経験豊富なエグゼクティブ層に「ラテラルシンキング」はなぜ必要か?

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公開日:2022/07/28 / 最終更新日: 2024/01/19

常識にとらわれない新しいアイデアが求められる昨今、あなたはどのような対応をしていますか?

論理的な積み上げによる「ロジカルシンキング」や、客観的な視点で事実や仮設を検証していく「クリティカルシンキング」を活用している方は多いことでしょう。この2つは企業の人事研修でも採用されている思考法ですが、近年注目されているのが「ラテラルシンキング」です。

では、現状を打開するための全く新しいアイデアを生み出す思考法「ラテラルシンキング」について、見ていきましょう。

ラテラルシンキングとは?


ラテラルシンキングは水平思考とも呼ばれ、前提や既成概念にとらわれずに可能性を広げて答えを導き出す思考法です。そのため、新しいアイデアやユニークな発想を生み出す際に向いています。

では、ここで1つ問題です。

目の前に10個のオレンジがあります。このオレンジを3人で均等に分けてください

この問いに対して多くの人が10÷3=3.333…という計算をし、「3個ずつ分けて最後の1つを3等分する」と回答するのではないでしょうか。

ラテラルシンキングでは、前提や既成概念にとらわれずに考えるので、「目の前のオレンジをそのままの状態で均等に分ける」という前提を取り払い考えてみましょう。

  • ・オレンジをすべてジュースにして、3等分する
  • ・3等分して残った1個の種をまき、実った段階で3等分する

などが考えられます。

前者は「オレンジは個体である」、後者は「今すぐ均等に分ける」という前提を取り払い自由な発想から答えを導き出しています。ビジネスにおいても、無意識に「こうすべき」という前提から考えていないか確認しておきましょう。

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その他の思考法との違い


ラテラルシンキングは、思いもよらない発想をするために有効なことは解説した通りです。ここでは以下の思考法との違いについて解説します。

・ロジカルシンキング
・クリティカルシンキング

また、これらの思考法を組み合わせる必要性についてもご紹介します。

・ロジカルシンキングとの違い

ロジカルシンキングは「垂直思考」とも呼ばれており、現在見えている概念をベースとして、筋道を立てて合理的・論理的に考えうる結論を導き出す思考方法です。
複雑に絡み合う問題に対して、ものごとの関係性を因数分解することにより、課題への理解を深めます。そのうえで、仮説を立てて課題解決に向けて情報収集から分析、検証までを行い結論を導き出すようにアプローチします。
ロジカルシンキングが役立つシーンとしては、情報整理や問題解決を図る場合となり、問題を整理しながら、深い思考から得られる問題解決力がメリットです。
ラテラルシンキングと比べると、前提や課題が置かれている条件に着目して矛盾が発生しないような思考法だといえます。

・クリティカルシンキングとの違い

クリティカルシンキングは「批判的思考」と呼ばれており、思考プロセスすべてに対して、常に「本当にその通りか?」「間違っている箇所はないか?」と問い続けて思考していくことが特徴です。
考えうる要素を「鵜呑み」にせず、結論に至る過程から結論、問題提起自体まで、精査できることに強みがあります。
クリティカルシンキングが役立つシーンとしては、目先のことばかりではなく、最善を尽くすために思考するための基本姿勢を整えられることがメリットです。
ラテラルシンキングと比べると、問題提起から結論までを「疑う」ことによって、課題の制度を高められる思考法だといえます。

・思考法を組み合わせる必要性

ロジカルシンキング・クリティカルシンキングは、それぞれ異なったアプローチを試みる思考方法です。
そのため、活用すべきシーンには違いがあります。つまり、どれかひとつの思考法に偏るのではなく、組み合わせることによって、思考プロセスをより高めることが可能です。
たとえば、ある課題に対して、ロジカルシンキングで情報を整理して、課題への理解を深めます。
そのうえで、ラテラルシンキングのアプローチから自由に発想して、解決案の候補を複数出し、クリティカルシンキングで精査することで、思考全体の精度を高めながら、結論の正しさをより正確にしていくことが可能です。

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ラテラルシンキングの課題解決事例


ラテラルシンキングを提唱したエドワード・デ・ボノ氏自身が、ラテラルシンキングを使い、大きな課題を解決した「1984年のロス五輪」の事例をご紹介します。

ロス五輪以前のオリンピックでは、営利団体がオリンピックのスポンサーとして入ることが認められていなかったため、開催都市が費用をすべて負担することになっており、「オリンピックを開催した都市という名誉」だけがメリットでした。1976年のモントリオールオリンピックは、当時の金額にして約10億ドルもの巨額な赤字を出したことが報告されたこともあり、受け入れ側の負担が非常に大きく、開催都市に手を挙げる都市が目に見えて減っていました。

そこで、エドワード・デ・ボノ氏は講演会で「オリンピックに営利団体をスポンサーとして入れ、オリンピック開催都市が豊かになるようにしよう」と提案。結果、ロス五輪は2億ドル超の黒字で終わり、その後開催のオリンピックでは民間企業のスポンサーが入ることが主流となり、サッカーワールドカップなどほかの国際大会にも拡大したのです。

