・データ処理能力

エコノミストは、膨大なデータを迅速かつ的確に処理する作業も担うことがあるため、経済指標や統計データを正確に前処理し、因果関係やトレンドを分析する能力も不可欠です。具体的には、RやPythonなどのプログラミングスキルのほか、STATAやSASなどの統計解析ツールを自在に扱えることが必須となります。

特に、研究分析能力に関しては、複雑なデータから相関関係や因果関係を見つけ出し、経済現象の背後にある本質的なメカニズムを解き明かすことができるレベルが求められており、経済とテクノロジー双方に関する知見も欠かせません。

経済動向への好奇心や探究心

エコノミストには、日々変化する世界経済や政策、社会構造に対して常にアンテナを張り続け、仮説を立て、検証を繰り返す探求心と継続的な知的好奇心が不可欠です。

どれほど優れた分析スキルや高度な専門知識を有していたとしても、純粋な知的好奇心と一度疑問に思ったら徹底的に調べないと気が済まないという探究心を持ち合わせていなければ、エコノミストとして真に活躍することは難しいでしょう。

エコノミストとして長期的に活躍するには、好奇心や探究心が必須であり、経済動向を主体的に捉える姿勢がキャリア形成の土台となります。

MBA（経済学修士）や博士の学位取得

エコノミストに就くにあたって、必須となる資格はありません。しかしエコノミストには高度な専門性が求められることから、転職希望者には大学院レベルの学術的な知識が求められる傾向があります。

特に、大学院修士やMBA、PhDレベルの学位は、業務遂行に必要なマクロ経済学や計量経済学などの専門知識を備えていることの客観的な証明となるため、応募先企業が求める能力と関連づけてアピールしましょう。なかでも、海外の名門大学の学位は、語学力やグローバルな環境に適応できる柔軟性を持ち合わせている旨の証左になり、採用選考で高く評価されることがあります。

エコノミストへ転職した場合の年収相場

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厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」の統計データ（2025年6月29日参照）によると、エコノミストの平均年収は約750.5万円とされており、ほかの専門職と比較して高い水準にあります。ただし、本数値はあくまでも全体の平均値であり、所属する組織や個人の経験・実績によって、年収額は大きく変動します。

証券会社やアセットマネジメント会社などの大手金融機関や大手総合系シンクタンクにおけるエコノミストの年収は、1,000万円〜1,500万円程度が相場となります。特に、外資系金融機関では、成果主義の報酬体系を採用していることが多く、より高い収入が得られることもあります。

一方、大学や官公庁、政府系機関などにおけるエコノミストの年収水準は、民間企業と比較するとやや低めになるケースが大半です。しかし、雇用の安定性や社会貢献実感など、金銭面以外の報酬を得られる可能性が期待できます。

参照： job tag（厚生労働省職業情報提供サイト）「エコノミスト 就業者統計データ－賃金（年収）」（参照：2025年6月29日）

エコノミスト転職後のキャリアパス

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本章では、エコノミストから描ける次の3つのキャリアパスについて解説します。

マネージャー・ディレクター職への昇進

エコノミストに転職した後のキャリアとして、所属する組織の調査部門内で専門性を深めながらキャリアアップする道が挙げられ、経験と成果を積み重ねながら、数名のチームを率いるマネージャー、そして部門全体を統括するディレクターへの昇進を目指します。

マネージャー・ディレクター職では、リサーチチームを統括し、戦略的な分析テーマの策定、部下の指導、経営層への定期報告などの上流工程を担います。そのため、個人のリサーチ力に加え、部門全体の成果をマネジメントする能力も求められるようになります。

事業戦略部門や経営幹部

エコノミストに転職した後、一定の経験を経て、金融機関や事業会社の事業戦略部門や経営企画部門へとキャリアチェンジし、自社の事業の舵取りに直接関与する道も拓かれます。経済動向や政策変動の影響を見極めながら、自社のポジショニングを的確に判断する力は経営層が強く求める能力であり、特にM&Aの対象となる市場の将来性評価や新規事業の経済的な実現可能性の分析といった場面で、その専門性が重宝されるでしょう。

さらに、分析スキルを戦略構築に転化するスキルに長けている場合、企業の財務戦略全体を統括するCFO（最高財務責任者）など経営幹部候補としての期待も高まります。

独立してコンサルタントや顧問業務に携わる

エコノミストとしての経験を積み、一定の専門領域で知見や実績を確立した後は、独立してコンサルタントや社外アドバイザーとして活動するキャリアもあります。

例えば、フリーランスのエコノミストとして、複数のメディアに経済解説を寄稿したり、講演活動を行ったりするほか、特定の企業と顧問契約を結び、顧客企業の経営陣に対して経済動向に関する専門的なアドバイスを提供する働き方などが考えられます。

独立には一定のリスクがともなうものの、時間や場所に縛られることなく、自身の専門性を社会に還元したいと考える方にとって魅力的なキャリアといえます。

エコノミストへの転職なら、JAC Recruitment

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エコノミストへの転職は、難易度が高く、自身の経験や専門性を正確に把握することが不可欠です。このようなハイレベルな転職を成功させるためには、高度専門職の転職事情に精通した転職エージェントの活用が不可欠です。

その点、JACには、各業界のビジネスと求められる専門職の役割を深く理解した、経験豊富なコンサルタントが在籍しています。そのため、大学院で修めた専門分野やこれまでのキャリアで培ってきた分析スキル、そして論文などの研究実績を正しく評価し、その価値を最大限に生かせる企業やポジションを紹介することが可能です。特にマクロ経済、国際金融、地域経済政策などの専門領域に明るい方であれば、研究機関だけでなく事業会社や顧問ポジションも視野に入れた多様な提案を受けることができるでしょう。

また、エコノミストの求人は、その専門性の高さから、企業の経営戦略に直結する重要なポジションであることが多く、大半が一般には公開されない非公開求人として扱われます。JACは、そのような希少性の高い求人も多数取り扱っているため、これまで培ってきた経験・スキルを最大限に生かせるキャリアの提案も期待できます。

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