
国内最大規模の外資系総合広告会社マッキャンエリクソンをはじめとする専門コミュニケーション会社を傘下に持つ「マッキャン・ワールドグループ ホールディングス」。マッキャンエリクソンは、世界120カ国に310のオフィスを構えるグローバル・メガ・エージェンシーの日本法人として設立され、以来50年以上にわたって成長を続けてきました。その“元気”の源泉について、これまで日系、外資系企業で人事としてのキャリアを重ね、現在、人事部門で活躍する永﨑氏にお話を伺いました。豊富な経験に基づいたお話から、同社のリアルな姿が浮き彫りになります。
これまでにも私は人材に対して異なる考えを持つ日系、外資系の両企業を経験してきましたが、今の会社、マッキャンエリクソンは“人事として本来あるべき姿”のヒントを私に与えてくれました。
私のキャリアは日系企業からスタートしました。そこで10年間人事の基礎を叩き込まれ、その後、外資系企業へ転職しました。理由は外資系企業の人事の役割や価値観を経験したかったからです。
転職先の外資系企業は日系企業とまったく異なっていました。社員は個人プレイヤーで完全実力主義。人事の役割も人材育成よりは、即戦力人材の採用と放出に重きが置かれがちでした。両社とも一長一短ありますが、これらの経験から「結局、人事で会社に影響を与える貢献はできないのでは?」と限界を感じ、“いったい人事のあるべき姿とはなんなのだろう”と考えるようになりました。その後、1社経て現在の外資系広告会社であるマッキャンエリクソンへ入社しました。
入って驚いたのは、人事を人事未経験者で運営していたことでした。人事は専門的な仕事だから経験者にしかできないという私の先入観を見事に覆してくれました。しかもその成果が素晴らしい。経験がない分、純粋に本質を追及した結果なのだと思います。そこで私も気付いたのです。人事という枠にこだわっているから、役割に限界を感じるのだと。それまでルールを作って、それを管理する(守らせる)ことが人事の仕事だと考えていました。しかもそれがうまくいかない時は、ルールを読まない、守らない社員が悪いんだとも思っていました、最悪ですね(苦笑)。
でも今の会社で働くうちに、「大切なのは会社と社員のためになることを実現すること。ルールはその手段にすぎず、ルール厳守は目的ではない。」ことを学びました。同時に、その目的は人事だけでは達成できず、他部署とのコラボしたルール作りや活動が必須なことにも気付きました。結果、私の中での“限界”は消え、逆に“無限の可能性”を感じられるようになりました。
もうひとつの学びは「理屈で人の心は動かない」ことです。広告会社の仕事はクライアントの商品やサービスを消費者が「欲しくてたまらない」と渇望させることです。どんなにかっこいいテレビCMを作っても、消費者がその商品を購入しなければ失格です。そういうことを仕事で日々考えている社員と接するうちに「人が理屈を理解することと、実際に行動を起こす(心を動かす)ことはまったく別物だ」と知りました。
難しい文章と理屈を振りかざし、社員を強制的に従わせようとしていた自分に冷や汗が出ました。それ以来、人事制度やルールを単体で作るのではなく、他のイベントとくっつけてみたり、複雑な内容をいかに簡単にそして面白く見せるかといった工夫をしています。また社員を笑顔にするために、社内でのお笑いゲリラライブやコスプレで業務をするコスプレデー、社員の子供を会社に招待するキッズデーなどいろいろやっています。
現在、社長と一丸となって更なる会社の変革(Transformation)に取り組んでいます。変革には痛みも伴いますが、社員間の絆を強め、同時に実力主義を定着させることに全力を注いでいます。
ファミリーメンター制度の導入もそのひとつです。これはコーチングスキルを独自に発展させたもので、社内で世代の違う5人を集めて家族に見立て、自由に話す場をもつものです。お父さんには相談できないけど、お母さんには相談できるとか、家族がいるだけでホッとすることなど、家族にはそういうのがあるじゃないですか。そういう信頼できる小さなコミュニティを作り、絆を根付かせたかったのです。絆作りと実力主義は矛盾してみえるかもしれませんが、我々の会社だったらそれが実現できると信じています。
私の最終目標は、社員と会社がともに成長できる仕組みをつくることです。どんなときにでも社員みんなが会社を大好きで、仕事はワクワクし、会社も成長をする、そんな会社にすることです。その実現には皆が自分の枠を超えられるかがカギだと思っています。サッカーでキーパーがシュートしたり、FWが守備をすることに似てますね。要はポジションが大切なのではなく、チームの勝利が大切と皆が認識していることだと思います。
最近「永﨑さんって人事っぽくないね」とよく言われますが、今の私にとって実はそれが最高のほめ言葉なんですよ。
クリエイティブな仕事は、クリエイティブな環境があってこそ生まれるものです。マッキャン・ワールドグループ ホールディングスにDNAとして刻まれているクリエイティビティは、管理部門も例外ではありませんでした。外資系企業ならではの実力主義に、日本的な“絆”を採り入れたクリエイティブな職場環境。同社の強さ、そして元気の源泉は、ここにあるのかもしれません。
| 社名 | 株式会社マッキャン・ワールドグループ ホールディングス |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都港区南青山1-1-1 |
| 設立 | 1960年12月16日 |
| 資本金 | 4億9,738万円 |
| 代表者 | 代表取締役社長&CEO マイケル マクラレン |
| 従業員数 | 65名 (連結571名)※2011年5月1日現在 |
| 事業内容 | 広告主等に対しマーケティング・コミュニケーションサービス全般の提供を行う子会社の経営管理等 |