これまでの常識では考えられなかったラテラルシンキングの好例といえるでしょう。

ラテラルシンキングのメリットは、このように、常識にとらわれない柔軟な発想が得られるだけではありません。アイデアの論理性や客観的な正しさを検証する必要がなく、課題解決に直結するか否かを判断すれば良いので、結論を早期に導き出し、実行スピードを高めることができます。


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ラテラルシンキングのメリット


ここでは、ラテラルシンキングのメリットを紹介します。主なメリットは以下の4つです。

・問題解決策が多様化
・コミュニケーションの質が改善
・抽象的な問題も解決可能
・結論発見までの時間が短縮

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

・問題解決策が多様化

ラテラルシンキングを取り入れることで、問題解決のアプローチが多様化します。ラテラルシンキングは多角的な視点を持つことを重視しているので、従来の論理的なアプローチだけでは気づかなかった解決策や新しい視点が見えてきます。
例えば、新しい商品やサービスの開発の際、ラテラルシンキングを用いることで、市場にない独自のアイディアや、競合と差別化された提案が生まれる可能性が高まります。

・コミュニケーションの質が向上

組織内でのコミュニケーションの質も、ラテラルシンキングの導入によって大きく向上します。従業員同士が自由に発想を広げ、新しいアイデアや視点を共有する文化が育まれると、組織全体の創造性が高まります。
特に、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まるチームでは、この効果は一層顕著です。異なる経験や知識を持つ人々がラテラルシンキングを活用することで、予想外のアイディアが生まれることもあります。

・抽象的な問題も解決可能

複雑で抽象的な問題に対しても、ラテラルシンキングは有効です。
通常、これらの問題は論理的なアプローチだけでは解決が難しいものが多いですが、ラテラルシンキングを用いることで、問題を構成する要素を分解し、新しい角度からのアプローチが可能となります。

・結論発見までの時間が短縮

ラテラルシンキングは、直感やひらめきを大切にする思考法です。そのため、問題解決やアイデア創出のスピードが向上します。
しかし、速さだけが目的ではありません。多様な視点からのアプローチを重視することで、より質の高い結論やアイディアを生み出すことができるのです。

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ビジネスパーソンがラテラルシンキングを生かせる場面は今後増える


これまでラテラルシンキングを中心に紹介してきましたが、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングが有効ではなくなったということではありません。

むしろ、この3つの思考法を使い分けることによって、論理性が求められる場面と創造性が求められる場面の両方で的確な提案ができる人材を企業は今後強く求めるでしょう。

世界で最初にライドシェアサービスを発案したUberはスマートフォンとGPSを活用して、タクシーを利用する手間を大幅に縮小しました。Appleはボタンの無い携帯電話を目指した結果、スマートフォンを発明し携帯端末の歴史にイノベーションを起こしています。

こうしたイノベーティブなアイデアを量産することはできませんが、足元の小さな課題を解決できる場面は多くのビジネスシーンで存在しています。その小さな課題を解決し続けた経験が蓄積されることで、より大きなイノベーションを起こせる力が備わります。

経験豊富なエグゼクティブ層こそ身につけたいスキル

若手のアイデアをジャッジするエグゼクティブ層も、ラテラルシンキングを知ることは重要です。前例主義が根強く結果として大きな停滞を招いてきた日本経済において、前例や既成概念にとらわれないアイデアを採用する勇気や決断力を持ったリーダーは非常に希少価値の高い存在です。新規事業関連の中途採用では、候補者のキャリアを確認する際に、過去に失敗した経験から、どのようなことを学び、その後のキャリアに活かしたかをチェックする企業も少なくありません。

不透明な環境下だからといって失敗を恐れ、前例に固執し、新しいアイデアに批判的な意見を述べるだけでは、状況は打開できません。むしろ後退するかもしれません。ラテラルシンキングから小さな課題解決につながるアイデアが自由に飛び交うような場にマネージメントすることは、次世代のエグゼクティブ層に必要なスキルになっていくでしょう。

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ラテラルシンキングを鍛えるコツ


ここからは、ラテラルシンキングを鍛えるコツを紹介します。
日々の生活のなかで意識的にトレーニングすることで、ラテラルシンキングの能力が鍛えられます。

以下に、ラテラルシンキングを鍛えるためのコツを3つ紹介します。

・複数の視点から捉えて考える
・意識的に考え方を変えてみる
・日常的な活用を意識する

それぞれについて詳しくみていきましょう。

・複数の視点から捉えて考える

ラテラルシンキングの根本にあるのは多面的な視点からの思考です。ラテラルシンキングは、問題や事象を単一の視点からではなく、多様な視点から評価することが重要です。
私たちが日常的に持っている視点は、それぞれの経験に基づいています。その視点だけで物事を考えると、視野が狭くなってしまいがちです。
しかし、自由な発想や新しい視点を持つことができれば、より多くの新しい問題解決策を導き出すことが可能になります。

