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ヘルスケア部門分社化で加速するイノベーション
世界の医療機器ビッグ3、シーメンスヘルスケアの次なる展開

シーメンスヘルスケア株式会社

※このインタビューは2016年4月に実施しました。なお、所属・肩書は当時のものとなります。
  • JAC Recruitment

    代表取締役社長
    松園 健
  • シーメンスヘルスケア株式会社

    代表取締役社長兼CEO
    森 秀顕 氏

1847年ドイツで創業、日本でも120年以上の歴史があるシーメンス。重電メーカー世界第2位という規模を誇りエネルギーやインフラ事業など世界200カ国以上で事業展開をしています。その中でもMRIや画像診断機器で業界をリードし続けるヘルスケア部門が2015年10月に独立。今回は初代代表取締役社長に就任した森秀顕氏にJAC Recruitment 代表取締役社長の松園健がインタビュー。ヘルスケア事業独立の背景や、業界の動向、求めている人材などをお聞きしました。

ヘルスケア分社化の背景

写真:森 秀顕 氏
シーメンスヘルスケア
株式会社
代表取締役社長兼CEO
森 秀顕 氏

松 園: まずお聞きしたいのが2015年10月にシーメンス・ジャパンが2つに分社化した組織再編についてです。やはり好調なヘルスケアのさらなる強化という目的があったのでしょうか。

森氏: グローバル分社化には2つの意図がありました。シーメンスはコングロマリットとして、ヘルスケア以外にも製造業の効率化支援をはじめ、火力発電や風力発電、スマートグリッド、そして鉄道などのインフラにいたるまで様々な事業を展開しています。これらの事業はひとつのプロジェクトの規模がとても大きく、数百億円単位となることもあります。一方、ヘルスケアについては、ビジネススタイルが少し異なり、ひとつのプロジェクトが数百万円から数億円程度なので、シーメンスのプロジェクト全体のペースに従うと、スピードが遅くなってしまう。そのためITや決済のプロセスなどをよりスピードアップして、ヘルスケアのお客様のスピード感に合った対応をするという意図がありました。

もうひとつは、ご存じの通り、今は医療機器業界も再編の時代を迎えています。グローバルでみると毎月どこかで買収劇が起きているようなダイナミックな時代。だからこそ、規模の大きいシーメンス全社で舵取りするよりも、成功しているヘルスケアユニットのマネジメントが判断して迅速に動ける方が有益だということで、ヘルスケア部門が独立しました。
分社化にあたり、実は他の国は他のビジネスに比べ、ヘルスケア事業の規模が小さかったため、本社の分社化と同時に各国すべてヘルスケア部門を外に出すという形で分社化しましたが、日本は売り上げに占めるヘルスケアの割合が大きいため、ヘルスケアから他の部門を分社化するというプロセスを取りました。

松 園: 昨年、旧体制のときのインタビューでは、御社の強みとしてグローバルネットワークの中で研究開発ができて、プロダクトアウトなどがグローバル展開できることをお聞きしましたが、この再編成で変化はありますか。

松園 健
JAC Recruitment
代表取締役社長  松園 健

森氏: 分社化する前からヘルスケアと他の部門ではセールスチャネルが全く異なり、ヘルスケアは独自のグローバルネットワークを築いていたので、グローバル展開を活かした研究開発や営業活動は変わりません。もちろん既存の医療機器MR やCTなど、大型機のシェアはしっかりと守ります。しかし業界の状況を考えれば安住していられないので、我々は既存ビジネスの強化を図ると同時に違う領域に踏み出そうとしています。

医療従事者の真のパートナーになるために

写真:森 秀顕 氏

松 園: 森さんはシーメンス社の生え抜きで、かねてからイノベーションの先頭に立っていらっしゃいました。そんな森さんがシーメンスヘルスケア初代社長に就任されたということで、期待が高まっていると思います。今後の方針をお聞かせください。

森氏: まず我々のビジョンは、すべての医療従事者の真のパートナーになりたいということです。そのためには提供できるバリューを増やしていかなければならない。診断医療機器と体外診断薬という強みを持ちながら、他のバリューも追求していきたい。すでにグローバルレベルで他社とのパートナーシップを積極的に検討しているところです。治療領域と遺伝子検査の領域はポートフォリオを拡大する方針を発表していますので、日本も貢献したいと考えています。

また、製品自体に関しても、単なる価格競争ではなく、シーメンスのDNAであるイノベーションが生み出す製品力で勝負していきたい。R&Dに費用をかけてイノベーションを生み出し、お客さまに評価していただく、そして患者さんに役立つ代わりにいただいた対価を新たなイノベーションにつぎ込む。そのサイクルを回していくことに、こだわりを持っています。

