- 山岡金属工業株式会社
- 代表取締役
- 山岡俊夫氏
- 大学卒業後、山岡鉄器製作所(現・山岡金属工業)に入社。専務を経て、81年より現職。「人生にはロマンと夢が必要」がポリシー。90年には東西統一を果たしたドイツ・ベルリンの観光地にたこ焼きの屋台を出すなど、数々のユニークなエピソードを持つ。経営の傍ら、07年に大阪経済大学大学院の修士課程を修了、博士号取得を目指し現在も研究を続ける。絵は百貨店で絵画展を開くほどの腕前。
今や関西では「一家に一台」と言われるほど親しまれている家庭用のたこ焼き器。このたこ焼き器を開発・普及させたのが山岡金属工業株式会社だ。その後もガスクッキングテーブル、業務用ガス厨房機器などをユニークな製品を次々と開発。創業以来55年連続で黒字を果たしている優良企業だ。また全工場をミュージアム化するなど、地域への貢献も大きい。同社の軌跡、そして今後のビジョンについて、代表取締役である山岡俊夫氏に聞いた。
発注元が引き取りに来なかった製品が自社ブランドに
― たこ焼き器の製造をはじめたのは、どういった経緯からだったのでしょうか。
当社の最初の自社製品はガスコンロでした。そこから様々な製品に展開していった中の一つが家庭用のたこ焼き器です。もともとは下請けを専門にしていた会社だったんですけど、あるとき商社から家庭用のガスコンロの大口注文が入りましてね。「月間2000台作ってくれ、出来たら取りにいく」と。当時は洋風住宅が増えてきたころで、コンロもそれに合うデザインのものが必要になっていたんです。で、早速作ってはみたものの、いつまでたっても取りに来ない。工場の中は製品の箱が積み上がってる状態なのに、いくらこっちから言っても、忙しいとかなんとかで全然引き取りに来ないんですよ。私、しめたと思いました。「では、当社で売りますよ」と言って自社製品にしてしまったんです。もともとニーズがあった商品なので結果的には大変売れましてね。それが自社ブランドのはじめです。
一つ商品が売れたら、今度はそれを商品群に育てていく必要がありますよね。それで、焼き肉やお好み焼き用の家庭用ガス調理機器を作っていったんです。たこ焼き器もその中の一つ。最初は全然売れなかったんですけどね。ちょうど量販店が伸びだした時期で、そこに一度置いてもらってからは飛ぶように売れ出しました。毎月1万台は出ていましたね。もちろんシェアはトップ。累計では400万台近くを販売しました。
今は外食産業の発達もあり、家庭用の調理器具というのは下火になりました。当社の商品も新しい技術を取り入れながら、厨房機器など業務用の調理器具を中心に製造しています。
もの作りの現場や歴史を地域の方々に知って欲しい
― 今後の経営におけるビジョンをお聞かせ下さい。
最近、中小企業の「脱下請け」ということがよく言われますけど、私はこれは違うと思っています。当社の売上の1割から2割は下請けによるものですが、今も生き残れているのは、下請けをしていたからなんです。自社商品を作ろうと思ったら企画から販売・在庫管理まで全てやらなければならない。これはリスクでもあるんです。下請けというのは製造に特化できる上に必ず利益が出る。利益出なければそもそも請けませんからね。営業にもどんどん下請けの仕事を取ってこい、と言っています。これからも製造のスペシャリストとして、下請けとしての仕事は続けていきます。
経営というのは、利益の追求だけでなく、文化・思想という精神的なものも追求すべきというのが私の考えです。それを形にしたものの一つが工場のミュージアム化。良いものを安く売るというのも大事ですが、もの作りの現場や歴史をいろんな人に見てもらうことも同じくらい大事。
小さい頃は京橋に住んでいたんですが、中が鍛冶屋とかガラス工場とか、そういった家が周りには多かった。それで、勝手に人の家に入っては大人が仕事をしている様子をじっと見てたんです。今だったら「危ないから出て行け」とか言われるんですけど、当時はそういうことは言われなかった。子どもは興味あるじゃないですか。だけど今は子どもがものづくりに触れる機会がない。それでは寂しい、そういう思いでこのミュージアムを作ったんです。ミュージアムは2000年にオープンして、これまでに3万7000人の方にお越しいただきました。その内、7000人は海外からのお客様です。これからも様々な形で地域に喜ばれる企業になりたいですね。
素直な気持ちがないと成功しない
― 社員にいつも伝えていることは。
素直になれ、ということをいつも言っています。素直な気持ちがないと成功しない。私は頭のいい人間ではないので、いつも人の頭を借りているんです。これこれについて教えていただきたいのですが、と頼むと向こうは徹夜して考えてくれる。自分は寝てるだけでいい(笑) その代わり、教えてもらう以上は素直でないといけません。素直だと相手も気持ちよく教えてくれます。人の実力というのは決して自分だけで成り立つものではないですから。だから素直さというのは非常に大事なんです。
人間には付属的な要素と本質的な要素があります。付属的な要素というのは、スキルとか技能とか言われるもの。本質的な要素というのは素直さとか倫理観とか、そういうものです。そして、本質的な要素がないと付属的な要素というのはダメになる。だから本質的な要素、「人間力」を高める努力を常に行うことが大切なんです。勉強は一生続けなさい、ということです。
会社概要
| 社名 | 山岡金属工業株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 大阪府守口市東郷通2丁目7番30号 |
| 東京支店所在地 | 東京都千代田区神田小川町1-6-4新福神ビル9階 |
| 代表者 | 代表取締役:山岡 俊夫 |
| 事業内容 |
|
| 資本金 | 40,000千円 |
| 従業員数 | 50名 |
| ホームページ | http://www.silkroom.co.jp |


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