・意識的に考え方を変えてみる

次に、日常の思考ルーチンを意識的に変えてみることが大切です。人は無意識のうちに、過去の経験や学びに基づくパターンで物事をよく考えています。
しかし、ラテラルシンキングの真髄は、常識や慣例を捨てて、異なる視点や方法で物事を考えることにあります。
たとえば、問題解決の際、統計や新しいデータだけに依存するのではなく、直感に頼ることで、未知の発見やアプローチが見えてくるかもしれません。
また、抽象的な概念や情報を加えて考えることで、新しいアイデアや解決策を発見できます。

・日常的な活用を意識する

ラテラルシンキングを身につけるためには、それを日常生活のなかで意識的に取り入れ、実践することが前提です。たとえば、日常のルーチンや習慣を見直し、新しい方法を取り入れてみるだけでも、思考の柔軟性は飛躍的に向上します。
家族や友人との会話や対応でも、通常の対応方法を変えてみることで、新しい発見が得られるかもしれません。また、「偶発的観察力」という言葉が示すように、日常のなかで偶然の発見と驚きを大切にし、それを活かす姿勢を持つことで、ラテラルシンキングの能力がさらに鍛えられます。

まとめとして、ラテラルシンキングは、新しい視点や考え方を持つことで、従来の発想を超えたアイデアや解決策を生み出す技術です。この技術を日常生活やビジネスのなかで活用することで、さまざまな問題に対して、新しい解決策を見つけられます。

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ご自身では想像もつかないキャリアパスをご提案


これまでのキャリア・ご自身の志向性・人柄などを組み合わせて、キャリアチェンジを成功させる方は数多くいらっしゃいます。

一方で、ご自身で考えているだけではこれまでの枠を超えた新しいキャリアパスを発想することは難しいものです。業界と市場動向に精通し、多くのビジネスパーソンの転職を支援してきたプロのコンサルタントに相談することで、あなたにとってベストなキャリアパスを発見できる可能性も高まります。

実際にご相談いただき、異業界転職をされ年収アップに成功された事例をご紹介します。

現職のスキルが高評価、40代での異業界転職で年収アップ

T.T.さん
(男性/40代)

業 種
半導体メーカー
電機メーカー
職種
開発・FAE
購買戦略
年 収
950万円
1,100万円

自分では考えもしない企業、異なった角度からの求人紹介

これまで半導体メーカーでFAEとして勤めてきたので、どの転職エージェントからも半導体メーカーの求人を紹介されました。しかし、JACからはある電機メーカーの購買戦略のポジションを紹介してもらいました。

コンサルタントの方からは「半導体の部品選定に課題があり、半導体メーカーでの知見と回路設計の経験を活かせます」というアドバイスをいただきました。異業界で本当に自身の経験が活きるのか、正直なところ当初は不安でした。しかし、企業の課題や内部の体制など、求人票には記載されていない詳細な情報を伺い、自分の経験が活かせることが具体的にイメージすることができました。

コンサルタントの目線:現職の競合でないと年収が上がらないわけではない

今回は現職のお客様先の業界への転職で年収アップを実現されました。必ずしも同業界の競合転職でないと年収アップしないというわけではありません。昨今の製造業では、半導体の供給不足や次世代半導体の台頭から、半導体業界のプロを購買組織に置くケースが増えております。もちろん開発やFAEに強いこだわりを持つ方にはお勧めしませんが、自身のこれまでのエンジニアとしての知見を活かして、戦略・企画系職種だけでなく、購買や営業職など幅広いポジションをご提案することも可能です。

※事実をもとにしておりますが、プライバシー保護のため、個人が特定されないように内容を一部変更しています。

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上記の転職例は、製造業界での成功例ですが、JACには各業界職種に特化した140の専門チームがあり、専任コンサルタントがあなたの転職をサポートいたします。

まずはご自身のキャリアを棚卸し、現在の市場環境や人材ニーズを把握するところから転職活動はスタートします。具体的な退職時期が決まっていない方や情報収集中の方もお気軽にご相談ください。

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ラテラルシンキングを養う問題例


ラテラルシンキングには、さまざまな定番問題があります。皆様も同僚やプロジェクトチームのアイスブレイクに使ってみてはいかがでしょうか。

問題1.
ある夫婦の間に、同年同月同日同時刻に生まれた二人の息子がいた。しかし彼らは双子ではない。なぜか。

問題2. 
あるビルの10階に住んでいる男性がいる。彼は外出する際にエレベーターで1階まで降りる。しかし、帰りはエレベーターで7階まで行き、階段を上って10階の自分の部屋に着く。彼は歩くのが嫌いなのに、なぜそうするのだろうか?

回答例
問題1.の回答例 
彼らは双子ではなく三つ子であるため。

問題2.の回答例 
この男性は背が低いので(または幼い子供なので)、エレベーター内の1階のボタンは押せるが、10階のボタンが押せないため。


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この記事の筆者

株式会社JAC Recruitment 編集部

株式会社JAC Recruitment

 編集部 


当サイトを運営する、JACの編集部です。 日々、採用企業とコミュニケーションを取っているJACのコンサルタントや、最新の転職市場を分析しているJACのアナリストなどにインタビューし、皆様がキャリアを描く際に、また転職の際に役立つ情報をお届けしています。




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