医療業界の現状と今後に向けた戦略

松園 健

松 園: なるほど。モノだけでなくサービスまで含めたイノベーション。これは今後の医療業界を見据えた戦略だと思いますが、森さんは業界の動向を、どのように見ていますか。

森氏: 他の業界と比較して、医療は成長産業だと言われますが、実際にはそこまで順調ではなく、極めて厳しい局面もあります。日本では高齢化が加速し、医療費が増大する中、国は何とかコントロールしようとしている。先日、2016年4月からの診療報酬改定案が発表されましたが、一部の医療機器の診療報酬は削られています。特に我々が強みとしている診断医療機器は、治療でも予防でもないので報酬を削られる対象になりやすい。
病院も機器に多額の費用を掛ける余裕がなくなっており、例えば今までは5~6年のサイクルで替えた機器を10年使うような状況です。これまで日本では他国に比べてCTやMRIなどの人口当たりの台数が圧倒的に多く、特にCTは世界の半分が日本にあるという状況でしたが、そんな過剰なマーケットではなくなってきています。ただ超音波診断装置はグローバルでも成長している製品なので、事業の柱のひとつとして注力しています。

一方、治療機器のマーケットは全体的に伸びています。それは国の政策として医療費を削減するために、なるべく早く患者さんを治して、在院日数を減らしたいという意向があるからです。スキームが変わり、在院日数が少ないほどランクの高い病院に位置づけされ、より多くの診療報酬が払われるようになると、治療の重要度が非常に増してきます。

そんな背景の中、どう生き抜いていくか。我々は診断機器に関しても、お客様である医療従事者に真に信頼されるパートナーになりたいという理念を持っています。単なる製品メーカーではなく、場合によっては投資を伴う経営パートナーになるべく、コーポレート営業本部を新設しました。例えば製品を医療機関に売るのではなく、施設自体を当社で作り、使用料や診療報酬をいただく形をとるとか、あるいは将来的には、放射線科自体のアウトソーシングを請け負うなど、お客様の経営パートナーになれるように取り組んでいます。

もうひとつは、プロダクトポートフォリオをもっと広げるということ。治療へのポートフォリオの拡大もその一環です。診断領域で培ったノウハウを活かし、治療領域や遺伝子診断領域への拡充を図ります。またオペ室をプロデュースする企業とタッグを組み、我々の診断機器と、オペ室にある他の機器を有機的につなげるソリューションを提供していきたいと考えています。

松 園: 経営サイドのコンサルティングの強化や、マーケットのニーズに合わせたポートフォリオを再編するという戦略ですね。また森社長は、かねてからコスト削減やスピーディにニーズに応えられる組織作りなど、営業体制の改革に取り組んでおられましたね。

松園 健

森氏: おっしゃる通り、リーマンショックの後から、大幅な営業体制の改革は続けていますが、今注力しているのは、より大きなナショナルアカウントパートナーのチャネルを広げたり、メーカーに近い大きなセールスチャネルを持つ企業とタッグを組むことです。
また、各地にある多くのパートナーとの関係強化も重要です。例えば体外診断薬のパートナーと、イメージング機器のパートナーのクロスセリングの可能性も十分にあると思っています。この病院経営者には、こちらのパートナーの方が強いということもあるので、パートナーはそれぞれ別法人ですが、“ワンヘルスケア”と呼びかけ、一体となって営業活動をしており、成果は出せると思っています。
またメンテナンスの話で言えば、既存機器を長く使用するためのコストやマンパワーの最適化が必要です。これまでメンテナンスはシーメンスの社員のみで対応していましたが、アウトソース出来るものは地元のパートナーさんにお願いして一次対応を行っていただく方が、コスト的にも迅速性という意味でも、お客様にメリットがあります。他にも、エンジニアをお客様の施設内に派遣したり、大きな医療施設では常駐させることもあります。さらに、お客様である病院のスタッフを、研修センターで我々が教育することも始めています。そうすればお客様は自前でメンテナンスができ、簡単な問題なら迅速に解決できるようになります。

シーメンスヘルスケアには、考えの指針となる7つのビジネスプリンシプルがあります。その中に「We lead by being lean」無駄なことはやらない、という言葉があります。今お話ししたことも、ひとつの例でしょう。当たり前のようにやっていることも、本当に必要なのかを見直して、もっと効率的にやるにはどうするかを掘り下げて検討する姿勢。今は他にもいくつかターゲットの部門を設定して、取り組んでいます。

松 園: コアなところに資源を集中して、クオリティは保ちつつ、任せられるところはパートナーシップを強化して持続させていくというイノベーションですね。ビジネスプリンシプルが徹底されているのも素晴らしい。

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